
仮想通貨は「ビットコイン」のイメージが強いので「ネムコイン」と間違われることがありますが、正式名称は「NEM(ネム)」と呼びます。
さて、このNEMという仮想通貨はどんな通貨なのでしょうか。今回、NEMberの有志によって「ビギナーズガイド」が作成されましたので【比較、例え】を使ってQ&A形式で解説します。
NEM(ネム)とは
【1枚目】

プレマインってなに?
プレマインとは、開発者が最初から一定数のコインを保有した状態で、システムを開始するということです。
NEMは2014年に開発されましたが、ICO(資金調達)を行わず、「XEMが欲しいと希望する人」をインターネットで募集し、希望者1600人に平等にXEMが配られたのが始まりです。
現在のスーパーノードの数は665名であることや、新規にスーパーノードになった方も多いことから、2017年4月までの低迷期(1円以下)の頃に、初めにXEMを入手した方の多くは手放してしまったと推測されます。
新規発行がされないことによるメリットは?
他の仮想通貨である「イーサリアム」で例えるなら、15秒で一つのブロックが生成され「5ETH」が発行されます。
つまり、15秒毎に55万円分のETHが新規発行されているということです。(1ETH=37000円計算)これは、1日で約32億円分の売り圧力があるということです。
ビットコインは10分に1回ブロック生成されるので、10分に1回「12.5BTC」つまり1125万円(1BTC=90万計算)の売り圧力があるということです。
XEMは新規発行はありませんので、新規発行による売り圧力は無く希薄化しません。
※パブリックチェーン・POIの詳細は後述します。
ブロック生成間隔1分って何が魅力なの?
ブロックチェーンに組み込まれるまでの時間のことなので、生成間隔が短ければ、取引の承認完了までの時間が短いということです。
これは前述のとおり「取引が承認される=チェーンに組み込まれる」ほど取引記録の正当性が高まるので、6ブロック生成された時点で、取引が完全に完了したとみなすのが一般的です。
ビットコンは10分に1回生成されるので取引完了までに1時間かかりますが、NEMなら生成間隔が1分なので「6分」あれば「取引が完全に完了した」とみなすことができるのです。
時価総額上位の通貨と比べても承認までのスピードが充分早いことがわかります。
- ビットコイン:10分
- イーサリアム:15秒~17秒
- ビットコインキャッシュ:10分
- ライトコイン:2.5分
- ダッシュ:2.5分
- モネロ:2分
- ジーキャッシュ:10分
【2枚目】

パブリックチェーンってなに?
ブロックチェーンは、「プライベートチェーン」と「パブリックチェーン」に分けることができます。
- プライベートチェーン
プライベートチェーンは「記録と承認」という、ブロックチェーンのブロックを生成していく作業すべてをプライベート(自社やグループなど)のノードに限定しています。
これは、中央集権型となっており「何を承認するか、何を承認しないか」を判断することが可能です。例えば、社内の「ワークフロー」といった稟議承認などに最適なチェーンとなっています。
- パブリックチェーン
パブリックチェーンは、直訳(公衆・大衆)どおり不特定多数の人が誰でもノードになることができます。
これは、勝手に「記録・承認」の作業を止めることができないということです。
全世界にある不特定多数のノードを同時に止めることはできませんので、パブリックチェーンは非中央集権的で、自律分散型のチェーンといえるのです。
アセットってなに?アドレスとの関係は?
【IT用語辞典から引用】
アセット(asset)とは、資産、財産、資源、有価物、有用なもの、利点、長所、などの意味を持つ英単語。企業の情報システムなどでは、システムを構成する機器や資材、ソフトウェア、ライセンス(利用権)などの要素をアセットということがある。
つまり、ウォレットで発行されたアドレスは、XEMを保存したり、NEMで作られたトークンを保存するための口座番号のようなものなので「自分で責任もって管理しなきゃいけないよ」ということです。
※独自アセット・スマートアセット・モザイクについては後述します。
【3枚目】

ネームスペースとモザイクの関係は?
NEMで例えると下記となります。
NEM=ネームスペース
XEM=モザイク
つまり「独自アセット、スマートアセットを作れる」ということは「NEMのプラットフォームを使って、自分のモザイク(トークン)を作成できるよ」ということです。
そしてアセット、つまりトークンは定義付けすることによって価値を持たせることができます。
例えば、高級車の製品番号をトークン化すれば「持ち主が誰なのか」は誰でもすぐにわかります。
そして、所有権の移転も簡単です「相手のアドレスに送信」これだけで車の所有権の移転が完了します。
例えば、行政がこのトークンを管理していたらどうでしょうか。
「車の所有権移転費用は100円です」と、徴収額を設定するだけで国民同士が勝手に所有権を移転するたびに税金を徴収できます。
そう、これまでのような複雑な登記手続きは必要ないのです。
取引記録は全てチェーン上に記録されており、無くなることはありません。
自分でモザイクを作ってみたい方は、下記の記事を参考にしてください。
アポスティーユの用途例がイメージできない
例えば、法務省・法務局所管の公証役場をご存知でしょうか。
この公証役場の役割は、遺言や任意後見契約などの公正証書の作成、私文書や会社等の定款の認証、確定日付の付与などを行っています。
これにより、亡くなられて本人確認ができなかった場合でも「〇〇さんの遺書は本物である」ということを、公証することで、争いが起こらないようにしているのです。
このような「この内容は公式である」という第三者の承認が必要な公文書もアポスティーユを活用すれば、公証人を介さずとも公証することができるようになります。
チェーン上で公証された内容は、改ざんは不可能であり「確実に本物である」という証明ができるのです。
この他にも一般人が「この楽曲は私のモノだ」と、著作権を主張することだって可能になります。
【4枚目】

なぜ報酬がもらえるの?
ブロックチェーンには記録と承認という作業が必要になります。
この承認作業をビットコインやイーサリアムでは「マイニング」と呼び、作業をしてくれた人へ報酬を与える為、通貨を新規発行をしています。
ブロックチェーンはこのマイニングによって、安全性が保たれているのです。
NEMは、この承認作業のことを「ハーベスト」と呼びます。
ハーベスト報酬は、NEMが提供している「API」が活用された時の手数料(ネームスペースや送金手数料など)が報酬として支払われるので、新規発行せずともブロックチェーンの「記録・承認」作業を維持できるようになっているのです。
ハーベストしたい方は下記をご覧ください。
POSとPOIは具体的に何が違うの?
取引記録をチェーン上に記録する作業を「誰が行うのか」を決めるアルゴリズムが異なります。
POS(proof of stake)は「たくさん通貨を持ってる人+長期間通貨を保有している人」が承認作業の成功確率が高くなります。
ただし、これにより「貯金ばっかりして通貨を使わない人」が増えてしまったら経済はまわりません。
ビットコインのアルゴリズムであるPOWは「たくさん電力を使った人=1番早く暗号を解いた人」が承認作業をできるので、1トランザクションを処理するだけで「おおよそアメリカの一般家庭1週間分の電力」が消費されています。
これも環境的にエコではありません。
これら従来のアルゴリズムの課題を解決できるのが「POI」というNEM特有のアルゴリズムです。
POIは「保有量+送金や受金をして取引を行った人=重要スコアが高い人」が承認できる確率が高まる仕組みなので、経済活動を促す独自のアルゴリズムとなっているのです。
NEMの将来性については下記をご覧ください。
【5枚目】

XEMを入手する方法
【6枚目】

スーパーノードの役割って何?
とても簡単に言えば「全チェーン記録を保有した、アプリケーションサーバーの役割」を果たしています。
現在では、全世界に665のスーパーノードがアクティブになっており、このスーパーノードによりNEMの安全性は保たれています。
スーパーノードになるためには、300万XEMの他に様々なシステム的な基準をクリアする必要があります。
この性能は毎日全てのスーパーノードを対象に計測が行われ、条件を満たしていないスーパーノードは報酬を受け取れない仕組みになっています。
ビットコインの場合は、全てのノードがフルノードですから「マイナー全員が全チェーンを保有する必要」があります。
対してNEMは一般のノードは全チェーンを保有する必要が無く、ハーベストをスーパーノードに「委任できる」仕組みになっているのです。
NEMが「低スペックのPCでもハーベストができる」のはこのようにスーパーノードが、大きな役割を担ってくれているからなのです。
NEMが買える取引所
NEMが購入できる取引所は国内に2社あります。