個人型確定拠出年金の「iDeCo(イデコ)」は、資産運用によって確実に受け取れる自分だけの年金を作る仕組みです。
老後の生活資金に欠かせない「年金」を自分でコツコツと積み立てる制度なのですが、節税メリットが極めて大きいため、多くの方が注目しています。
イデコは20歳~60歳未満の方であれば原則として誰でも加入できます。
一方で、イデコに興味は感じているものの、
- 拠出時に手数料がかかる
- 手続きが面倒
などの理由から、イデコへの加入を様子見している方も多いようです。
しかし、イデコの手数料は大きく節約することができます。
2018年から新しくスタートした「年払い」「ボーナス払い」(通称:まとめて拠出・年単位拠出)を活用することで、通常よりも手数料を安くすることが可能です。
イデコの手数料をわかりやすく解説
イデコで必要な費用は以下の通りです。
◆初期費用
加入時:2,572円+税(共通)
加入手数料:金融機関によって異なる
移管手数料:金融機関によって異なる
初期費用は、すべての金融機関で共通です。
A銀行でイデコをはじめても、B証券で申し込みをしても金額は変わりません。
唯一、加入手数料や移管手数料は金融機関によって異なります。しかし、加入手数料はほぼすべての金融機関が0円にしているので気にする必要はありません。
また、移管手数料は金融機関を変更する場合に、元の金融機関や移管先の金融機関に支払う手数料です。
こちらも、新規加入の場合は0円となっていることがほとんどなので、将来的に移管を行わないのであれば無視できる手数料となります。
国民年金基金連合会手数料:月額96円+税(年間1,152円+税)(共通)
事務委託先金融機関手数料:月額60円+税(年間720円+税)(共通)
口座管理手数料:金融機関によって異なる
※このうち、年払いで節約できるのは「国民年金基金連合会手数料」のみとなります。信託銀行に支払う「事務委託先金融機関手数料」や金融機関に支払う「口座管理手数料」は毎月発生します。
ただし、一部の金融機関は口座管理手数料を0円にしています。
イデコはこれまで、1ヶ月単位で掛金の拠出が必要でした。(1ヶ月に一度の積み立て方式)
掛金を拠出する際に毎回、上記の手数料が必要でしたが、2018年から「年払い」「ボーナス払い」に対応したことで、掛金拠出の回数を減らせるようになりました。
毎月96円+税が必要だった「国民年金基金連合会への手数料」はあくまでも「掛金拠出時」に発生するコストなので、掛金を納付する回数を減らすことで年間11ヶ月分も節約できるようになります。
特に、「元本確保型商品(定期預金など)」で運用しようと考えている方にとって、年払いは大きなメリットとなります。
口座管理手数料0円の金融機関を選んだ場合
- 毎月払い:1,872円+税
- 年間一括払い:816円+税(56%以上の節約!)
イデコではこの方法を「まとめて拠出(年単位拠出)」と呼んでいます。
まとめて拠出は大きなメリットですが、一方でデメリットも存在するため後ほど詳しく解説します。
給付時にかかる費用
事務委託先金融機関:400円+税(共通)
還付時にかかる費用
国民年金基金連合会手数料:953円+税(共通)
事務委託先金融機関手数料:400円+税(共通)
イデコで選べる投資信託は、金融機関によってラインナップが異なります。
投資信託の信託報酬(手数料)は年率で発生するため、コストの低い投資信託を扱っている金融機関選びがとても重要です。
投資信託の手数料についても後ほど解説します。
イデコの手数料を年払いに切り替えるやり方
イデコの掛金拠出を「年単位拠出」に変更するためには、「加入者月別掛金額登録・変更届」を記入して、イデコを登録している金融機関に提出するだけです。
「加入者月別掛金額登録・変更届」の書類は、金融機関から取り寄せます。(ネットからはダウンロードできないようです)
書類の内容自体は簡単なものなので、手続きに苦労することはないと思います。しかし、イデコの「年単位拠出」は仕組みがやや複雑です。
年単位拠出の仕組みを2分で理解する
まず、イデコでは毎年、12月分の掛金から翌年11月分までの掛金の範囲を1年間(1単位)としています。
わかりやすく言い換えると、納付月で見て、1月~12月の範囲を1年とカウントしているということです。
イデコの納付日は「毎月26日」と決まっていますので、「1月26日納付分~12月26日納付分」が1年間(1単位)という扱いです。
「加入者月別掛金額登録・変更届」は、上記の1年間の中で一度だけ変更できます。
また、まとめて拠出(年単位拠出)には、
- 前払いはできない
- 翌年への繰り越しはできない
- 後払いのみ可能
という3つのルールがあります。
これを、一般的なサラリーマンの例で考えてみます。
年単位拠出の例(一般的なサラリーマンの場合)
一般のサラリーマンは最大で毎月23,000円、年間237,600円の拠出が可能です。毎月の掛金を23,000円に設定している場合で説明します。
前述しましたが、イデコでは掛金の納付日を「翌月26日」に設定しています。(つまり、10月分は11月26日に自動引落されます)
事例1:
1月納付分(1月26日引き落とし)に1年分(237,600円)を一括で支払うことはできません。なぜかというと、これは「前払い」扱いとなっており、上記の3つのルールに反するからです。
事例2:
12月納付分(12月26日引き落とし)にその年の1年分(237,600円)を支払うことは可能です。1月~11月に支払いをせず、12月にその年の分を一括で支払う「後払い」は認められています。
事例3:
まとめて拠出(年単位拠出)では、ボーナス払いも可能です。
1月~6月納付分を、6月26日の引き落とし日に6ヶ月分(138,000円)を一括で支払い、その後7月~12月納付分を12月26日の引き落とし日に6ヶ月分(138,000円)一括で支払う。
この方法であれば、年2回(6月・12月)のボーナス月にまとめて掛金を拠出できます。
掛金の拠出タイミングは自分で自由に決められます。例えば3ヶ月毎(年4回)にまとめて支払っても構いません。
ただし、
- 前払いはできない
- 翌年への繰り越しはできない
- 後払いのみ可能
という3つの条件を満たしていること、また「加入者月別掛金額登録・変更届」を事前に提出している必要があり、この変更届は1年に1回しか使えないことを頭に入れておきましょう。
最も、イデコの掛金は「銀行口座からの自動引落」です。変更届の提出時にしっかりと計画を設定できれば、あとの支払いは自動引落されるので、支払日や支払額を気にする必要はありません。
まとめて拠出(年単位拠出)のデメリット
まとめて拠出(年単位拠出)は、「国民年金基金連合会手数料」を最大11ヶ月分節約できるのがメリットです。
しかし、隠れたデメリットもあります。それは以下の内容です。
- 毎月拠出:毎月一定額を積み立てできる
- 年単位拠出:特定の月にたくさん買うことになる
つまり、毎月拠出をしている場合、手数料は高くなるものの「毎月同額の投資信託を購入するのでリスク分散が行いやすい(高値づかみしにくい)」というメリットがあります。
しかし、年単位拠出だと、特定の月に一気に買うため「株価が安くなっているタイミングで掛金拠出ができればお得ですが、逆に株価が高くなっているタイミングで掛金拠出すると高値掴みになる可能性がある」のです。
毎月同額の投資を行うことを「ドルコスト平均法」といいますが、年1回や年2回の拠出だと、時間的なリスク分散効果が薄れてしまいます。
このような理由から、「まとめて拠出(年単位拠出)よりも通常の月単位の拠出の方が良い」というのが私の個人的な意見です。
「国民年金基金連合会手数料」が高くつくのは残念ですが、それよりもリスク分散を重視した方が、長期的にはメリットが大きいと私は考えています。
最も、定期預金のような元本確保型商品で運用する場合は、まとめて拠出(年単位拠出)をした方が間違いなくお得です。
口座管理手数料0円の金融機関を選ぶ
イデコの金融機関を選ぶ上で重要なポイントは2つあります。
- 口座管理手数料が0円であること
- コストの低い投資信託が選べること
イデコの手数料で、唯一「口座管理手数料」のみが金融機関によって大きく異なっています。
口座管理手数料を0円にしている金融機関がある一方で、この手数料を毎月500円に設定している金融機関もあります。
もし、口座管理手数料500円の金融機関を選択してしまった場合、この費用だけで年間6,000円、運用期間が40年なら24万円を支払わなくてはなりません。
一方で、口座管理手数料が0円の金融機関を選べば、上記のような金融機関と比べて24万円を節約できます。これは、まとめて拠出(年単位拠出)の節約金額とは比較にならないほど大きなものです。
また、投資信託のラインナップにも注意が必要です。
大手銀行や大手証券会社のイデコでは、信託報酬と呼ばれる投資信託の手数料が高い商品が多いのも事実です。
投資信託の信託報酬が0.1%違うだけで、将来の投資利益に大きな差が出ます。つまり、運用期間が長期であるイデコにおいてはなおさら、「良い投資信託が選べる金融機関」の選択が重要となってくるのです。
「口座管理手数料が0円」、「低コストな良い投資信託が選べる」この2つの条件を満たしているのが、マネックス証券のiDeCoです。
マネックス証券は、現在最も低コストな投資信託だと言われている「eMAXIS Slimシリーズ」をラインナップに加えています。
eMAXIS Slimは信託報酬が極めて低く、個人投資家や投信ブロガーからも高い評価を得ている商品です。
もちろん、マネックス証券でも元本確保型商品(定期預金)を選択することが可能です。
マネックス証券は業界大手のネット証券です。ネット証券に不安を感じる方もいるかもしれませんが、イデコの資産は「分別管理」によって大手信託銀行が管理しているため、安心して利用できます。
マネックス証券のイデコについてさらに詳しく知りたい方は「2018年最新版!マネックス証券のiDeCoで選ぶおすすめの投資信託を解説」をご覧ください。
コストの低いおすすめの投資信託を厳選して紹介しています。
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