イーサリアムに火種、凍結資産の復元を求める提案を巡って

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イーサリアム上の資産がハッキングやコードのバグにより失われた場合に備え、資産を復元する際に必要な基本的なルールを作成するための提案が行われた。Ethereum Improvement Proposal(EIP)に提案された新たな動きは、イーサリアムのコミュニティ内でも賛否があるようだ。EIPの編集者の一人であった Yoichi Hirai(平井洋一)氏は、 今回の提案を巡り編集者の座を辞任している。

EIPは、イーサリアムのプロトコルやクライアントAPIなどの改善を提案するために設けられた。GitHub内のプルリクエストを通じて、コミュニティ参加者と議論を行うことができる。

新たにEIPに提案された「Standardized Ethereum Recovery Proposals(ERPs)」は、イーサリアムのネットワーク上で資産が予期せぬバグやハッキングによって失われた際、資産を復元できるようルールの作成を進めようとする試みだ。資産の復元に関する基本的なルール作りをすることで、不測の事態に備える構えだ。

イーサリアムは2016年、The DAOのスマートコントラクトの脆弱性がハッカーに攻撃され、360万ETHが盗まれている。さらに去年、イーサリアムのウォレットを提供するParityのマルチシグ・コントラクトに脆弱性があり、Parityウォレットを使用するユーザーの1.5万ETHが凍結されてしまう事件が起きている。

The DAOで盗難にあったETHは、ハードフォークをすることで元のアドレスにETHを復元することに成功している。一方、ParityのウォレットにあったユーザーのETHは未だ凍結されたままとなっている。

ERPsは今後、このように資産が予期せず失われた際の復元ルールを予め決めておこうというものだ。しかし、ブロックチェーンに記録される資産を復元させるためにはハードフォーク以外の方法がないのが現状で、コンセンサスを大半のノードから得ることは非常に難しいだろう。

平井氏は、ERPsを受け入れることは不当にユーザーの資産を没収することに繋ががる可能性があることを危惧している。またEIPの存在を知らない一般ユーザーからのコンセンサスを得られない今回のルール作りは、一部の権力者の操作を招くとした。

同氏はETHの復元操作が違法性のある行為に繋がることへの警鐘をならしている。ERPsに関する議論の後、EIPの編集が自身には荷が重いとし同氏は辞任の意を示した。

ブロックチェーンは不可逆的な性質を持ち、ハッキングやバグなどによって引き起こされた取引であっても後から取り消すことができない。銀行のような既存の金融機関が使っているネットワークとブロックチェーンを使ったネットワークの違いは、可逆的か不可逆的かの違いだ。

ネットワークに参加している大半のノードの合意が得られれば、ハードフォークを行い取引のロールバックをすることもできるため、可逆的なブロックチェーンのネットワークを形成することもできる。一方そのようなネットワークは、ノードが中央集権的に管理されているため、非中央集権性を利点としているブロックチェーンのネットワークである必要性が乏しくなる。

今後もハッキングやバグによる資産の消失の可能性は大いにあるため、その都度ERPsの議論が巻き起こりそうだ。


Cointelegraph

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