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デット・エクイティ・スワップ(DES)とは?そのとき株価はどう動くのか

デット・エクイティ・スワップ

株式投資をやっていると、ニュースなどで上場企業が「デット・エクイティ・スワップ(DES)」を行ったという話を見たことがあるかもしれません。

デット・エクイティ・スワップは日本語で「債券の株式化」と呼ばれるファイナンスの手法です。

結論から言うと、「デット・エクイティ・スワップを結ぶ企業への投資は避けたい」というのが個人的な感想です。

この記事では、デット・エクイティ・スワップのわかりやすい解説と、株価の動きに与える影響についてまとめます。

デット・エクイティ・スワップとは何か

デット・エクイティ・スワップの仕組み

前述しましたが、デット・エクイティ・スワップ(DES)は「債務の株式化」と呼ばれています。(単にデスと呼ぶこともあります)

デット」は銀行借入金や債券のような、返す必要のある資金(有利子負債)のことを示します。

エクイティ」は資本金のように、返す必要のない資金(自己資本)のことを示します。企業の株式を購入することで株主から集めたお金(出資金)はエクイティに分類されます。

スワップ」とは日本語で「交換」を意味します。

「通貨スワップ」とか「クレジット・デフォルト・スワップ」など、色々なデリバティブ取引が存在しますが、スワップと名の付くものはすべて「何かと何かを交換する」という意味です。

このように言葉を紐解いていくと、「デット(債務)とエクイティ(株式)をスワップ(交換)する」、つまり「債務の株式化」がデット・エクイティ・スワップの本質であるとわかります。

デットとエクイティについては、「デットエクイティレシオ(D/Eレシオ)とは?目安と自己資本比率との違い」という記事でも詳しく説明していますので、合わせてご覧ください。

仕組みとやり方

一般的に、デット・エクイティ・スワップを行う上場企業は、総じて業績が悪いです。(中小企業の場合、相続対策などでDESを使うこともあります)

つまり、デット・エクイティ・スワップを発動している時点で、その企業への投資はリスクが高いものだと認識しておいた方が良いということです。

なぜかと言うと、「債務の株式化」とは言い換えれば「借金を返せない企業が、返済を免除してもらうために行う行為」だからです。

実質破綻企業への再生案件や、借金過多になった企業が債務免除に近い形でDESを行うことが多いです。

デット・エクイティ・スワップの仕組み

企業が業績悪化などによって、銀行などの債権者から借りているお金を返せないという話になる。

しかたがないので、債権者が保有している債権を「現物出資」という形で資本金に振り替え、増資する。

※資本金の払込は現金に限られず、物などで出資を行う「現物出資」という方法が存在します。

銀行からすると貸したお金は返ってこないが、その企業が無事に再生できれば配当金などで資金回収が図れる。少なくとも、債務放棄をするよりはマシ。

デット・エクイティ・スワップのやり方としては上記で説明した「債権を現物出資する方法」が一般的で、この方法を「現物出資法」といいます。

また、別のやり方として債権者が増資という形でまず最初に現金を出資し、その資金を使って債務(借金)を債権者に返済する「現金振替法」という方法もあります。

現金振替法は、「新株払込方式」や「疑似DES」と呼ばれることもあります。

どちらの方法を使っても、結果は同じです。

メリット・デメリット

経営者と債権者と株主

デット・エクイティ・スワップのメリットとデメリットを理解するために、「経営者」「債権者」「株主」について、それぞれの立場を改めて考えてみます。

▶経営者
事業を展開し、利益を増やすのが仕事。また、利益を債権者や株主に還元するのが仕事。

債権者に対しては「支払利息」という形で、株主に対しては「配当金」という形で還元する。

経営者にとって、債権者や株主への還元コストは小さいほどありがたい

▶債権者
返済の優先順位は「高い」が、その分、支払利息は少なくても良いと思っている。(期日通りに決められた利息が回収できれば良い)

▶株主
返済の順位は「低い」が、その分、事業が儲かったら儲かった分だけ、それに見合う配当金が欲しい。

経営者の立場

経営者から見たDES

経営者にとって、デット・エクイティ・スワップを利用するメリットは、債務の圧縮や利息負担の軽減にほかなりません。

これまで返済義務のあった借金がチャラになり、その借金から生じる「支払利息」がなくなるわけですから、キャッシュフローが改善し、利益の出しやすい体質になります。

また、借金(債務)が株式(自己資本)になるため、自己資本比率は高まります。財務体質が強化されることで銀行からの評価も高くなり、企業としての信用度が増すことで、新しい借金も行いやすくなります。

これが、デット・エクイティ・スワップが企業の再生案件などで活用される理由です。DESによって債務超過を解消できることも多いです。

一方で、経営者にとってデット・エクイティ・スワップはデメリットもあります。あるニュース記事では、DESのことを「短期的には蜜の味、長期的には毒の味」と表現しています。

DESによって増資が行われるため、債権者の数が減り、逆に株主の数が増える状況が起こります。

上記でまとめた「それぞれの立場」を見るとわかるのですが、「事業が儲かったら儲かった分だけ、それに見合う配当金が欲しい」と思っている株主は、経営者にとってコストが重い存在です。

再生が上手く完了し、将来的に利益が出たとしてもその利益は永久的に株主配当として支払い続けなければなりません。

また、株主は「会社の権利」を持っていますので、再生がうまくいかなければ経営者という立場を追われる結果になる可能性もあります。

デット・エクイティ・スワップを実施することで、債権者が突如として筆頭株主に躍り出るケースもあります

債権者が銀行などであればまだ良いのですが、素行の悪い方々に対してDESを実施してしまうと、大切な会社を乗っ取られてしまう可能性があるということです。

DESは経営者にとって麻薬のようなものであり、短期的にはカンフル剤になるものの、長期的には高いコストになってしまうのです。

また、DESを行う時に、債権の額面と時価(評価額)の差額が「債務消滅益」として計上され、これは課税対象にもなるというデメリットも存在します。(一部例外あり)

債権者の立場

債権者から見たDES

債権者にとってのDESのメリットは、少なくとも債権放棄にならずに済むということです。

本来は、期日どおりに借金と利息を返して欲しい立場にありますが、貸付先企業の業績が悪いために返済ができない。

かといって債権放棄をするのはもったいないので、せめて債権を株式に交換して株主の立場になる方が良いという考え方です。

株主になることで、経営者の能力が低ければ解任要求をするなど、株主としての立場を行使できますし、また企業が再生すれば受取利息よりも大きな配当金が期待できます。

一方で、デメリットとしては債権を出資に振り替えても、企業の業績が改善せずに倒産してしまった場合は、結果は同じとなります。

ただ、総合的に考えるとデット・エクイティ・スワップは債権者に有利な契約だと言えるでしょう。

株主の立場

株主から見たDES

では、私たちのような既存の株主にとってデット・エクイティ・スワップは良いものなのか悪いものなのか。

まず、メリットとしては、そもそも投資先企業の業績が悪く、「いつ倒産してもおかしくない状態」なのですから、DESを行うことで一時的に倒産を免れる(倒産リスクが減る)という大きなメリットがあります。

逆に、デット・エクイティ・スワップによって新株が発行されるため、「株式の希薄化」が起こるのが株主にとってのデメリットです。

新株発行・増資によって、これまで10人で分け合っていた配当金を、新しい株主を入れることで20人で分けなくてはならないといった状況が生じます。

株式の希薄化が起こることは、既存株主にとってリターンが得にくくなるということですから、これは大きなデメリットです。

株主の立場からすると、デット・エクイティ・スワップはデメリットしかないのですが、例え一時的であっても倒産リスクが解消されるというのは大きいです。

投資先がDESした時に気をつけるポイント

もし、株式を保有している企業がデット・エクイティ・スワップを発表したら、以下の2点に注意します。

1つめは、新株が発行されることで「どれくらいの株式の希薄化が起きるか」ということです。

発行済み株式数が増えることで、10%の株式の希薄化が起こった場合、理論上はその銘柄の価値が10%下がることを意味します。

あまりに希薄化が大きいようであれば、(倒産リスクが減るなどして)短期的に株価が上がったタイミングで手放してしまうのも良いと思います。

2つめは、DESによって「債権者から新しい株主となる人がどういう人物か」です。

前述のとおり、デット・エクイティ・スワップは場合によっては、これまで債権者だった人が突如として筆頭株主となり、会社に対して絶大な影響力を持つことがあります。

「債権者から新しい株主となる人」が素行の悪い「いわくつきの人」やよくわからない人物である場合、その会社が「ハコ企業」になってしまう可能性もあります。

ハコ企業については「ハコ企業には手を出すな!不公正ファイナンスを知ると投資力が格段に上がる理由」という記事で詳しく解説しています。

ボロ株投資が好きな方はぜひ一度読んでみてください。

DESによって株価はどう動くのか

デット・エクイティ・スワップ(DES)には、メリットとデメリットが混在します。

株主にとってDESは歓迎すべきことなのか、そうではないのか。過去にデット・エクイティ・スワップを発表した結果、株価がどのように動いたかを調査しました。

シャープ

シャープのDES

当時、債務超過に陥り経営再建を進めていたシャープ(6753)は、2015年5月にデット・エクイティ・スワップを発表しています。

DESによって、みずほ銀行と三菱東京UFJ銀行から借りていた6,000億円規模の借入金のうち、2,000億円を優先株に振り替えました。

第三者割当による種類株式の発行、定款の一部変更、資本金及び資本準備金の額の減少並びに剰余金の処分に関するお知らせ(PDF)

しかし、本件については日本経済新聞が2015年4月17日時点でフライング報道を行っており、この日から株価への影響があったと見られます。

日本経済新聞では、シャープのデット・エクイティ・スワップに対して「シャープ支援、大筋合意 主力2行が2000億円出資」と報道しており、ポジティブな形で債務超過の解消を報道しました。

この時のシャープの株価を確認してみると、寄り付きは前日を上回る株価でスタートしたものの、大きな陰線を付けており、前日対比で大幅な下落で終値を迎えています。

その後も株価の動きは思わしくなく、結局この日をピークとして中期的には株価は下がってしましました。

株式の希薄化によるデメリットを嫌気されたということなのかもしれません。

ランド

ランドのDES

マンションなどの開発事業を手がける不動産事業者のランド(8918)は、2015年1月26日にデット・エクイティ・スワップを発表しています。

第三者割当による新株式発行(現物出資(デット・エクイティ・スワップ)及び金銭出資)に関するお知らせ(PDF)

ランドは、ボロ株(低位株)として以前から低い株価が続いている銘柄です。当時の株価も25円前後という状態でした。

ランドがDESを発表してからも、先ほどのシャープと同様に、短期的に下落の方向へと株価は動いています。

しかし、シャープと違うのは、ランドの株価はその後持ち直し、中期的には株価はほぼ変わらずという結果となっています。

デット・エクイティ・スワップは短期的な材料になるものの、中期的にはそれほど大きなインパクトは与えないのかもしれません。

JVCケンウッド

JVCケンウッドのDES

JVCケンウッド(6632)は、傘下企業である日本ビクターが発行した200億円の私募社債のうち、120億円のの償還を繰り延べ、債権者に新株予約権を割り当てるデット・エクイティ・スワップを実施しました。

当社子会社第7回無担保社債の条件変更(償還期限の延長等)に関する社債権者集会の開催および条件変更に関連する新株予約権発行登録のお知らせ(PDF)

この件が報道された2011年7月15日は、長い下ヒゲを付けていますが、終値は前日比でプラスとなっています。

その後短期的には、JVCケンウッドの株価は上昇傾向にありましたが、その後中期的には株価は下落しています。

管理人はこう思う

3社のDESと株価の動きを見てみましたが、結論から言うとデット・エクイティ・スワップ自体が株価に及ぼす影響はそこまで大きくないと思われます。

しかし、「デット・エクイティ・スワップを発表する = 何らかの財務的な問題が生じており、苦渋の選択としてDESを選択せざるをえなかった」と考えることができます。

よって、結局は「その後の業績の悪化などにより株価は売り込まれることが多い」と判断するのが妥当ではないでしょうか。

DESによって少なからず株式価値は希薄化しますので、株主にとっては「逃げる」という選択が合理的な判断であるように思います。

DESとDDSの違い

ハイブリッド証券の説明

デット・エクイティ・スワップ(DES)に近い手法で、DDS(デット・デット・スワップ)という再生手法も存在します。

デット・エクイティ・スワップが「債務の株式化」であるのに対し、デット・デット・スワップは「債務の(劣後)債務化」となります。

通常の債権を「劣後債」に振り返る手法です。

「劣後債」は債権であることに変わりはないのですが、返済順位が通常の債権よりも後回しになり、貸付金利が上がります。

また、劣後債(ハイブリッド債券の一種)は特定の条件を満たせば、発行額の50%を「資本」と考えても良いと格付会社が判断しています。

債権者が金融機関の場合、中小企業には主にDDSの方が適用されます。DESは金融機関が株式を保有する形になるので、主に大企業に適用されます。中小企業で行われるDESは、経営者本人が自身の会社に対する債権を保有している場合に、財務体質の改善を図ることを目的に実施することが多いです。

出典:J-Net21(中小機構)

DDSはあまり有名ではありませんが、主に中小企業の再生手法として採用されることが多いようですね。

劣後債(ハイブリッド証券)を活用した資金調達については、「ソフトバンクも発行したハイブリッド債(ハイブリッド証券)のリスクとメリット・デメリット」という記事で詳しく解説しています。

最近、ソフトバンクなどの大手企業がこぞって実施している背景があるため、理解しておいて損はありません。

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四半期配当を出している銘柄一覧、年4回の株主配当金を出す企業の調べ方

株主配当

上場企業の中には1年に4回(3ヶ月ごと)に株主配当を出している「四半期配当」の銘柄があります。

多くの企業は年2回(中間決算・期末決算時)が配当金を出すタイミングですが、株主としては3ヶ月に一度、投資先から配当金がもらえると嬉しいですよね。

今回は、四半期配当を出している銘柄一覧と、四半期配当を実施している企業の調べ方を紹介します。

四半期配当銘柄の一覧

東証

最近は、国内企業でも四半期配当を実施する企業が増えてきました。

と言っても米国と比べてその数はまだ少なく、日本では「年2回の配当金」という考え方が定着しています。

四半期配当を実施している代表的な企業としては大手自動車メーカーの「ホンダ」が有名です。

ホンダ(7267)

自動車やバイクで有名な日本を代表する企業の一社です。

最近ではロボット分野にも進出しており、様々な種類のロボットを開発しています。中でもホンダの「Asimo(アシモ)」は有名ですよね。

あおぞら銀行(8304)

店舗数はそこまで多くありませんが、東京を拠点としている普通銀行です。

旧「日本債券信用銀行」であり、経営破綻した後に外資系ファンドのサーベラスに買収されました。

長らく「外資系」の銀行となっていましたが、現在はサーベラスが保有株を売却し、普通の銀行となっています。

同じく四半期配当を実施しているGMOインターネットグループと、新しいネット銀行を開業する予定なので楽しみです。

ホギメディカル(3593)

医療用不織布や医療用キットなどを販売する大手メーカーです。

株主優待としてクオカードやカレンダーなどを進呈しており、株主還元に積極的な印象を受けます。

光通信(9435)

携帯販売など営業でのし上がったことで有名な光通信も四半期配当を実施しています。

法人営業や通信回線、ウォーターサーバーまでとにかくなんでも売るという営業に強い会社です。

GMOインターネット(9449)

レンタルサーバーやドメイン事業をはじめ、さまざまなインターネットサービスを展開するGMOインターネットグループ。

「総還元性向50%」を掲げており、配当性向と自社株買いを合わせて、利益の50%を株主に還元する姿勢を示しています。

最近では、仮想通貨のマイニングや取引所(GMOコイン)の事業に進出していることでも知られています。

GMOクリックホールディングス(7177)

同じくGMOグループの金融会社も四半期配当です。

この記事で、GMOクリック証券の会社四季報について取り上げていますが、まさにそのGMOクリック証券を運営しているのが、GMOクリックホールディングスです。

FX(外国為替証拠金取引)などでも有名な証券会社ですね。

リソー教育(4717)

高所得な家庭を中心に、個別指導の塾「TOMAS」を展開している教育事業会社です。

株主還元100%を実施しており、余った利益は内部留保せずに株主にきちんと返すという姿勢が好感できます。

リンクアンドモチベーション(2170)

やる気を高めるために組織向けのコンサレウティングなどを手がけている会社です。

高い成長を誇っているため、内部留保が優先ですがわずかながら配当金は年4回に分けて支払っています。

スミダコーポレーション(6817)

車載や通信用にコイルの製造開発を行っている会社です。

消費者向けの商品を製造しているわけではないので、あまり馴染みがないですが、四半期配当を実施することで株主還元を意識した経営をしていることがわかります。

日本創発グループ(7814)

旧「東京リスマチック」が、持株会社に移行したことから、グループ企業となりました。

主にDTP(コンピューターを使った印刷)を手がける企業です。

四半期配当実施企業の調べ方

分析

上記が四半期配当を実施している銘柄です。

四半期配当を実施している銘柄の調べ方として私が知っているのは「会社四季報」を活用する方法です。

また、情報の鮮度はわかりませんが、Wikipediaに「四半期配当実施企業一覧」を記載したページもあります。

会社四季報と言えば、本屋さんで書籍として購入するか、証券会社によって無料で提供されているものを使っている人がほとんどだと思います。

しかし、デジタル版の会社四季報である、

  • 会社四季報CD-ROM
  • 会社四季報オンライン

は、検索機能やスクリーニング機能が充実しているのでとても便利です。

例えば、会社四季報のデータを元に「3期連続増益銘柄」を絞込検索したり、話題のキーワード(例えば「人工知能」など)を入力するだけで、四季報の紹介文に「人工知能」というキーワードが入っている銘柄を絞り込めます。

この方法を使って、「会社四季報CD-ROM」または「会社四季報オンライン」で「四半期配当」とキーワードを入力して検索すると、四半期配当を実施している銘柄が調べられます。

無料で調べることもできる

会社四季報オンライン

キーワード検索を無料で行いたい場合は、会社四季報オンラインを使います。

しかし、会社四季報オンラインは有料のコンテンツとなるため、無料のままでは一部のデータしか閲覧することができません。場合によっては、入力したキーワードが検索にヒットしても、その紹介文が見れないこともあります。

私自身は、会社四季報CD-ROMを使っています。
会社四季報CD-ROM

会社四季報CD-ROMは7,000円程度で、四季報自体が年4回発売されるものなので、毎回購入していると年間28,000円程度の出費となります。

決して小さな金額ではないですが、先ほど紹介した「キーワード検索」や「強力なスクリーニング」、そして「過去の四季報のデータとの比較」ができるので、金額以上の価値があると思って買っています。

会社四季報CD-ROMは、書店やAmazon.co.jpで販売されています。最近はダウンロード販売も行われていますので、ネットですぐに買うことが可能です。

1年間の配当回数を調べるには

疑問

特定の企業の1年間の配当回数を調べる程度であれば、本屋さんでの立ち読みや、証券会社が口座開設者に対して無料で提供している四季報のデータでも十分です。

無料で見れる会社四季報のデータは、GMOクリック証券が一番見やすくておすすめです。

企業の年間配当回数は【配当】欄で確認できます。
GMOクリック証券の会社四季報

上記は、トヨタ自動車(7203)の配当実施状況です。

過去の配当と、会社四季報を作っている東洋経済新報社の予想する将来の配当について記載されています。

上記では、「16.3、16.9、17.3、17.9…」と書かれていることから、トヨタ自動車では、2016年は3月と9月に、2017年も3月と9月に株主配当を実施しているとわかります。

つまり、トヨタは3月と9月の年2回、配当を出している企業ということになります。

これは、トヨタの本決算(3月)と中間決算(9月)にあたります。実際に配当金の支払いが行われるのは、決算日から約2ヶ月後ですので、5月・11月ごろに配当支払いの通知が届きます。

また、上記のデータから、中間配当では1株あたり100円、期末配当では110円、年間を通して210円の配当を支払っていることもわかります。

トヨタ自動車の株は100株単位で購入できますので、トヨタ株を100株保有していれば、年間21,000円の配当金がもらえることになります。

「18.3予」「18.9予」というのは予想数値であり、確定したものではありません。

業績が好調で増配が予想される企業の場合、将来受け取れる(可能性のある)配当の金額も記載されています。トヨタの場合は安定配当のようですので、将来も変わらず年間210円の配当実施を行うようですね。

ちなみに、書店や会社四季報CD-ROMではこのように表示されます。
会社四季報の配当欄

アメリカでは四半期配当が主流

ニューヨーク証券取引所

アメリカでは四半期配当が主流です。

よって、マイクロソフトやAT&Tといった米国株に投資をすると、年4回の配当金が得られます。(ただし、アメリカは無配当の企業も多いです)

日本では年2回の配当実施が主流です。先ほどのトヨタ自動車のように、中間決算と本決算のタイミングで配当金が支払われます。このような企業のことを、「中間配当実施企業」と呼びます。

繰り返しますが、実際の支払いが行われるのは、決算日の約2ヶ月後となります。

また、日本では配当金の支払日を年1回としているところもあります。もちろん、ベンチャー企業のように成長を重視する場合は無配当とするケースも少なくありません。

配当利回りが高くなるわけではない

注意

1年間に4回、配当金の支払いをするからと言って「配当利回り」が高くなるわけではありません。

配当利回りは「1年間の配当総額 ÷ 株価」で計算します。

四半期配当は単純に、1年間の配当を4回に分けて支払っているだけですので、その他の年2回配当を実施している企業や、年1回の配当実施企業と比べて、配当金が多いということではありません。

もちろん、3ヶ月に1回配当金がもらえるので嬉しいというのは大きいですが。

四半期配当のメリット・デメリット

1億人の投資術 管理人の評価

四半期配当にはこれといって大きなメリットやデメリットはありません。

3ヶ月に1回配当がもらえるほうが嬉しいということくらいだと思います。

特に日本では毎月分配型投信が人気で、「毎月のインカムゲイン(安定収入・不労所得)」に対して魅力を感じる人が多いです。

一方で、企業側にとってはその分手続きが煩雑となり、配当支払いの通知を行うためのコストが増えると考えられます。

あくまでも個人的な意見ですが、私としては四半期配当を実施して企業側に負担をかけるよりも、配当の支払い回数は少ない方がいいと思っています。

株主へのコストを削減し、本業に集中してもらいたいというのが私の考えなので、株主総会のお土産とかもあまり賛成ではない派です。

もちろん、配当金や株主優待、総会のお土産などをもらえるとうれしいですけどね。

次の記事は「配当利回りが高すぎる銘柄に投資すると失敗するのはなぜか?」です。

株式投資で配当金を手に入れたいと考えている人の多くが「配当利回りの高い銘柄」に飛びついてしまいます。

しかし、配当利回りが極端に高い銘柄を安易に買ってしまうと、思わぬ損失を被ってしまう危険性があります。次の記事では、「高配当銘柄の隠れた落とし穴」について詳しく解説します。

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是川銀蔵から投資を学ぶ!「最後の相場師」の成功と失敗からわかること

是川銀蔵

先日、是川銀蔵の「相場師一代」という本を読みました。

是川銀蔵は1970年~80年代にかけて活躍した投資家(とうよりも投機家)で、「最後の相場師」と呼ばれている人物です。

おそらく一般の知名度はそれほど高くないと思いますが、株式投資の世界では知る人ぞ知る有名人であり、その実績や生き様から間違いなく日本の歴史に残る偉大な人物だと思っています。

「相場師一代」は是川銀蔵に関する本の中でも、是川銀蔵自身が書いた2冊の書籍のうちの1つです。

今回は書籍「相場師一代」の中で是川銀蔵が語った名言をヒントに、投資で成功するための方法を探ってみました。

投資に対する心構え

相場のサイクル

是川銀蔵が「相場師一代」の中で何度も語っているのが、株式投資の心理学についてです。

株式市場や経済の動きには一定のサイクルがあり、大きく下げればそれだけ大きな反発が起こること。そして、そのチャンスを上手く掴むことが投資で成功するためのコツだと言っています。

どんな下げ相場であっても、必ず底に落ち着き、下げ幅が大きいほどそれだけ上げ相場の反動は大きい、というのも株式相場の鉄則である。

経済の波が下降線を辿っていても、それは永久的な下降ではなく、下ることが次への状態に移行する、エネルギーになる。また、経済が上昇線を辿っていれば、それは次の状態として下降へのエネルギーを貯えつつある。

これは、よく言われる「上がり続ける相場はない、下がり続ける相場もない」ということですが、是川銀蔵が言うと説得力がありますね。

おそらく、多くの人がこの言葉を聞いて「当たり前のこと」と思ったと思います。

しかし、是川銀蔵は株式市場や経済の上下動に上手く乗ることがいかに難しいかについて語っています。なぜなら、人間には恐怖と欲望という心理があるからです。

株式投資は、誰でも実力以上のものをやればとまどい、不安心理がつきまとう。それが失敗につながるのである。

株式市場では下げ相場は売り手にとっては打撃だが、一方で、買い手は最大のチャンスを迎えていることになる。これも株式投資の真実なのである

いかに相場に熟練した投資家でも、下げ相場の過程では不安にかられ、持ちこたえられずに手持ちの株を投げ出してしまう。事実わたしも何度かこうした心理状況の中で痛い目にあわされたことがある。

不安に襲われ、持ちこたえられず安値で投げてしまうために大損を出すのだ。しかし、手持ちの余剰資金で投資活動をしていれば、不安はあっても投げるまで追い込まれることはない。投げない限り実損はないわけである。

どれだけ経験を積んだプロの投資家でも、リーマンショック級の下げが永遠に続いたら、「経済が崩壊するのではないか?資本主義はこれで終わりなのではないか?」などと考えてしまうものです。

素人だろうとプロだろうと関係なく、下げ相場でポジションを抱えていれば大きな不安に襲われます。

これに対する是川銀蔵のアドバイスは、「余剰資金で投資をすること」です。心理的な余裕を確保しておくことで、相場を冷静に見ることができます。

いつの時代も破綻するのはレバレッジをかけて取引をしていた人間だけであり、余剰資金で投資をしている人は破産することはありません。さらに言えば、投資に興味がない人はどれだけ株価が暴落しようとも関係のない話なのです。

過去にも、ヴィクター・ニーダーホッファーやジェシー・リバモアのような神がかった実力を持った投機家が、レバレッジによって破綻に追い込まれています。(是川銀蔵も何度も破産を経験しています)

▶得られた学び
株式投資で勝つための鉄則は、「自制心を保つこと」であり、自制心を保つためには冷静さや心理的な余裕が不可欠であり、そしてそれを作り出すのは「余裕を持ったポジション」という資金管理だということです。

カメ三則

カメ三則

カメ三則」とは、是川銀蔵が意識している投資で成功するための方法です。

1.銘柄は水面下にある優良なものを選んでじっと待つこと
2.経済、相場の動きからは常に目を離さず自分で勉強する
3.過大な思惑はせず、手持ち資金の中で行動する

投資にはさまざまなスタイルがあります。相場が動き出してからその波に乗る人もいれば、波に対して逆行(逆張り)する人など。

是川銀蔵は、経済や相場の動きを徹底的に勉強することで未来を予測し、「次はこの銘柄が上がる」という想定のもと、先回り買いをして、その株が上がるまでじっと待つスタイルでした。

この投資方法は自分の予測が当たれば、一番乗りで相場の上昇に乗ることができます。

しかし、あくまでも予測に基いて行動しているため、100%の当たりが保証されているわけではありません。

是川銀蔵のカメ三則では、どれだけ自分の相場予測に自信があっても、レバレッジをかけて全力で勝負するのではなく、手持ち資金の範囲で投資をすることの重要性も語られています。

大量の読書・勉強をする

読書する男性

是川銀蔵は、とにかく勉強家・努力家であることを自称しています。

気になったことは自分で納得がいくまで調べないと気がすまない性格で、3年間も図書館にこもって勉強をしたり、入院中に医学書を読み漁ったりしていました。

この時、是川銀蔵には妻と2人の子供がいましたが、彼女たちに極貧生活を強いながらも、自分自身も図書館の水道の水で空腹を満たし、勉強に励んだそうです。

三度目の倒産を経験した後、図書館に三年間通い、独学で日本をはじめとする世界経済とそれをとりまく諸問題を徹底的に勉強したことだ。

米代も払えない貧窮生活の中で三年間、毎日のように嵐山から大阪の図書館へ通いつづけ、経済関係の本や資料をあさりつくした。

経済に係る著作をすべて読破した。世界各国の数十年にわたる経済統計を調べ、物価、景気、株価の変動や消費動向を徹底的に分析した。  初めは一、二年で結論がでるか、と思っていたのだが、二年経ってもまるで先が見えてこないまま三年間も図書館通いが続いた。

想像を絶する貧困生活の中で、私は将来の自分の生きる道を見つけるために、必死で勉強を続けた。図書館から帰った後も毎晩、家で十二時、一時過ぎまでノートを整理し、自分だけの資料を作っていった。こういった生活を夢中で三年間続ける間、十キロもやせてしまったが、徐々に見えてきたのである。

ちなみにですが、是川銀蔵は中卒です。(14歳の頃から働いているので、もしかすると中学を中退していたのかもしれません)

学歴がなかったとしても、独学を続けていれば驚くような結果を生み出すことは可能なのです。

そして経済の勉強だけではなく、簿記や会計などとにかく大量の本を読み、勉強の虫であったことが、本書で何度も語られています。

勉強は仕事以上に夢中でやった。何も学校だけが勉強のできるところではない。仕事の終わった後、ソロバン、簿記、会計をはじめ、社会、経済まで毎晩深夜まで勉強をした

ともかく、自分で研究し、確信を得たことに対しては、いかなる力にも屈しなかったし、その信念を貫き通した。

自分で一度確信したことを他人の横槍で曲げてしまうことは結局、研究、分析、判断がまだそこまで行きついていないということなのだ。

こうした信念を突き通す頑固な考えは特に、株式市場で成功を手にする上で必要不可欠だと思います。

あらゆるニュース、ネットの情報が「下げ」だと言っていても、自分の分析で株価が「上がる」と思えた時にそちらに張れるかどうか、このような場面で相場師としての真価が問われます。

真面目で女遊びはしない

誘惑

私も本書を読むまで知らなかったのですが、是川銀蔵は酒も女もやらないというほど真面目な性格でした。このような生真面目な性格が、相場師としての魅力を高めているのでしょう。

肺結核と診断され入院生活を送っていた是川銀蔵は、大量の医学書を読み漁り、人間の生命について勉強をはじめました。

その結果、人間は自然の法則に従って生活をすれば100年以上は生きられる構造になっているものの、

  • アルコール
  • 梅毒

が原因で寿命を縮めているとの結論に至りました。

また、食生活についても見直し「野菜、果物、穀類」を主食として、肉類をなるべく避けるようにしたそうです。

是川銀蔵は当初、肉中心の生活で野菜はほとんど摂っていませんでしたが、この一件があってから食生活を大きく見直しました。結局、(当時は不治の病と考えられていたであろう)肺結核が改善し、是川銀蔵はその後も95歳まで長生きしています。

アルコール類についても、元々苦手だったようですがこの時の学びによって完全に止めました。

「人間の生命は自然の法則に従って生活していれば百年以上生きられる構造になっている。それが、六十年、七十年、八十年生きただけで長生きしている、といわれるようになったのは人間が自然の法則に反する生活をするようになったからだ」  と結論づけている。  なぜ自然の法則を破り始めたのか。それは人間の生活が向上し、贅沢をするようになったため、人間の生命は本来の生命力だけで生きられないようになってしまったのだ。

10代の頃から社会に出て様々な事業を経営し、時には相場で大成功を納めて大金を手にしたとあれば、当然、夜の誘惑も増えるはずです。

しかし、是川銀蔵は昔から女遊びは一切せず、そういった誘惑があっても手を出さなかったと語っています。

梅毒の方はまったく心配なかった。若い時から事業を経営していたからやる気ならいくらでも女道楽はできたが、いっさいその道には走らずにいた。おかげで梅毒にもならずにすんだ。今後も女道楽はしちゃいかんと強く自分を律した。

社長だから、酒や女の誘惑はのべつ声がかかった。しかしそういう極道はいっさい相手にしなかった。

もしそういう極道を立場にまかせしておったら、私はとうの昔に棺桶に入っていただろう。なんぼでも極道ができる立場にいながらしなかったのは、いま考えてみても、やはり、私は普通じゃなかったと思うのだ。私は、おそろしく意志の強い性格を先天的に持っていたことは間違いないようだ。

私は十六歳で独立して以来、女極道と酒だけは絶対にやらないと心に誓っている。酒がなくちゃあなりたたない付き合いは、にべもなく断わったし、芸者の色目にも乗らなかった。これまでそれを正真正銘押し通してきたのである。だから、連中と一緒に飲んでバカ騒ぎするなんてことにはいや気がさしていたのである。やることは他にいくらでもあった。

少し話は変わりますが、私が好きな投資家であるウォーレン・バフェットはこのように言っています。

人生はとかく最も弱い部分から侵食される。これは、ほとんどのビジネスとほとんどの人間にあてはまり、今のところまだだれも深く考察していない面白い発見だ。

自分の経験から言うと、人間の大きな弱点はふたつある。それは酒とレバレッジだ。わたしは、多くの人びとが酒と借金によるレバレッジで失敗するのを目のあたりにしてきた」

一般的に、人生を台無しにしてしまう要素として語られるのは、「酒・女遊び・薬物」などです。

しかし、人には誰しも「弱い部分」があり、そうした弱点から人生が侵食されていくのでしょう。

酒や女遊び以外にも、「金銭欲」だったり「見栄」だったり、はたまた「自分の能力を過大評価する癖」や「自分を過小評価しすぎる癖」、そして「ネガティブに考えすぎてしまう癖」なども人間によく見られる「弱点」のような気がします。

弱点は人によって異なりますが、自分自身では「これをやっちゃいけない、こういう部分が自分の悪い癖だ」とはなんとなく理解しているものです。

しかし、頭ではわかっていてもやめられない、ついやってしまう。だからこそ弱点なのです

是川銀蔵が「相場師一代」で「女遊びは一切やらなかった」と何度も語っているのを見て、私はこう思いました。

是川銀蔵は女遊びに興味がなかったわけではなく、(一般の多くの男性と同じように)興味はあった。しかし、それにハマってはいけないと考えていたため、あえて遠ざけるよう強く意識していた

これが、本書で是川銀蔵が「女遊びは一切しなかった」と何度も書いている理由ではないかと思います。

誰にでも弱点はあるものです。しかし、その弱点を防ぐように強い意志を持つことが、成功できるかどうかにかかっている。是川銀蔵はこう言いたかったのではないでしょうか。

これだと思ったら、どんな困難があってもやり通す。しかし、やっちゃあいけないことはどんな誘惑があっても手を出さない。この意志の強さがいまの相場師・是川銀蔵を作ったのだと思っている。

株で成功することの難しさ

金の卵

実はこの「相場師一代」という本ですが、最初の出だしはこのような内容で始まっています。

そこで私は自らの人生を自らの手で綴ることにより、株で成功することは不可能に近いという事実を伝える使命があると思い、筆をとることにした。

世間の人達は、私があたかもこの〝不可能〟を覆して株の売買で成功し、巨万の富を得たと思っているであろう。しかし、決してそうではない。私は実際、今でもすっからかん。財産も何も残ってはいない。このことを著書で警告したいのである。

是川銀蔵はこれまでに、事業家として何度も破産、そして投機家としても破産または破産寸前の経験をしています。

是川銀蔵 投資五ヵ条

チェックリスト

最後に、是川銀蔵が「相場師一代」の中で記した、「投資五ヵ条」をまとめます。

前述の「カメ三則」は投資の具体的な手法に近いものですが、「投資五ヵ条」は投資全般に対する考え方をまとめたものです。

1.銘柄は人が奨めるものでなく、自分で勉強して選ぶ
2.二年後の経済の変化を自分で予測し大局観を持つ
3.株価には妥当な水準がある。値上がり株の深追いは禁物
4.株価は最終的に業績で決まる。腕力相場は敬遠する
5.不測の事態などリスクはつきものと心得る

いずれも、これまでも、そしてこれからも役立つ普遍的な内容だと思います。

次の記事は、現代もっとも著名な投資家の一人でもある、ひふみ投信の藤野英人氏について書いた記事です。
ひふみ投信の藤野英人氏が書いた本を読んでわかったファンドマネージャーの投資手法

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