インタビュー・対談

暗号通貨において匿名性が重要な理由とは?DASH(ダッシュ)のマスターノードオーナーにインタビュー

暗号通貨において匿名性が重要な理由

コインチェックでのネム(NEM,XEM)ハッキング事件を契機に、匿名性の高い暗号通貨の規制に対する関心が高まっています。そこで本稿では、そのような暗号通貨の一つであるDASH(ダッシュ)のマスターノードオーナーで、「DashJapan.com」を運営されている、とみ三(Samurai33)氏[Twitter:@samurai3311]にインタビューを試み、暗号通貨の「匿名性」の重要性について、詳しくお話を伺いました。

Q.そもそも、暗号通貨の文脈において「匿名性」がなぜ重要なのでしょうか?

-A.デジタル化が進むにつれて、社会は中央国家に情報が集中し、個人の力が弱まるという構造的な問題を抱えています。この問題に対し、暗号技術を使い、個人の力を守ろうというムーブメントが起こり、これは一般的にサイファーパンク運動と呼ばれます。

このムーブメントの中からビットコイン(BTC)が生まれました。ビットコイン誕生の背景にあるのは人類愛であり、国家などの巨大な力から個人を守り、個人をエンパワーメントする事を目的の一つにしています。これを実現するためには個人の「匿名性」を守ることが非常に重要なのです。良く誤解されますが、決して犯罪が目的なのではありません。

Q.DASH,Monero,Z-cashなどの匿名通貨を、国家が規制するべきだという意見を時折見かけます。とみ三さんは一貫してこのような意見に反対していますが、その理由を教えてください

-A.匿名性に関わる技術開発は、日本国憲法第21条第2項で謳われている「検閲の禁止」と「通信の秘密」という理想を具現するものだと私は考えます。また、ビットコイン(BTC)・ビットコインキャッシュ(BCH)・ライトコイン(LTC)のいずれも中心的な開発者が匿名性を高める意向を示しています。

この問題は現在匿名性が高い暗号通貨だけではなく、暗号通貨全般に渡る、非常に大事な論点です。国家による規制を許すと、この開発体制に支障が出る恐れがあります。そのような事態は避けるべきです。

Q.匿名通貨は、違法なマネーロンダリングや、違法薬物の売買に用いられているという批判がありますが…

-A.犯罪者は、便利な道具がそこにあれば、犯罪に用います。つまり道具は問題ではないのです。例えば包丁での殺傷事件が起こるとします。しかし包丁に非はありません。悪いのはあくまで犯罪者です。

Q.犯罪者に暗号通貨が悪用されるデメリットよりも、一般人にとってのメリット方が大きいという事でしょうか

-A.まさにその通りです。暴走した国家から個人を守るという大きな話だけでなく、例えば大口のビットコイン(BTC)口座を有するという秘密が犯罪者に漏れてしまい、犯罪の対象として狙われる等のリスクを減らす必要があります。

また医療機関に通院してビットコインで医療費を支払った場合に、悪意ある第3者によって口座が特定されてしまい、「何らかの病気で通院している」という事実そのものが明らかになるリスクもあります。このような個人情報も、堅く保護されなければなりません。

Q.とみ三さんは、匿名通貨の中でもDASHの普及にご尽力されていますが、DASH(ダッシュ)の特徴と、他の匿名通貨との違いを教えてください

-A.暗号通貨の取引履歴を匿名化するアプローチはいくつかあります。DASHの匿名化機能は、他人の取引記録と混ぜ合わせ、最終的なアウトプットを見ても、誰から誰に送金されたのかは分からないという仕組みです。

マスターノードと呼ばれる一部の特殊なノードが同じ金額のコインを集めて複数回ミックスします。この仕組みの元になっているのはCoinJoinという技術で、元々はビットコイン(BTC)の匿名性を向上させるために開発された背景があります。

また他の匿名性の高い暗号通貨と異なる点として、DASHはブロックチェーンをすべて公開しているという特徴があり、私はその点を評価しています。ブロックチェーンを公開しながら高い匿名性を保つには、CoinJoinの仕組みが最適です。

Q.なぜブロックチェーンが公開されていることが重要なのでしょうか

-A.ブロックチェーンの価値は透明性にあります。ビットコイン(BTC)と同じように公開されていることによって取引の公平性が担保されること、そして犯罪への利用の抑止力になることが上げられます。

例えば、古くから価値の貯蔵・交換手段として使われて来た金地金や金貨等の貴金属は、取引履歴が追跡できないため、密輸やマネーロンダリング、脱税などの犯罪に使われているものと推測されます。取引記録が追跡出来る公開型のブロックチェーンは、このような問題を解決します。

Q.DASHを送金すると、自動的にアドレスが秘匿されるのでしょうか?

-A.DASH(ダッシュ)の匿名化機能であるプライベートセンドは、自動では適用されません。有効にするためには、DASHコアウォレット(マスターノードではないフルノード)をPCにインストールする必要があります。

ただし、フルノードであるためDASHの全てのブロックチェーンを持つ事になり、記事掲載時点では、少なくともご自身のPCに5.5GBの空き容量が必要です。プライベートセンドはコインのミキシングなので、送金時に選択して使用するよりも、事前に使用することが主流になっています。

Q.CoinJoinとプライベートセンドの違いを教えてください

-A.前述のCoinJoinは、ビットコイン(BTC)のコア開発者であるGregory Maxwell氏によって、ビットコインの匿名化機能として開発されましたが、ビットコインではCoinJoinを分散型かつトラストレスな状態で取り込むことができません。

DASH(ダッシュ)は分散化されたマスターノードがネットワークの第2層を形成することで、その問題を解決しています。また、この第2層を創ったことでDASHは取引の即時承認機能、ガバナンス機能等を実現しています。

DMM Bitcoin田口社長に聞いた「仮想通貨(ビットコイン)の未来」

DMM Bitcoin社エントランス※DMMBitcoin社のエントランス

2018年1月から2月にかけての大きな価格変動や、国内外に問わず流出事件が発生している中でも、仮想通貨に対する世間の関心は止まることがない。今後どうなるのかわからない仮想通貨を信じて保有している人は増加を続けている。

2018年2月末日、弊社スタッフは日々新しいサービスを生み続ける仮想通貨交換所のうちの1社である、1月にサービス開始したばかりの仮想通貨交換所「DMM Bitcoin」の代表 田口仁氏に、仮想通貨が目指す未来はどういったものなのかを聞いてみた。


DMM Bitcoinが考える仮想通貨の今後とは?

DMM Bitcoin代表取締役 田口仁氏
田口社長DMM Bitcoinが考える仮想通貨というよりも、仮想通貨業界が考える仮想通貨の未来ですね。仮想通貨はいずれ法定通貨のように扱われることを目的としています。仮想通貨が通貨になる可能性が高いということが、仮想通貨に取り組んでいる人を熱狂的にさせているのだと感じています。

そもそも、通貨というのは国が信認を与えているものですが、なぜ日本の通貨は信頼できるのでしょうか?

米国の場合、国に対する信認は国の経済力や資産力(資源がとれる、国土が肥沃…等)、新しいイノベーションを起こすようなパワーがあって、それに対して投資家が資金を投げ込むだけの重力や吸引力であったり、いわゆる「財」と呼ばれるものが集まるという重力を持っています。その重力を源泉にして、米ドルは信認を持っていますので、もしかしたら日本もそうなのかもしれません。

ここからは、仮想通貨をやっていく上で知っておいたほうがいいことをお話ししますね。通貨が国のソフト(またはハードな)パワーで信認を得るようになったのはいつからか知っていますか?

昔は金で信認を得ていたんです。いわゆる小判ですね。昔とはいっても200年前とまではいかないくらい。その時代は通貨っていう信認を金に基づいていました。
日本円の紙幣には番号を振って管理していますが、偽装しやすいといった問題があります。その番号に対しても、いつ誰が持っていたなどの記録ができないという弱点もあります。

仮想通貨はその弱点を克服できるという発想で、通貨を超える通貨になることが出来るというのが、もともと仮想通貨を創った人の野心です。記録がずっと残り続けて、その通貨が偽物じゃないということをみんなに証明されていくほうが、信頼が高いので、通貨よりも信認性が高いものが、仮想通貨で創られるに違いないと考えられているのではないかと思います。

現在、国際的に流通している基軸通貨は5~6種くらい(米ドル、ユーロ、豪ドル、日本円・・など)しかありません。そこに仮想通貨が殴り込みにいこうとしているようなものなので、1000種以上ある通貨が全部そうなるはずがなく、通貨として扱われるといってもせいぜい2~3種類くらいが限界ではないかと、個人的には感じたりします。

仮想通貨が「通貨として振るまう」その意味とは?

DMM Bitcoin代表取締役 田口仁氏
田口社長では、仮想通貨が通貨のような振るまいをするとはどういうことなのでしょうか?
例えばある仮想通貨が基軸通貨になりました。ではこの仮想通貨の時価総額はどれくらいでしょうか?

例えば日本円には時価総額という概念は無く、流通量や発行量という概念があり、GDP(国内総生産)がそれに等しいです。日本のGDPは約600兆円で、米国はその2.5倍~3倍くらいです。米ドルを中心に5~6種くらいの基軸通貨と呼ばれるものが支配しているわけですが、そこに仮想通貨が参入する(このシェアの一部になる)ということです。

現在(2018年2月末時点)のビットコインの時価総額は20兆円ほどですが、この金額規模で、世界のGDP合計の数割程度の取引を循環させるのかとても困難なのは理解できると思います。

では、世界GDPが年間9000兆円だとします。この場合、基軸通貨であるならば1~2割は欲しいです。GDPの半分は消費財と言われています。もう半分は設備や耐久財などに使われています。

一般の人が生活する時に様々な支払いに使っているような日々のコストは1/3くらいなので、全体の2割くらいということになります。そうすると1800兆円くらいという計算に。これを1つの仮想通貨でまかなうのか、3つでまかなうのかはまだわかりません。

もし1つの通貨でまかなうのであれば約2000兆円必要です。3つの通貨でまかなうのであれば約600兆円ずつくらいですかね。ビットコインであれば、1BTCあたり約3000万くらいになる計算です。

仮想通貨に熱心な人は、「時価総額600兆円~2000兆円になること」を目指しているわけです。
みんなが使うものに、いつかはなるはずだからと。それが仮想通貨の未来です。

いつ頃その未来はやってくるのか?

DMM Bitcoin代表取締役 田口仁氏
田口社長仮想通貨が通貨になるということに多くの企業は賭けているし、投資をしているのではないかなと思います。いつ頃その未来はやってくるのかということよりも、仮想通貨が通貨と同様な信認を得るまでに、そのために残された時間、別の言い方をするなら、みんなの関心が途切れることなく維持できる期間は長くみて5年、短くみたら、例えば東京オリンピックまでのあと2年程度というような気もします。

それまでに、仮想通貨が通貨と同じ振るまいをする確実さが、みんなの目からみて明らかになっていくことができるのであれば、おのずと、仮想通貨が通貨と同様の振るまいをするようになっていくと思っています。

かつて、通貨が金と紐つくことで信認を得た時代があり、米ドルがオイルの決済通貨として確固たる地位をもつことで信認を得た時代があるように、仮想通貨も、誰の目から見ても価値がある実物資産や財と紐づかなければならない、しかも残された時間はそれほど長くない可能性がある、という試練に立たされているととらえています。

誰の目からみても価値がある実物資産や財との紐づきをいかに早く作ることができるかが、将来通貨と同じような振るまいをする権利をえる仮想通貨の選択のポイントと思います。

>>第二弾へ続く・・

★第一弾:DMM Bitcoin田口社長に聞いた「仮想通貨(ビットコイン)の未来」
第二弾:Coming Soon・・
第三弾:Coming Soon・・

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