
アポスティーユとは
NEMのアポスティーユとは公証機能です。
グローバル企業には馴染みのある言葉で、日本でいうと官公署、自治体等が発行した公文書に対して、外務省から証明(公印確認・アポスティーユ)してもらうことで、ハーグ条約の締約国内で、大使館・領事館の領事認証があるものと同等のものとして使用することができます。
また、国内でも「遺言、養育費の条件・賃貸借・債務弁済」などの公正証書を作成する時には公証役場で証明してもらうことが一般的です。
このような第三者を必要とする公証を、NEMの「アポスティーユ」では、第三者を通さなくともブロックチェーンで証明することができます。アポスティーユは、NEMのAPIではありませんがメッセージ機能を使って、ファイルのハッシュ値をブロックチェーンに記録することで証明を行います。
今回は一人で証明が必要になるようなユースケースと、契約のように複数人の署名が必要なユースケースを想定してアポスティーユしてみます。
今回は、簡単に改ざんできるファイルにするためPDFではなく、ワードで文書を保存しただけのファイルでアポスティーユしてみたいと思います。
まだナノウォレットを作っていない方は下記をご覧ください。
アポスティーユの使い方
作成
ナノウォレットの「サービス」カテゴリからアポスティーユ(公証機能)「作成」を選択します。

設定を行います。

遺言書を作ってみました。

アポスティーユしてみます。

証明書が発行されましたのでダウンロード。

役場なら丸一日と5万円かかる遺言の証明が、アポスティーユなら1分と12円。
まだ法的効力はないけど、いつか判例で認められる日がくるのでは...待ち遠しいッ!
よくみると秘密鍵(private key)が表示されています。これは、アポスティーユでトランザクションを発生させるために使い捨てアカウントを自動で作成しているだけなので、他人に知られても問題ありません。
なぜならトランザクションを発生させた使い捨てアカウントにログインされても、トランザクションは改ざんできないので監査に影響はないということです。
次は監査をしてみたいと思います。
監査
監査する遺言書を4つ作ってみました。
①本物の遺言書
②改ざんした遺言書

③本物の文章をコピペして新規作成した遺言書
④複製したファイル
※③と④は、内容も見た目も本物と同じなので画像は割愛します。
早速、ファイルを投げ込んで監査をしてみました。

本物と、複製ファイルのみ監査に成功しました。
改ざんした遺言書は予想通りNGでしたが、同じWordで全く同じファイルを作っても監査は通らないんですね。
気になったので、それぞれのハッシュ値を調べてみると全く同じ内容のファイルでも、新規作成したファイルはハッシュ値が変わっていることがわかりました。

監査に成功した①と④は同じハッシュ値です。
マルチシグを活用したアポスティーユの使い方

では「ハリネムミちゃん」をマルチシグアカウントでアポスティーユしてみましょう。
マルチシグアカウントでアポスティーユする場合は、送金やハーベストと同様に署名者アカウントから操作します。署名者アカウントでマルチシグ作成を選択すると、マルチシグの「タグ」がでています。

アポスティーユが終わると、証明書が同じように発行されます。

しかし、証明書は発行済なのに監査をしてみると、トランザクションが見つからず監査ができませんでした。

これはマルチシグが「2of3」になっているためです。
2名の署名者の承認が無いと証明書は発行されていてもアポスティーユは完了していません。
発行した署名者とは別の署名者で承認しましょう。
「マルチシグトランザクションの署名」から承認することができます。

署名にはウォレットのパスワードが必要です。

承認が終わったら、もう一度監査してみます。

今度こそ、問題なく監査が成功しました。
このように、マルチシグから公証が必要になるユースケースは「契約」が想定されます。
お互いのアカウントが印鑑の代わりになるので、紙は必要なく、印鑑もいりません。
まさに、New Economy Movement!!
オープンアポスティーユの使い方【おまけ】

せっかくアポスティーユで遊んでも、ブログくらいしか公開する場所ってないんですよね。ビジネスで使うなら監査だけできれば問題なさそうなので、公式では作られてないのかもしれません。
そこで「アポスティーユした内容を公開していこうぜ!」って@DaokaTradeさんが作ったのがオープンアポスティーユです。
使い方は簡単、アップロードページから、アポスティーユされた時にダウンロードしたzipファイルをアップロードするだけです。
後悔した時に削除できるよう、削除キーも入力しておくことをオススメします。

できました!!

かわいいwww
簡単でしたね!
これを機会に皆さんも試してみませんか?