1億人の投資術

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主婦におすすめの資産運用を解説、初心者でも安心して始められる投資商品は?

主婦におすすめの資産運用

つみたてNISAやiDeCo(イデコ)が始まったことで、資産運用を始める方が増えていると感じます。

また、最近では100円から投資信託が購入できる証券会社も登場し、資産運用に対する敷居も大きく下がったと思います。

聞いた話によると、資産運用セミナーに参加する主婦の方も増えているようですが、こうしたセミナーの多くが自社金融商品の販売を目的としたものが多く、中には怪しいセミナーも存在するのだとか。

この記事では、これまで資産運用の経験がない主婦の方でも、安心して始められる投資商品について解説します。

正しい知識を身につけて、将来の資産形成に活かしていただけることを願っています。

つみたてNISA – 最長20年間の非課税投資

iDeCoとつみたてNISAの違い

POINT
  • 投資利益が最長20年間、非課税になる
  • 100円からつみたて可能
  • 金融庁お墨付きの投資信託だけなので安心

つみたてNISAは2018年からスタートした制度です。

正式には「少額投資非課税制度」と言い、名前の通り一定の投資金額について、投資利益を非課税にする仕組みです。(本来は投資利益には約20%の税金がかかります)

これまでの「NISA」は上手く普及しなかったため、今後は徐々に「つみたてNISAに一本化する」という流れがあるようです。

つみたてNISAは2018年から2037年まで、20年間の期間限定で行われます。毎年、年間40万円の「非課税投資枠」が設定されます。(投資枠は翌年に繰り越しできません)

1年間に購入した投資信託・ETFは最長20年間、非課税となります。「20年間の実施 × 非課税期間が20年」の部分がわかりにくいのですが、下記のような感じです。

  • 2018年に購入 → 2037年までの売却で非課税
  • 2019年に購入 → 2038年までの売却で非課税
  • 2020年に購入 → 2039年までの売却で非課税
  • 2037年に購入 → 2057年までの売却で非課税

例えば2018年に購入した投資信託は、2037年までに利益確定することで非課税となります。売却益も、その間に受け取る分配金もすべて非課税です。

また、20年以内であればいつでも好きな時に解約できるので、「将来のマイホーム購入資金として、子どもの入学資金として、つみたてNISAを活用する」のもおすすめです。

当サイトがおすすめする、つみたてNISA対応の投資信託は下記の記事で解説しています。

リスクは自分で調整

国内債券ファンドの組入比率

金融庁が示したデータによると、国内外の株式・債券に分散投資をすると長期的には年率2%~8%で運用できるとしています。

投資信託は、短期的には値上がり・値下がりがありますが、長期的には利益になる可能性が高いということを、金融庁が示しているのです。

とはいえ、もちろん未来のことは誰にもわかりません。運が悪ければ購入した投資信託が値下がりして損失になることもあります。

しかし、資産運用ではリスクを自分自身で調整できます

一般的な4資産のリスクは「外国株式 > 国内株式 > 外国債券 > 国内債券」の順番です。

外国株式が最もハイリスク・ハイリターンであり、国内債券はローリスク・ローリターンです。

この特徴を踏まえて、リスクを抑えて資産運用したい主婦の方は、国内債券の組入比率を高めるという選択を取ればよいのです。

上記の図を見てもわかる通り、国内債券に投資するファンド(投資信託)は、9割以上が国債・地方債・政府保証債で運用されているため、極めて安全性が高いです。

ただし、債券はインフレ負けの懸念があります。株式のように実損を被る可能性は低いのですが、インフレ(物価上昇)に負けてしまうことがあるため、債券組入比率を高めすぎるのはよくありません。

具体的にはどのような投資信託を組み入れればよいのか。バランスの取れた投資信託の選び方は下記の記事でも解説しています。あわせてご覧ください。

iDeCo(イデコ) – 年金作りで老後に備える

iDeCoと女性

POINT
  • 投資利益が非課税、掛金が全額所得控除になる
  • 原則として60歳になるまで引き出せない
  • 収入のない専業主婦は節税メリットが小さい

つみたてNISAは金融庁が管轄となりますが、iDeCo(イデコ)は厚生労働省が管轄となっています。

どちらも国が後押ししている制度なので、私たち国民にとって有利な仕組みです。活用しない手はありません。

つみたてNISAは、いつでも自由に売却できましたが、イデコは「将来の年金を作るための制度」なので、原則として60歳まで引き出しできません

イデコは「個人型確定拠出年金」と呼ばれ、国民年金・厚生年金に続く第3の年金制度です。

老後の生活費は年金に頼りたいと考えている方も多いと思いますが、現在の社会保険制度では、国民年金・厚生年金だけでは安心できない状況です。(受給額の減額や受給開始年齢の引き上げ懸念があります)

しかし、個人型確定拠出年金のイデコで築いた年金は、60歳になると確実にもらえます。なぜなら、イデコは自分自身で積立・運用する年金制度だからです。

イデコとつみたてNISAは併用できるので、可能であれば両方やることをおすすめします

どちらから始めればよいかわからない方は、下記の記事をご覧ください。つみたてNISAとイデコの比較を行っています。

専業主婦のメリットは薄い?

主婦とideco

イデコを利用して購入した投資信託などの利益は、期間に関係なくずっと非課税です。

また、イデコの掛金(最低5,000円から)は全額所得控除になるため、所得税と住民税の節税になります。

節税効果の大きさがイデコの大きなメリットなのですが、逆にいうと収入のない専業主婦にとってはメリットが小さいです。

なぜなら、専業主婦は元々収入がないため、所得税を払っていません。当然ですが、所得がない人にとっては「節税」は意味がありません。

よって、専業主婦の場合、イデコで受けられる主なメリットは「投資利益の非課税」の部分となります。(これだけでもやる価値は十分あると思います)

毎月の掛金は職業によって異なりますが、一般的なサラリーマンの場合は月額23,000円(年間276,000円)、専業主婦や自営業は月額68,000円(年間816,000円)が上限です。

つみたてNISAの年間40万円(月換算3.3万円)の非課税枠とあわせると、サラリーマンの方でも毎月5万円程度の非課税投資枠を確保できます。

通常の資産形成であれば、イデコとつみたてNISAの併用することで、投資利益をほぼ非課税にした状態で長期運用できると思います。

主婦の方にも人気の高い、楽天証券のイデコで選べるおすすめ商品は、下記の記事で詳しく解説しています。

株式投資 – 株主優待と配当金で安定収益

大阪王将の株主優待

POINT
  • 配当金・株主優待がもらえる楽しみ
  • 株価の値上がり・値下がりリスクが大きい
  • 特定口座(源泉徴収あり)の選択で確定申告が不要

イデコやつみたてNISAは主に「投資信託」を使った資産運用です。

しかし、自分自身で株式を購入して資産運用することもできます。

株価値上がり・値下がりのリスクはありますが、自分の好きな会社を応援したり、配当金・株主優待がもらえるのは大きな魅力です。

上記の画像は、私が株式を保有している「イートアンド(大阪王将などを展開)」の株主優待です。毎年、餃子やチャーハンなどの冷凍食品の詰め合わせが届き、これらに加えて配当金ももらえます。

また、主婦の方におすすめしたいのが「クックパッド」の株主優待です。

クックパッドの株主になると、プレミアムサービスの無料クーポンが毎年もらえるので、同社のプレミアム会員が無料になります

その他にも、コカコーラやカルビー、味の素など、多くの有名企業に投資でき、配当金や株主優待によって生活を豊かにできます。

もちろん、値上がり・値下がりの心配はありますが、株価と業績は連動しているので、応援している企業の業績が向上していれば、長期的には株価は上がる可能性が高いです。

もっとも、株価が上がらなくても長期保有をしていれば配当金・株主優待だけでも投資額の回収が可能です。

株式投資をはじめるには、証券口座を開設して「特定口座(源泉徴収あり)」を選択するだけです。

証券口座は銀行口座と同じで、口座開設にかかる手数料や維持手数料は無料です。現在はネット申し込みが可能です。

証券口座のうち、「特定口座(源泉徴収あり)」は多くの個人投資家が選択しています。株式の売買で利益が出ても、証券会社が自動的に税金を計算し、代わりに納付してくれるので確定申告が不要になります。

現在は多くの方が売買手数料の安いネット証券を利用しています。個人投資家に特に人気なのは、楽天証券やSBI証券といった大手証券会社です。

楽天証券の場合、投資信託の保有額や株式の売買に応じて、楽天スーパーポイントが貯まる仕組みもあります。

楽天証券 公式サイトはこちら

米国債 – 定期預金より高利率の安全な運用先

ニューヨーク証券取引所

国が発行する「国債」は、無リスク資産と呼ばれるほど安全性の高い資産運用先です。

債券は、あらかじめ償還日(満期)が決められており、償還日になると元本が返済される仕組みです。

国債の購入

年2回の利払い

当初設定されていた償還日に元本返済

国債を保有している間は、定期預金の利息と同様に、年2回の利払いが受けられます。

国債は通常、定期預金よりも高利回り(高金利)です。しかし、日本国債(いわゆる個人向け国債)は、日本の金利が低いため、ほとんど利息収入が期待できません。

そこで私がおすすめしたいのが、米国債です。

米国債の正式名称は「アメリカ合衆国財務省証券」で、アメリカの財務省が発行している国債です。

米国債は、日本の証券会社を通じてネットで簡単に購入でき、通常は外貨預金よりも金利が高いです。

記事執筆時点(2018年3月)で、米国債の利回りは年率2%程度です。これだけの利回りが確保でき、かつ元本の安全性が極めて高い運用先は他にはありません。

唯一気にすべきリスクは「為替差損益」です。

外貨預金と同じく、日本円を米ドルに両替して米国債を購入するため、為替レートの変動によって損益が生じます。(円高で損失、円安で利益)

もっとも、米国債の利払いや元本返済を米ドルで受け取れば、自分のタイミングで米ドルを日本円に両替できるので、為替レートが有利な時にドルから円に戻せば問題ありません。

また、米ドルであればハワイ・グアム・アメリカで使えるので、旅行の時に預けている米ドルをそのまま使うという選択肢もあります。(SBI証券ではこれが可能です)

一度買った米国債は、償還期間(満期)まで保有するか、中途解約することもできます。

中途解約すると、場合によってはわずかに損失が発生する可能性があります。

もし、

  • 途中解約しても損失にならない
  • 米ドル運用で外貨預金よりも高利回り
  • 元本の安全性が極めて高い

という商品をお探しであれば「外貨建てMMF(米ドルMMF)」がおすすめです。

米国債に比べて利回りは下がりますが、安全な債券に分散投資して運用する「外貨建てMMF」は、いつでも自由に解約でき、中途解約のペナルティもありません

外貨建てMMFの初心者向けページとして、下記の記事で詳しく解説しています。

元本の安全性を重視する主婦の方には、とてもおすすめできる運用商品ですので、あわせてご覧いただければと思います。

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DMM株がついに登場、スペックや手数料を評価

DMM株

国内でも有数の未上場メガベンチャーであるDMMが新たに「DMM株」の取り扱いをはじめました。

DMMは以前から「DMM FX」や「DMM CFD」、そして「DMMビットコイン」を手がけており、金融サービスへ参入していましたが、ここに来てようやく株式取引サービスをスタートしました。

DMM株の大きな特徴は、

  • 業界最安水準の取引手数料
  • 高機能取引ツールの提供
  • はじめての方でも使いやすいかんたんモード

となっています。

株取引の経験がある人には「高機能ツール」を提供し、株式投資が初めての方には「かんたんモード」でわかりやすさを提供、そして両者に業界最安の手数料を提供するのがDMM株の戦略です。

また、DMM株・DMM FX・DMM CFDそしてDMM バヌーシーといった金融サービスの口座振替が自由自在であるのも大きなポイントです。

DMM株を運営するDMM.com証券は以前からクイック入金サービスを提供しているので、入金・出金手数料も無料です。

DMMバヌーシーは、DMMが展開している一口馬主サービスです。

業界最安水準の手数料

財布を持つ女性

DMM株はこれまでにない業界最安水準の手数料です。

▼1約定ごとの手数料(現物)

  • 5万円以下:50円
  • 約定代金に応じた段階制
  • 300万円超:800円

※税抜きです

300万円超の取引でも、現物取引の最大手数料が800円+税となっており、非常に安いと感じます。

また、現物取引金額の1%はポイント還元され、貯めたポイントを1ポイント1円でキャッシュバックできます。

信用取引手数料は300万円超の手数料が0円です。

▼1約定ごとの手数料(信用取引)

  • 300万円以下:80円
  • 300万円超:0円

また、以下のいずれかの条件を満たすと「VIPコース」が適用され、金額に限らず信用取引手数料が完全無料になります。

  • 1日の新規約定代金:5,000万円以上
  • 1日の信用建玉残高:5,000万円以上
  • 1ヶ月の新規約定代金:5億円以上
  • 1ヶ月の信用建玉残高:5億円以上

VIPコースになると、信用金利も年率2.1%から1.9%に引き下げられます。こちらも業界最低水準です。(貸株料は一律年1.1%)

初心者でも使いやすいかんたんモード

スマホを操作する男性

DMM株のスマホアプリには「ノーマルモード」「かんたんモード」の2種類があります。

かんたんモードは、株式取引が初めての方でも使いやすい、わかりやすさを追求した設計になっています。

最近は「テーマ株投資」が話題になっていますが、「かんたんモード」ではテーマから銘柄を選べるというメリットがあります。

例えば、「ゲーム株」というテーマを選択すれば、任天堂やカプコンといったゲーム関連株をすぐに見つけられる仕組みです。

プロ向けのトレーディングツール

DMM株の取引ツール

スマホアプリの他に、PC向けのツールには

  • DMM株 STANDARD(ブラウザ型)
  • DMM株 PRO(PCインストール型)

の2種類のトレーディングツールを提供しています。どちらも利用料金は無料です。

すでに株式取引に慣れているベテランの方や、デイトレーダーの方でも満足できるシステムを提供しています。

DMMがついに動き出した

管理人の評価

DMM株の取引スタートは2018年4月4日です。すでに新規口座開設の受付がスタートしています。

現時点では、業界最安の手数料と各種ツールでの勝負となりますが、今後、投資信託や外国株を取り扱い始めると、本格的な証券会社として活用できそうです。

取引ツールでは会社四季報が無料で閲覧可能です。

もちろん、きちんとした証券会社なので、DMM株で購入した銘柄は株主優待や配当金を受け取れます。

また、NISAやジュニアNISA、そして特定口座の開設もできるので、手数料を抑えて積極的に売買したい方にとっては最初に検討したい証券会社になるはずです。

もし、DMMの金融サービスの一発目が株式だったら、私としてはやや懐疑的な見方をせざるをえません。

しかし、DMMはすでに何年も前からFXやCFD取引で実績を出しているため、大切な資産も安心して預けられると思います。

もちろん、一般的な証券会社と同様に、顧客資産は分別管理しているため、DMM.com証券の業績とは完全に切り離されています。

もし、DMMが倒産しても顧客資産に影響はないので安心です。

詳細については続報が入り次第お伝えします。

DMM株 公式サイトはこちら

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外貨建てMMF(米ドル建てMMF)の手数料や利回りを4社比較

外貨建てMMF

アメリカが利上げを再開したことで、米国の金利が上昇しつつあります。

金利の上昇は、米国債利回りの引き上げに貢献します。米国債の利回りが向上すると、その他の債券や外貨預金金利など、米ドル建ての金融商品全体の利回りが上がります。

その中でも「証券会社が販売する外貨預金」と言えるのが「外貨建てMMF」です。

外貨建てMMFは、安全な公社債を投資対象とした投資信託のことで、「マネー・マーケット・ファンド」の略です。

投資信託の一種ではあるものの、いつでも自由に解約できるため、外貨預金の代わりに使ったり、米国株投資の待機資金の置き場として活用できます。

この記事では、米ドル建てMMFの詳細について解説するとともに、代表的な4社の米ドルMMFを利回りや手数料の観点から比較します。

外貨建てMMFを理解する

学ぶ

外貨建てMMFの主な概要は先ほど紹介したとおりです。

  • 安全な公社債で運用する投資信託
  • いつでも自由に解約できる
  • 外貨預金の代わりとして使える

※外貨建てMMFは自由に解約できますが、円建てMMFは30日以内の解約にペナルティが付くことがあります。

外貨建てMMFは購入時手数料も無料で少額から始められます

最低投資額は外貨建てMMFによって異なりますが、米ドル支払いなら10ドルから、円での支払いなら5,000円からが相場です。

また、毎月分配型の投資信託であることも外貨建てMMFの大きな特徴のひとつです。

分配金は自動的に再投資に回され、いつでも自由に換金できます。

特定口座に対応

外貨建てMMFは特定口座に対応しています。

よって、原則として確定申告の必要がありません。気軽に売買可能です。

→特定口座の説明はこちらをご覧ください。

外貨建てMMFの手数料

計算

前述のとおり、購入時手数料や解約手数料はかかりません

外貨建てMMFで気にすべき手数料は2つあります。

1つは「為替手数料(為替コスト)」です。

日本円から米ドルに両替をする時に発生する手数料のことで、「両替手数料」とも言います。

通常、為替レートには「買いレート・売りレート」の2つが設けられており、両者には差が生じています。この差を「スプレッド」と呼びます。

このスプレッドが、外貨建てMMF(というよりも外貨建て投資全般)の手数料となります。

為替手数料は証券会社によって異なります。少しでも為替手数料の低い証券会社で取引するのがおすすめです。

長期運用においては為替手数料の影響は小さいですが、短期間の運用では為替手数料による影響が大きくなることも覚えておきましょう。

2つめの手数料は「外貨建てMMFを運用する会社へ支払う信託報酬」です。

信託報酬は運用会社によって異なりますが、外貨建てMMFは信託報酬を差し引いた後の利回りを表示しているため、気にする必要はありません。

信託報酬や利回りについては後ほど詳しく比較します。

元本割れの可能性

疑問

外貨預金が銀行が販売する商品だとするならば、外貨建てMMFは証券会社が販売する外貨預金と言えます。

証券会社に米ドルを預けていても利息は付きません。そこで、投資しない米ドルなどの待機資金を外貨建てMMFで運用するという活用方法が一般的です。

外貨建てMMFは、証券会社の「投資信託」のカテゴリにあることが多いです。

また、外貨預金は元本割れしませんが、外貨建てMMFは元本割れの可能性があります

安全な国債や社債で運用しているため、基本的に元本割れを起こす心配はありません。しかし、元本保証ではないことに注意が必要です。

というのも、米ドル建てMMFは過去に一度だけ「2001年のエンロン事件で一部の外貨建てMMFが元本割れした」という事実があります。

しかし、この事件があった時も、安全性の高いノムラ・グローバル・セレクト・トラストの外貨建てMMFは元本割れしていません

また、外貨建てMMFは多くの公社債に分散投資をしているため、エンロンのような大規模な事件が起こった場合でも、損失率はわずかです。

このような理由から、元本割れがないとは言い切れないが、その可能性は極めて低く、また期待値ベースで見るとプラスになる商品であると考えます。

視点を変えて、「もし金融機関が破綻した場合」はどうでしょうか。

金融機関が破綻した場合、外貨預金はペイオフの対象外なので元本保証は行われません。これは外貨預金の隠れたリスクと言えます。

外貨建てMMFもペイオフの対象にはなりません。しかし、投資者保護基金の対象となっているため、もし証券会社が破綻しても1,000万円まで保護されます

税金の取り扱い、確定申告が不要

確定申告

外貨建てMMFで発生する損益には以下のものがあります。

  • 分配金(利子所得)
  • 譲渡損益(譲渡所得)
  • 償還差損益(譲渡所得)

これらの損益は課税対象なので、本来であれば確定申告が必要です。

しかし現在は、外貨建てMMFには特定口座が設けられているため原則として確定申告は不要です。(証券会社が自動計算し税金を納めてくれる)

また、2016年からは外貨建てMMFの損益はすべて「申告分離課税」となったため、特定口座で取引している投資信託や株式との損益通算が可能です。

税金について考えても、外貨建てMMFはとても扱いやすく、個人投資家が気軽に始められる投資商品のひとつだと思います。

米ドル建てMMFの利回りと手数料を比較

比較

続いて、代表的な米ドル建てMMF、

  • ニッコウ・マネー・マーケット・ファンド
  • ノムラ・グローバル・セレクト・トラスト
  • ゴールドマン・サックス
  • ブラックロック・スーパー・マネー・マーケット・ファンド

の違いと利回り・手数料を比較してみます。

利回りは「直近7日間の平均実績、税引き前、米ドルベース」となっているため、円換算した場合、為替変動の影響を受けます。

また、信託報酬を引いた上での表記となっています。

米ドル建てMMFの利回りは、基本的に「米国短期国債利回り - 信託報酬」に近い値になると思います。

利回りや手数料は記事執筆時点(2018年3月7日)のものです。

ニッコウ・マネー・マーケット・ファンド

日興アセットマネジメント

利回り:1.011%

SMBC日興証券グループの米ドルMMFです。

多くの証券会社で取り扱いがあり、米ドル建ての他にも、カナダドル、豪ドル、NZドル建ての商品が選択可能です。

POINT

▼残存期間

  • 残存期間(投資対象):397日以内
  • 残存期間(ポートフォリオ全体の加重平均):60日以内
  • 残存年限(ポートフォリオ全体の加重平均):120日以内

▼投資対象

  • A-1格以上(S&P)またはP-1格以上(ムーディーズ)の証券もしくは証書
  • AA-格以上(S&P)またはAa3格以上(ムーディーズ)の公社債
  • その他、運用会社の裁量によりこれらと同等と判断するもの

▼借入・分散投資

  • 純資産総額の10%を超えて借入しない
  • 同一発行体の証券に純資産総額の10%を超えて投資しない

▼信託報酬
年率0.91%(上限)

▼管理会社
SMBC日興インベストメント・ファンド・マネジメント・カンパニー・エス・エイ

▼決算日
毎年12月末

まず、わかりにくい「残存期間」と「残存年限」の違いについて、目論見書に詳しく記載があります。

簡単に説明すると、

  • 残存期間:感応度の計測に利用
  • 残存年限:信用リスクの測定に利用

となっています。

つまり、残存期間が短いほど市場金利が利回りに反映されるスピードが早く、残存年限が短いほど投資リスクが低いということです。

日興の米ドルMMFは利回りはブラックロックに次いで優秀です。

理由としては、「AA-格以上(S&P)またはAa3格以上(ムーディーズ)の公社債」の組み入れが可能であるからだと考えられます。

格付け会社S&PのAA-、ムーディーズのAa3は最上位から4番目に位置しています。A格ではあるものの、最上位ではないため、その分リスクリターンが高くなります。

とはいえ、2018年1月末の加重平均残存期間は54日、組入上位10銘柄のすべてが「P-1」格付けとなっていました。

P-1格付けは、格付け会社ムーディーズの「グローバル・スケール短期格付」の中では最上位です。

ムーディーズの説明によると「短期債務の返済能力が極めて高い発行体(又は信用補完提供者)に対する格付」がP-1格付けの対象証券となります。

また、最も組み入れ比率が高いものでも投資比率が5%未満となっています。

資産全体の96.8%が現金・CD(Certificate of Deposit・譲渡性預金)、そしてCP(コマーシャル・ペーパー)で運用されており、極めて安全性が高い米ドルMMFだと感じました。

ゴールドマン・サックス

ゴールドマン・サックス

利回り:0.982%

米国大手投資銀行のゴールドマン・サックス(GS)が運用する米ドル建てMMFです。多くの証券会社が取り扱っています。

POINT

▼残存期間

  • 残存期間(投資対象):397日以内
  • 残存期間(ポートフォリオ全体の加重平均):60日以内
  • 残存年限(ポートフォリオ全体の加重平均):120日以内

▼投資対象

  • 最良格付証券
  • その他、投資顧問会社の裁量によりこれらと同等と判断するもの

※最良格付証券 = 一般に公認格付機関より短期債券に関して最高の格付けを得ているもの。

▼借入・分散投資

  • 純資産総額の10%を超えて借入しない
  • 同一発行体の証券に純資産総額の20%を超えて投資しない

▼信託報酬
年率0.85%(上限)

▼管理会社
ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント・インターナショナル

▼決算日
毎年12月末

利回りはニッコウMMFと比較してやや下回ります。

2018年1月末の加重平均残存期間は26日とニッコウよりも短いため、市場金利に対する感応度はゴールドマン・サックスの方が高いと考えられます。

具体的な組入銘柄は開示されていませんでしたが、

  • A-1+/P-1 64.0%
  • A-1/P-1 36.0%

となっており、投資方針どおり最高格付の証券のみに投資を行っていることがわかります。

ニッコウMMFが、CPとCD、そして現金で運用されているのに対して、ゴールドマン・サックスは変動利付債が約3割組み入れられているのが特徴です。

また、分散投資として1つの発行体に対して最大20%まで投資を行う可能性があるとしています。

ノムラ・グローバル・セレクト・トラスト

野村アセットマネジメント

利回り:0.904%

野村證券グループの外貨建てMMFとなります。

野村の外貨建てMMFはエンロン事件でも元本割れを起こさなかったという高い防御力を誇りますが、利回りは他の運用会社と比較して低めです。

POINT

▼残存期間

  • 残存期間(投資対象):397日以内
  • 残存期間(ポートフォリオ全体の加重平均):60日以内
  • 残存年限(ポートフォリオ全体の加重平均):不明

▼投資対象

  • 最良格付証券
  • その他、投資顧問会社の裁量によりこれらと同等と判断するもの

※最良格付証券 = S&P社および国際的に認知されている他の格付業者から短期債務証書に対する最高位の格付を得ているもの。

▼借入・分散投資

  • 純資産総額の10%を超えて借入しない
  • 同一発行体の証券に純資産総額の10%を超えて投資しない

▼信託報酬
年率0.66%(上限)

▼管理会社
グローバル・ファンズ・マネジメント・エス・エー

▼決算日
毎年7月末

ノムラ・グローバル・セレクト・トラストは、マンスリーレポートを見ても開示されている情報が少ないです。

他社が目論見書に記載している「残存年限」が不明である他、マンスリーレポートでも直近の加重平均残存期間について書かれていません。

ポートフォリオの内訳は、CD・CP・現預金が97.2%となっており、極めて安全性が高いと考えられます。(2018年1月31日時点)

また、最も組み入れ比率が高いものでも全体の3%程度なので、ニッコウMMFよりも幅広い銘柄に分散投資していることがわかります。

ブラックロック・スーパー・マネー・マーケット・ファンド

ブラックロック

利回り:1.197%

今回の4社比較の中では最も利回りが高いのが、ブラックロックの米ドル建てMMFです。

しかし、取り扱っている証券会社は少なく、私が知っている限りではSBI証券のみが扱っています。

ちなみに、ブラックロックは世界最大の資産運用会社です。

POINT

▼残存期間

  • 残存期間(投資対象):397日以内
  • 残存期間(ポートフォリオ全体の加重平均):60日以内
  • 残存年限(ポートフォリオ全体の加重平均):不明

▼投資対象

  • 公認されている各信用格付会社より上位2カテゴリーの格付のどちらかを付与された商品
  • その他、投資顧問会社の裁量によりこれらと同等と判断するもの

▼借入・分散投資

  • 純資産総額の10%を超えて借入しない
  • 同一発行体の証券に純資産総額の10%を超えて投資しない

▼信託報酬
年率0.75%(上限)(クラスB受益証券)
年率0.45%(上限)(インスティテューショナルⅠ受益証券)

▼管理会社
ブラックロック・ファンド・マネジメント・カンパニー・エス・エー

▼決算日
毎年1月末

ブラックロックの米ドルMMFには、「クラスB受益証券」、「インスティテューショナルⅠ受益証券」の2種類があるようなのですが、SBI証券がどちらを取り扱っているかは不明です。

マンスリーレポートを見ると、平均残存日数は25日とゴールドマン・サックスよりも短くなっています。

また、CPが70.5%・CDが35.6%・現金が-6.1%というあまり見たことがないパイチャートになっていました。

ブラックロックMMFのパイチャート

これはおそらく、6%程度の借入を行ってレバレッジをかけていることなのだと思います。

また、マンスリーレポートからは具体的な組入銘柄はわかりませんでした。

ブラックロックの外貨建てMMFが投資対象としているのは「最良格付証券」だけではなく、「上位2カテゴリー」まで許容しています。

証券会社の為替手数料と取扱状況の比較

分析

続いて、各証券会社の為替手数料を比較します。

外貨建てMMFは、

  • 円から直接投資
  • 保有している米ドルから投資
  • 解約時に円で受取る
  • 解約時に米ドルで受取る

の4つの方法で購入・解約ができます。

いずれの方法でも、日本円から米ドルに両替するタイミングで、為替手数料(スプレッド)が発生します。

長期の運用であれば為替手数料は気になりませんが、短期運用の場合、為替手数料は投資リターンに大きな影響を及ぼします

為替手数料は証券会社によって異なります。(特に大手証券会社は為替手数料が高めです)

例えば、為替手数料が100ドルあたり60銭の証券会社で取引した場合、年換算すると0.6%に相当します。

これは片道の手数料ですので、往復の場合は合計120銭(100ドルあたり1.2%)の手数料になります。

仮に利回りが1.0%の外貨建てMMFに投資していた場合、1年間で解約してしまうと手数料の分だけ損してしまう結果になりかねません。

外貨建てMMFに投資する時は、「為替手数料の低い証券会社の選択」が極めて重要です。

▼米ドルの片道手数料を比較

証券会社 片道手数料
松井証券 20銭
カブドットコム証券 20銭
SBI証券 25銭
楽天証券 25銭
マネックス証券 25銭
野村證券 50銭
大和証券 50銭

為替手数料が安いのは、松井証券とカブドットコム証券です。

また、大手証券会社はネット証券の2倍以上も手数料が高くなっていることがわかります。

しかし、SBI証券と住信SBIネット銀行を使った裏技的な方法を使うと、驚くほど為替手数料を下げることができます

この方法はとてもおすすめで、私自身もこの方法で外貨建て資産への投資を行っています。

SBI証券で為替手数料を下げる裏ワザ

為替

SBI証券を運営するSBIホールディングスは、ネット銀行「住信SBIネット銀行」を展開しています。

SBI証券と住信SBIネット銀行の資産は、日本円・米ドルを問わずにリアルタイムで振替できます。(手数料無料)

そして、住信SBIネット銀行では外貨預金の為替手数料が4銭と極めて低いのです。

SBI証券で為替手数料を4銭にする手順は以下の通りです。

1.住信SBIネット銀行に外貨預金する
日本円から米ドル預金をします。為替手数料はたった4銭です。

2.外貨預金口座から外国証券口座に振替
住信SBIネット銀行の外貨預金口座にある米ドルを、SBI証券の外国証券口座に振替します。リアルタイムで移動でき、手数料は無料です。

3.外貨建て資産に投資する
SBI証券の外国証券口座の米ドルを使って、米ドルMMFを購入したり米国株に投資します。

解約する時は逆の手順で行います。

1.外貨建て資産を売却・解約する
米ドルMMFを解約または、米国株を売却します。この時、円で受け取らず米ドルで受取るようにします。

2.振替
SBI証券の外国証券口座から、住信SBIネット銀行の外貨預金口座に米ドルを移動します。もちろん手数料は無料です。

3.外貨預金を解約
住信SBIネット銀行の外貨預金を解約します。この時にかかる為替手数料は4銭です。

少し面倒ですが、この方法を使えば為替手数料を気にせず外貨建て投資が実現できます。

この方法を使うと、SBI証券は大手証券会社の10分の1以下、松井証券やカブドットコム証券と比較しても5分の1以下のコストで投資できます

SBI証券 公式サイトはこちら

取り扱い銘柄の比較

分散投資

私がおすすめしたい外貨建てMMFの投資方法は「複数の米ドルMMFに分散投資する」というやり方です。

米ドル建てMMFは元々、極めてリスクの低い商品として提供されています。

しかし、利回りはどの商品も似通っていますから、自分でさらに分散投資することでリスク分散が行えると考えています。

外貨建てMMFは換金性に優れており、購入・解約が柔軟に行なえます。

よって、どの米ドル建てMMFが最も良いかを考えるのではなく、すべての運用会社の米ドル建てMMFを買うというのが、私のおすすめの投資方法です。

この分散投資法を行う場合も、やはりSBI証券の選択が最もおすすめです。

なぜなら、SBI証券は他の証券会社と比較して米ドル建てMMFの取扱本数が多いからです。

ニッコウ マネー・マーケット・ファンド
SBI証券・楽天証券・マネックス証券・カブドットコム証券
ゴールドマン・サックス・米ドル・MMF
SBI証券・楽天証券・松井証券
ノムラ・グローバル・セレクト・トラスト
SBI証券
ブラックロック・スーパー・マネー・マーケット・ファンド
SBI証券

米ドル建てMMFに投資をするなら、為替手数料・分散投資のいずれも、SBI証券に優位性があります。

SBI証券 公式サイトはこちら

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野村つみたて外国株投信の評価、世界分散投資でつみたてNISAにおすすめ

野村つみたて外国株投信

野村つみたて外国株投信は、1本の投資信託で世界分散投資を実現できる「つみたてNISA対象」ファンドです。

つみたてNISA対象の投資信託は信託報酬が低コストであり、初心者の方でも安心して購入できます。

野村つみたて外国株投信は「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2017」でも4位にランクインしている人気商品です。

今回は、野村つみたて外国株投信を個人投資家目線で分析・評価するとともに、ライバルとなる投資信託との比較を行います。

世界分散投資を低コストで実現

世界分散投資

野村つみたて外国株投信は、資産運用会社の野村アセットマネジメントが「つみたてNISA対応商品」としてリリースした投資信託です。

マザーファンドを通じて、先進国株式と新興国株式に投資するため、1つの投資信託を買うだけで世界中に分散投資ができる優れたファンドです。

投資信託を選ぶ上で最も重視される「信託報酬」は年率0.19%+税であり、これまでの外国株式インデックスファンドと比べても極めて低いコストを実現しています。

→(初心者必見)信託報酬の説明はこちらです

もちろん、つみたてNISA対象ファンドなので「購入時手数料0円のノーロードファンド」です。

個人的には、「野村アセットマネジメントはよく頑張ったな」と思いますし、顧客本位で作られた良い投資信託であることは間違いありません。

連動する指数「MSCI ACWI」とは?

世界経済

野村つみたて外国株投信は、MSCI ACWIという指数に連動するインデックスファンドです。

MSCI ACWIは「MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス」の略称で、日本語では「全世界」と名付けられることが多いです。

つまり、MSCI ACWIに連動するということは、全世界の株式を投資対象としており、世界経済の成長の果実が得られるファンドとなります。

野村つみたて外国株投信では、この中でも「MSCI ACWI(除く日本、配当込み、円換算ベース)」という指数に連動する投資信託となっており、日本株は投資対象外です。

日本株に投資をしたい場合は、別の投資信託を追加する必要があります。

しかし、日本よりも海外投資を増やしたい方にとっては、日本株を除外した野村つみたて外国株投信のようなファンドは選びやすいと思います。

MSCI ACWI指数は、

MSCI コクサイ・インデックス
日本を除く先進国株式を対象とした指数
MSCIエマージング・マーケット・インデックス
新興国株式を対象とした指数

を合わせた指数です。

MSCI コクサイ・インデックスは、先進国23カ国を投資対象としており、時価総額の85%をカバーしています。

また、MSCIエマージング・マーケット・インデックスは、新興国24カ国を投資対象としており、同じく時価総額のカバー率は85%です。

つまり、MSCI ACWI(全世界)指数は、先進国・新興国を合わせた合計47カ国に分散投資し、時価総額の85%をこの投資信託1本でカバーできることを意味します。

とはいえ、世界経済における米国の影響は大きいため、国別分散では

  • アメリカ:54.8%
  • イギリス:6.0%
  • フランス:3.6%
  • ドイツ:3.6%
  • 中国:3.5%

と、先進国が大半を占めています。(2018年1月31日現在)

野村つみたて外国株投信の資産クラス

野村つみたて外国株(MSCI ACWI)は2,000銘柄以上に分散投資をしているため、新興国株式にも投資をおこなっています。

しかし、世界経済全体で見た場合、新興国の影響がそこまで大きくないことから、上位組入比率を見ると、上記のように先進国への投資が過半数を占めています。

投信ブロガーはこのような「全世界を投資対象にしているファンド」を好む傾向にあり、低コストな全世界インデックスファンドは人気が高まっています

当サイト「1億人の投資術」管理人が選ぶ「つみたてNISA対象ファンド」は下記で紹介しています。興味のある方は一度ご覧ください。

野村つみたて外国株投信の利回り

利回り

野村つみたて外国株投信は、前述のMSCI ACWIに連動した動きとなります。

まだ設定間もない投資信託なので、実質コストを判断することは難しいのですが、利回り(年率リターン)はMSCI ACWI指数の過去の上昇率を見ることで試算できます

2018年1月31日時点で、MSCI ACWIの過去の年率リターン(利回り)は以下のようになっています。

  • 30年間:9.4%
  • 20年間:6.3%
  • 15年間:9.7%
  • 10年間:7.2%
  • 5年間:15.6%
  • 3年間:9.8%
  • 1年間:24.3%

投資リターンは、短期的にはランダムな動きをしますが、長期的には経済成長に沿った動きをすると言われています。

30年間という長期で見た場合、年率リターンは9.4%です。

つみたてNISAの非課税期間である20年間で見ると年率6.3%であり、この数値は上記の中でも最も悪い数値です。

上記の結果から、長期的な運用では年率6.3%~9.4%程度の利回りで運用できると考えられます。

もちろん、将来のことはわかりませんのでこの結果が保証されるものではありませんが、目安の判断材料としては十分使えます。

本来は、この年率リターンから信託報酬が控除されますが、野村つみたて外国株投信の信託報酬は極めて低いため、気にするほどではないと考えます。

ちなみに、つみたてNISAで積立可能な金額である月額3.3万円(年間40万円)を年率6.3%で20年間運用した場合、1,580万円になります。利回りが9.4%なら2,319万円です。

コツコツと積立を継続していけば、20年後には数千万円程度のまとまった資産が作れると試算できます。

通常はこれらの投資利益に税金がかかりますが、つみたてNISAであれば20年以内の売却で投資利益が非課税です

このように考えると、野村つみたて外国株投信を活用した積立投資は、リスクリターンの見合う悪くない投資だと思います。

さらに高いリターンを追求したい場合は、アクティブファンドを選択するのもひとつの方法です。

長期的にはアクティブファンドは良い結果につながらないことも多く、リスクの高い投資となりますが、インデックスファンド以上のリターンが期待できる投資信託となります。

ライバルファンドとの比較

投資利益の比較

野村つみたて外国株投信は良いファンドですが、つみたてNISA対象ファンドの中には、その他にも良い商品がたくさん存在します。

続いて、競合しうる類似の投資信託との比較を行っていきます。

楽天・全世界株式インデックス・ファンドとの比較

バンガードと楽天投信投資顧問

楽天・全世界株式インデックス・ファンドは、楽天投信投資顧問が運用する投資信託です。

名前のとおり、全世界を投資対象としたファンドで、バンガード・トータル・ワールド・ストックETF(VTI)という有名なETFに間接的に投資をする仕組みで運用しています。

信託報酬(トータルコスト)は0.23%+税 程度となっており、野村つみたて外国株投信と比較して若干コストが高いです。(気にするレベルではありませんが)

野村つみたて外国株投信と楽天・全世界株式インデックスファンドの決定的な違いは、連動する指数にあります。

楽天・全世界株式インデックスファンド
FTSEグローバル・オールキャップ・インデックスに連動
野村つみたて外国株投信
MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス(除く日本)に連動

この2つの指数の違いは、小型株を含んでいるかどうか、そして日本株を含んでいるかどうかです。

MSCI ACWI(除く日本株)は大型株と中型株のみを投資対象にしており、小型株は投資対象外です。(世界の株式市場の時価総額の約85%をカバー)

一方で、FTSEグローバル・オールキャップ・インデックスは小型株を含んでおり、世界の時価総額の約98%をカバーしています。

また、日本株を含んでいるのもFTSEグローバル・オールキャップ・インデックスの特徴です。

どちらの指数の方が良いかは一概には言えませんが、より世界分散投資をしっかりと行いたいのであれば「楽天・全世界株式インデックスファンド」がおすすめです。

少しでも投資信託のコストを抑えたい場合は、野村つみたて外国株投信がおすすめです。

ちなみに、投信ブロガーの意見では「楽天・全世界株式インデックスファンド」の方が人気があります

楽天・全世界株式インデックスファンドは下記の記事で詳しく解説しています、あわせてご覧ください。

EXE-iつみたてグローバル(中小型含む)株式ファンド

EXE-i(エグゼアイ)

SBIアセットマネジメントが運用する「EXE-i つみたてグローバル(中小型含む)株式ファンド」も、FTSEグローバル・オールキャップ・インデックスに連動する投資信託です。

つまり、EXE-i(エグゼアイ)つみたてグローバル株式ファンドは、前述の楽天・全世界株式インデックスファンドとまったく同じです。

大きく違う点は、信託報酬が0.139%+税と極めて低いことです。

この信託報酬は、野村つみたて外国株投信をさらに下回っていることから、「世界分散をしっかりと行い、かつコストも下げたい」という方にとって最高の商品になると思います。

事実、EXE-i(エグゼアイ)つみたてグローバル株式ファンドは現時点で最強との声も大きい投資信託です。

しかし、ファンド・オブ・ファンズの形体を取っていることから、実質コストが本当に安いのかどうかは年次レポートを見てからでなければ判断できません。

最も、ここまでで紹介してきた「野村・楽天・SBI」の投資信託はいずれも良いファンドなので、どれを選択しても大きく間違うことはありません

EXE-i(エグゼアイ)つみたてシリーズは下記の記事で書いていますので、あわせてご覧ください。

全世界株式インデックス・ファンド

ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ

楽天バンガード投信「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」と名前が似ておりややこしいのですが、「全世界株式インデックス・ファンド」という名前の投資信託もあります。

こちらの資産運用会社は、「ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ」です。

(楽天ではない方の)全世界株式インデックス・ファンドは、野村つみたて外国株投信と同じ「MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス」に連動しますが、こちらは日本株を含むという点で異なります。

野村つみたて外国株投信
MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス(除く日本)に連動
全世界株式インデックス・ファンド
MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックスに連動。日本株を含む。
楽天・全世界株式インデックス・ファンド
FTSE グローバル・オールキャップ・インデックスに連動。日本株、小型株を含む。

これら3つの投資信託にはそれぞれ微妙に違いはあるものの、どれが良いとは一概には言えません。逆に言うとどれを選んでも大きく変わることはないため、個人的にはコスト優位性で選ぶのが良いと考えます。

ステート・ストリートの「全世界株式インデックスファンド」の信託報酬は年率0.48%+税なので、野村つみたて外国株投信と比較するとやや高めです。

eMAXIS 全世界株式インデックス

eMAXISシリーズ

最後は、野村つみたて外国株投信とまったく同じ指数に連動する投資信託との比較です。

コストに優れたつみたてNISA対象商品の中では、記事執筆時点(2018年3月6日)で、

  • 野村つみたて外国株投信(信託報酬:0.19%)
  • 三井住友・DCつみたてNISA・全海外株インデックスファンド(信託報酬:0.25%)
  • eMAXIS 全世界株式インデックス(信託報酬:0.60%)

※税抜きです

の3本が、連動する指数が全く同じ「MSCI ACWI(除く日本)」となっているファンドです。

内容が同じ場合は、基本的に信託報酬の低い方が有利となります。

マザーファンドや純資産の大きさ、実質コストを気にする方もいますが年次報告書が出揃っていない現在は、やはり信託報酬で比較するのが最も合理的です。

信託報酬で3つのファンドを比較した場合、野村つみたて外国株投信が最も低コストとなります。

おそらく「信託報酬の低さ」が、「野村つみたて外国株投信」が投信ブロガーに支持されている理由につながっているのだと思います。

iDeCoでは取り扱いなし

イデコ

残念ながら、今のところ個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」では、野村つみたて外国株投信をラインナップに加えている金融機関はありません。

よって、つみたてNISAや通常販売では購入できますが、iDeCoで野村つみたて外国株投信を購入することはできません。

代替案として、楽天証券のiDeCoでは「楽天・全世界株式インデックスファンド」を取り扱っているため、もしiDeCoで全世界分散投資ファンドを買いたい場合は、楽天証券のiDeCoがおすすめです。

楽天証券のiDeCo 公式サイトはこちら

SBI証券での購入がおすすめ

金の卵

投資信託はSBI証券での購入がおすすめです。

SBI証券が展開している「投信マイレージ」は、投信保有残高に対して年率でSBIポイントがもらえるサービスです。

ポイント還元率は、

  • 投資信託の種類
  • 投資信託の合計保有残高

によって異なりますが、0.00%~0.20%です。

貯めたSBIポイントは、1ポイント=1円相当として現金キャッシュバックなどに使えます。

例えば、SBI証券で投資信託を500万円保有している場合、その0.1%に相当する5,000ポイントが毎年もらえることになります。

投信マイレージで発生するポイントは毎年もらえるので、実質的な信託報酬(コスト)の割引につながり、他の証券会社や銀行で投資信託を購入するよりもお得になります。

本記事で取り上げた投資信託を、投信マイレージのポイント考慮後で計算すると以下のようになります。

野村つみたて外国株投信
ポイント還元率は0.05%。信託報酬は0.19% → 実質0.14%に
楽天・全世界株式インデックスファンド
ポイント還元率は0.03%。信託報酬は0.21% → 実質0.18%に
EXE-iつみたてグローバル(中小型含む)株式ファンド
ポイント還元率は0.03%。信託報酬は0.139% → 実質0.109%に
全世界株式インデックスファンド
ポイント還元率は0.10%。信託報酬は0.48% → 実質0.38%に
三井住友・DCつみたてNISA・全海外株インデックスファンド
ポイント還元率は0.05%。信託報酬は0.25% → 実質0.20%に
eMAXIS 全世界株式インデックス
ポイント還元率は0.10%。信託報酬は0.60% → 実質0.50%に

※信託報酬は税抜きです

投資信託によっては、ネット販売に限定しており大手証券会社では購入できないものもあります。

しかし、2,000本以上の投信を取り扱うSBI証券であれば、上記すべての投資信託を扱っており、またより低コストで購入することが可能です。

SBI証券 公式サイトはこちら

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サウスウエスト航空の戦略から学ぶ株式投資の原則とビジネス成功の秘訣6カ条

N8653A SOUTHWEST AIRLINES 2014 BOEING 737-8H4 s/n  37037

投資の世界では「航空会社には手を出すな」という意見があります。

なぜかというと、航空会社は飛行機の開発に多額の設備投資がかかり、燃料となる原油価格の変動の影響を受けます。

さらに、従業員のストライキや巨額のリース債務といったリスク、そして競合他社との過酷な競争があります。(事実、日本のスカイマークは巨額のリース債務が仇となり、一発で破綻してしまいました)

そのような状況で、一度でも飛行機を墜落させてしまえば会社の信用が失墜するという怖さもあり、安全な運行は絶対に行わなくてはなりません。

つまり、飛行機を空に飛ばすという航空会社のビジネスは、私たち人間にとって夢はありますが、投資家にとって重要な「利益」は生み出さないということです。

著名投資家として知られるウォーレン・バフェットも、航空会社への投資では何度も失敗しています。それくらい、航空会社株に投資をして儲けるのは難しいのです。

しかし、アメリカには「サウスウエスト航空」という素晴らしい会社があります。

競争の激しい航空業界で徹底した黒字経営を続け、サウスウエスト航空のの株価は38年間で年率16.09%の上昇を記録しています。

これは、38年前にサウスウエスト航空の株式を購入して持ち続けていた場合、100万円が2億8,987万円になったことを意味します。(株価上昇率は290倍)

さらにこれは株価値上がりによる利益であるため、これとは別に「配当金」による利益もあります。もし配当金を再投資にまわしていれば、年率リターンはさらに上がっているでしょう。

この記事では、投資家そして経営者にとっても学ぶことの多いサウスウエスト航空の戦略について考察していきます。

サウスウエスト航空 成功の秘訣6カ条

チェックリスト

サウスウエスト航空は1995年のアニュアルレポート(年次報告書)で「成功の秘訣6カ条」を示しています。

サウスウェスト航空:成功の秘訣6カ条

  • 得意なことにしがみつく(Stick To What You’re Good At)
  • あくまで単純に(Keep It Simple)
  • 価格は低く、コストはさらに低く(Keep Fares Low, Costs Lower)
  • 立ち止まらない(Never Stand Still)
  • 素晴らしい人材を雇う(Hire Great People)

得意なことにしがみつく

航空機の整備士

サウスウエスト航空は「ブルーオーシャン戦略」によって成功した会社です。

サウスウエスト航空の知名度が日本であまり高くない理由として、同社は「国内線に限定してサービスを展開しており、国際線への進出をしていない」ことがあげられます。

国内線に限定して運行しているため、航空会社のアライアンス(航空連合)にも加盟していないと思われます。

(最近では、M&A(企業買収)によって取得した航空会社を通じて国際線の運行も行っているようです。)

基本戦略は、他の航空会社があまり得意としておらず、利用客の少ない短距離の路線です。

一般的な航空会社が「乗客も少なく儲からない」という理由で撤退していく路線に、サウスウエスト航空は格安運賃かつ便数を増やす戦略で対応しています。

サウスウエスト航空の顧客は主として、650キロぐらい離れた2都市間を約1時間で飛びたいと考えている人たちである。(出典:破天荒!!)

運賃が安くても、便数を増やしてニッチ市場を独占することで利益が上がる仕組みを作ったのです。

しかし、便数を増やすためには整備にかかる時間を短縮しなければなりません。この点を、サウスウエスト航空は「ボーイング737型機のみを扱う」ことで対処しました。

サウスウエスト航空はボーイング737型機しか取り扱いません。

なぜなら、機材を1種類に絞ることによって、パイロットや整備士の訓練を単純にできるからです。

従業員にとっても普段から使い慣れている機材の方が、作業スピードが上がるのは当然ですし、スペア部品の仕入れも少なくて済みます。

購入する機種が固定されていれば、第1に訓練が単純化できる。パイロット、客室乗務員、整備士、食糧補給係は、ボーイング737だけを知り尽くせばよい。

さらに、737型機に絞ることによって、新たに航空機を導入する際の商談も有利になる。(出典:破天荒!!)

創業して間もなく、サウスウエスト航空は10分で飛行準備ができるようになった。さらに、地上待機時間を10分にまで短縮すれば、運転経費を25%削減できることが分かった。(出典:破天荒!!)

得意な分野に的を絞ってビジネスを展開することで、サウスウエスト航空は小さな会社でありながら大企業と戦い、そして高い成長を続けてきました。

株式投資の観点から、ジェレミー・シーゲルは以下のように語っています。

自分以外のものになろうとしない。できないことをやろうとしない。経済学者にいわせれば「自社の優位性の追及」あるいは「中核的能力(コアコンビタンス)への専念」となるだろう。(出典:株式投資の未来)

結果的に、このような保守的な戦略が強固な財務基盤を築き上げました。

そして、航空業界が不況に苦しんでいるときに、この保守的な経営が黒字を維持し、「M&Aによって他社を買収するチャンス」を生み出したのです。

あくまで単純に

Tシャツとジーンズを着る女性

最近ではLCC(格安航空会社)が増えていますが、サウスウエスト航空はずいぶん昔から「低額運賃」でチケットを販売していました。

航空業界では「空の旅をより上質なものにする」のがあたりまえとされていますが、サウスウエスト航空はその逆で「サービスを簡素化」しています。

サービスを必要最小限にすることで経費を減らし、浮いた費用を「低価格」という形で顧客に還元しているのです。

サウスウエスト航空には予約席がなく、すべての乗客が「自由席」なのだとか。さらに、短距離を得意としているため機内食なども出していません。

先ほどのボーイング737しか扱わないという姿勢にも共通しますが、「あくまでも単純に」を意識した経営を行っているのです。

価格は低く、コストはさらに低く

1ドル札

サウスウエスト航空は昔から「低価格」を売りにしたビジネスモデルで成長してきました。

しかし、運賃の価格を下げるためには、それ以上にコストを下げなければ黒字経営を続けることはできません。こうした基本的かつ重要なことをサウスウエスト航空は大切にしています。

共同設立者のハーバート・ケレハーは以下のように語っています。

他社と異なる点は、自分のやり方を捨ててまで成功しようという罠に陥らなかったことだ。従業員と話をしてみれば、「大きいことはいいことだ」という考えにとらわれていないことが分かるだろう。

「パリへの国際路線を開きたいとか、747型を使いたいなどとは夢にも思わない」とケレハーは言う。「それよりも、利益を上げることや、仕事の安定化を図ることの方が大事なんだ。

地方しか飛ばない小さな会社だからという理由で注目されなくても、そんなことは大した問題ではない。われわれは信念に従って、ニッチ市場で頑張っているのだ」(出典:破天荒!!)

実は、「小さな市場」で「低価格」で勝負をするビジネスモデルは、偉大な会社に共通しています

その代表例がウォルマートやアマゾンです。

ウォルマートは当初、小さな地域市場を主戦場としていましたし、アマゾンも当初は書籍だけしか取り扱っていませんでした。

そして、どちらの会社も低価格で商品を販売することで顧客の信頼を勝ち取り、その後大きく成長しアメリカを代表する企業になっています。

サウスウエスト航空は、航空業界のウォルマートであり、アマゾンなのです。

立ち止まらない

勉強する赤ちゃん

サウスウエスト航空の場合、スピードとは他の航空会社が数カ月かかるところを数日で成し遂げることを言う。(出典:破天荒!!)

サウスウエスト航空はこれまでに何度も困難に直面しています。

設立当初から大手航空会社に業界への参入を阻まれ、また訴訟費用などがかさんで「手元資金が足りない」という危機的な状況も経験しています。

しかしその度に、試練や失敗から学び、困難に立ち向かうために知恵を絞って成長してきた(逆に言うとそうするしかなかった)同社は、それが「独自のノウハウ」として蓄積され、現在の経営に活かされています。

また、サウスウエスト航空の社員は学習が不可欠であると考えており、常にサービスの質を向上させるために学び続けています。

ただ、コストを下げて利益率を高めるという数字だけの話ではなく、それを実現するためには数多くの試行錯誤と学び続けることが必要です。

こうした「立ち止まらない」姿勢がなければ、サウスウエスト航空の業績がここまで成長することはなかったと思います。

素晴らしい人材を雇う

キャビンアテンダント

サウスウエスト航空の採用率はわずか2%であると、同社の人材担当の方がハーバード・ビジネス・レビューで語っていました。

企業にとって人材は何よりも大切であり、サウスウエスト航空のような革新的な会社では特に重要であると思います。

似たような業種のA社とB社があります。どちらもサービス内容や企業規模が似ており、両者は競合他社としてお互いを意識しています。

しかし、なぜか一方は優れたサービスをリリースし、一方は後追いで同じサービスを出すか、先出しで上手くできているとは言えない商品をリリースする。このような企業に思い当たる節はないでしょうか?

私は似通ったA社とB社の違いは「人材の差」にあるのではないかと考えています。そして、人材の差はサービスや新製品の質に現れてくると感じます。

サウスウエスト航空では「サウスウエスト・ウェイ」という、採用の際に重視する3つの資質を掲げています。これらは同社の採用試験で、技術力よりも優先されるとのことです。

サウスウエスト・ウェイ

1.戦士の精神(warrior spirit)
卓越したいという欲求、勇気あふれる行動、粘り強さ、革新への意欲。

2.召使いの心(servant’s heart)
他者のことを第一に考える、すべての人々に敬意を持って接する、積極的に顧客に奉仕する。

3.楽しいことを愛する姿勢(fun-loving attitude)
情熱あふれるチームプレーヤー、仕事を楽しむ、自分について深刻に考えすぎない。

サウスウエスト航空について書かれた書籍「破天荒!!」によると、同社の従業員のほとんどが最も重要なのは利益率だと考えているそうです。

コスト管理が従業員全員に徹底しているからこそ、航空券の価格を引き下げることができます。

ハーバート・ケレハーは「シェアと利益率は関係ない」と言い切っています。

その一方で、サウスウエスト航空の経営陣は「人件費の削減を経費削減の対象にしていない」と考えており、同社の人件費率は航空業界でも高い水準となっています

また、サウスウエスト航空は業界ではじめて、従業員に対する「利益分配制度」を採用し、営業利益の15%を従業員の報酬に上乗せしています。

従業員は分配利益の25%をサウスウエスト航空の株式に投資する決まりとなっており、「従業員持株会」の制度も整っています。

このようにして、経営陣と従業員の利害関係を一致させることで「会社をより良くしよう」という共通の認識を持つことができる仕組みになっています。

サウスウエスト航空の業績と株価

サウスウエスト航空のEPS推移

これまで、サウスウエスト航空の経営やビジネスモデルについて書いてきましたが、業績や株価はどうなっているのかというと、こちらも素晴らしい結果となっています。

この30年間、バークシャーを上回るリターンを達成した会社は、ひとつしかない。サウスウエスト航空だ。(出典:株式投資の未来)

サウスウエスト航空の株価は、1980年1月から2018年1月の38年間で0.2ドルから58.01ドルまで成長しました。

冒頭でもお伝えしましたが、38年間の年率リターンは16.09%であり、株価は290倍になりました。(配当金を除いた株価の値上がりのみ)

また、2005年から2017年までのEPS(1株あたり利益)の推移を示したグラフが上記の図です。

2009年ごろのリーマンショックの影響においても黒字を維持しており、その後の景気回復によって大きく成長しています。

2005年から2017年までの12年間のEPS成長率は年率21.0%となっており、これが極めてすごい結果であることは投資家であれば理解できるはずです。

優れた経営と従業員が優れた業績を生み出し、それが株価にきちんと反映されている好例です。

サウスウエスト航空の株価については米国ヤフーファイナンスを、EPSについてはYCHARTSを参照しました。

管理人が考える3つの法則

1億人の投資術 管理人の評価

今回、引用で用いているジェレミー・シーゲルの著書「株式投資の未来」では、航空会社のような競争が激しく利益を生み出しにくい業界にありながら成功した、サウスウエスト航空、ウォルマート(小売業)、ニューコア(鉄鋼業)に共通する特徴を以下のように述べています。

3社とも、革新的な手法を通じて、従業員から最大限の生産性を引き出した。3社とも、独自の戦略を編み出し、それぞれの業界で圧倒的な低コスト体質を実現した。

だがなにより重要なのは、次の点だろう。3社とも、目標を達成するためには、経営陣が手綱を引き締め、模範的な労働環境を整えることが先決だと認識していた。

競争の激しい業界はたしかに、利益を生みにくい特性があるため投資家からは敬遠されがちです。

しかし、サウスウエスト航空、ウォルマート、ニューコアが属する業界はいずれも「人間社会の発展において重要な分野」であることに間違いはありません。

このような「儲からない業界でも、企業努力によって結果を出している会社」を見つける姿勢が、私たちは投資家にとって大切なことではないかと考えます。

サウスウエスト航空の考え方を知って、私は以下の3つが、このような業界では特に重要ではないかと感じます。

私自身、小さな会社を経営していますので、経営にも活かせる内容だと思いました。

1.可能な限り設備投資を避ける

工場

巨額の設備投資には、巨額の資金調達を伴うことが多く、これは企業の財務基盤を悪化させる要因です。

支払利息も増えますし、それを回避して見栄えを良くするためにリースに切り替えると、簿外債務としてリース債務が発生することもあります。

こうした財務の悪化が引き金となり破綻する企業は少なくありません。

設備投資が競争のために必要不可欠であることは言うまでもありませんが、投資額を増やすことが勝つための要素ではないはずです。

サウスウエスト航空のようにコストの合理化によって設備投資額を業界平均より少なく保つことが、逆に競争優位性へとつながるのです。

2.利益率を優先する

利益率

企業は規模の拡大を優先しがちです。

しかし、投資家の視点でみるとウォーレン・バフェットが言うように「利益の額よりも収益率の方が大事」だと私は思います。

利益率を高めることは、企業にとって余裕をもたらし、投資家に対しても利益を生み出します。

サウスウエスト航空の成功の秘訣6カ条にあるように、また競争の激しい業界での成功企業に共通するように「価格は低く、コストはさらに低く」は重要な要素です。

そして、低価格・低コストを実現するためには、「利益率に目を向けよ」という結論に至ります

設備投資の代わりに頭とアイデアを使う

アイデア

設備投資を避けてコストもかけない、その一方で顧客への販売価格は下げる、このような理想を実現するために必要なことがあります。

それは「アイデア」です。言い換えると「知恵を絞る」、「脳に汗をかく」ということです。

ボーイング737型しか扱わない、特定の路線に絞り込む、(自分たちが良いと思う)前例のないサービスを提供する。

これらはいずれも、業務効率を高めたり、コストを下げる効果、そしてコストをかけずに満足度を高めることに繋がります。

これまで業界では「あたりまえのこと」とされていた「しきたりからの脱却」こそが「価値」であり、その価値を生み出した会社が勝つと私は思います。

私は、企業競争の本質は「合理性の追求」にあると考えます。

とても大切なことなのに、お金をかけることが勝利や価値の創造につながると考えている企業があまりに多いと感じます。

これら3つの要素に加えて、経営スピード、そして進化することを止めなければ、会社は永続的に繁栄するのではないかと思います。

サウスウエスト航空の4代目CEOを務めたジム・パーカーは「この仕事は単なる利潤追求ではない。サウスウエスト航空が素晴らしいのは、米国のビジネス環境を変えると同時に、新しい市場を開拓するたびに、それを変革していることだ」と言っています。

これも、サウスウエスト航空の成功の6カ条「立ち止まらない」に通じます。

アメリカでは有名な航空会社ですが、日本ではサウスウエスト航空のことはそこまで知られていません。

私自身、これまで一度もサウスウエスト航空を利用したことがないので、いつか憧れのサウスウエスト航空に乗ってみたいです。

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シラーPER(CAPEレシオ)で株価の割高を分析、計算方法と日本株チャート

株価データ

シラーPER(通称:CAPERレシオ)は、長期の平均利益を用いて計算したPER(株価収益率)です。株価や株式市場の割高・割安を判断するための指標として用いられています。

「シラーの循環調整PER」や「PE10」と呼ばれることもあります。

シラーPERを生み出したロバート・シラー教授は、サブプライム問題やリーマンショックなどの米国住宅バブルの崩壊でも注目されていた「S&Pケース・シラー住宅価格指数」の生みの親でもあります。

ノーベル賞経済学賞を受賞しており、投機バブルなどの研究に精通している人物です。

日本では「CAPEレシオ」と呼ばれることが多いのですが、本記事では「シラーPER」と呼びます。(どちらも同一の指標です)

シラーPERは主に米国株式指標で用いられるものですが、今回はその計算方法や日本株に応用したケースも含めて説明したいと思います。

シラーPERの計算方法

計算

シラーPERの計算方法についてまとめます。

▼PER(株価収益率)の計算方法
PER = 現在の株価 ÷ 1株あたり純利益

▼シラーPER(CAPEレシオ)の計算方法
シラーPER = 現在の株価 ÷ 過去10年間の1株あたり純利益の平均値

※シラーPERは、純利益をインフレ補正(インフレ率での調整)が必要

この計算方法を知っていれば、株式投資の初心者でもデータさえ集めることができれば、シラーPERを計算できると思います。

個別株にも用いることができますが、一般的には「TOPIX(東証株価指数)」や「S&P500」と言った株価指数に対して、シラーPERを使うことが多いです。

シラーPERの特徴は、(インフレ補正済みの)過去10年間の1株あたり純利益の平均値を用いることです。

これが何を意味するのかというと、まず「インフレ補正」することによって、通常のPERとの比較が可能となり、また10年間の1株あたり純利益の平均値を使うことで一時的な要因を排除できるという利点があります。

一般的にはシラーPERが25倍以上になると割高と言われます。

10年間という長い期間の平均収益で見ているので、長期的なスパンで「過熱感が高まっている」ことが判断できます。

シラー教授は次のように言っています。

遠い未来を予想するより、近い未来を予想する方が易しいと思われるかもしれないが、データはそのような直感的な見方とは逆になっている

極端に言えば、株式市場のPERが300倍という超絶なバブルの状態にあった場合、まだバブルが続いて株価が上がるのか、それとも明日バブルが崩壊して暴落するのか、短期的には誰にもわかりません。

しかし、PER300倍という異常な状態でも、30年間という長期的な視点で見れば、誰がみても割高な状態であり、投資すべきタイミングではないことは明らかだということです。

個別株投資でよく使われる一般的なPERについての説明は下記の記事でおこなっています。あわせてご覧ください。

シラーPERを使った投資手法

株価チャート

今回参考にした書籍(後ほど紹介します)では、シラーPERを活用した投資手法が紹介されていました。

▼PERモメンタム手法
シラーPERの15倍で投資を行い、24倍で売却する投資手法

具体的な手順は以下の通りです。

1.毎月1回、シラーPERを確認する

2.シラーPERが15倍を下回ったら、毎月その数値をメモする

3.その後、株式指標が6%以上上昇したら株式インデックスファンドに投資する

4.以降は、新規投資を継続し、配当金や分配金なども含めて再投資に回す

5.シラーPERが24倍を上回ったら、毎月その数値をメモする

6.その後、株式指標が6%以上下落したら株式インデックスファンドを売却し、債券など安全資産に乗り換える

7.再びシラーPERが15倍を下回るまで数年かかるが、債券で運用しながらじっくりと待つ

私はこの方法を実際に試したわけではありませんが、とても合理的な考え方だったと思います。

(少し画像が汚いですが)下記が、「PERモメンタム方式」と「持ち切り方式」のリターン比較です。

「持ち切り方式」というのは、最初に株式インデックスファンドに投資をして放置する戦略です。

シラーPERを使った投資手法のリターン

過去のS&P500の例では、この投資手法によって圧倒的なリターンが得られたことがわかりますね。

上記の手法をそのまま実践せずとも、シラーPER15倍以下で割安の判断、24倍以上で割高の投資判断をするという参考指標としても使えると思います。

シラーPERの推移をチャートで見る

S&P500のシラーPER

上記のチャートは、S&P500(アメリカの主要株価指数)のシラーPERの推移です。1881年1月~2018年2月までの137年間のデータとなっています。

このチャートはShiller PE Ratioで閲覧できるものです。

記事執筆時点(2018年2月)の情報となりますが、

  • 平均:16.83倍
  • 中央値:16.15倍
  • 最小値:4.78倍(1920年12月)
  • 最大値:44.19倍(1999年12月)

となっています。

歴史上、最も高いシラーPERが44倍であり、平均値・中央値は16倍です。

現在のS&P500 シラーPERが32.83倍になっていることからも、すでに米国の株式市場は割高水準へ突入していると考えられます。(あくまでもシラーPERのみで判断した場合)

また、個人的に興味深いと思ったのは、歴史上最も低い4.78倍という数字。

1920年12月に、シラーPERが4.78倍という超割安な水準に達しているわけですが、そこから急速に株価が上昇し、その9年後には1929年の世界恐慌が起こっています。

1929年の世界恐慌が起こる直前のシラーPERは約30倍であったことからも、「歴史上極めて割安な水準から急激に株価がリバウンドし、その9年後には行き過ぎにより割高となって、大暴落を引き起こしている」ことがわかります。

歴史に学ぶとすれば、2009年にリーマンショックが起こり、株式市場が割安になったところから急速に株価がリバウンドし、2018年現在にシラーPERが32.83倍を迎えてるという状況は、決して楽観視すべきではない水準のように感じます。

もちろん、過去にシラーPERが44倍まで達している歴史があるわけなので、まだまだ上昇の余地は十分あると考えることもできます。

株価上昇がいつ終わるかは誰にもわからないものなので、あえて「こうだ」という意見は口にしませんが、投資家自身がこの状況について深く考えてみる価値はありそうです。

一方で、先ほど紹介した手法では「シラーPERが15倍以下で割安と判断して株式に投資」と述べました。

しかし、過去を振り返るとシラーPERが5倍以下の水準になることもあるということも得られる学びとしては大きいです。

日本のシラーPERをチャートで確認する

シラーPERの比較
出典:The CAPE hanging over share markets – Cuffelinks

日本のシラーPERですが、データの入手が難しかったため、上記のサイトを参考にしました。

各国のシラーPERを比較したものでソース元はバークレイズ(イギリスの著名投資銀行)となっています。

国別に比較してみると、米国に続いて日本のシラーPERが高まっていることがわかります。これは、金融緩和の影響が大きいと考えます。

siblisresearch.comでは、日経平均株価のシラーPERの数値データが確認できます。

また、日本のシラーPERに関する情報として、NIKKEI STYLEでも記事が取り上げられていました。

上記の記事では、岡三証券の阿部健児チーフストラテジストのコメントとして「18倍以上なら株価は割高、10倍以下なら割安と考えられる」とのことでした。

しかし、NIKKEI STYLEに記載されているのは、東証一部全体の営業利益をベースとして算出したシラーPERなので、前述のバークレイズ出典のものとは根本的に違うものであることに注意が必要です。

長期投資家は割高な時の投資を避けるべき

ファンドマネージャー

著名な投資家の意見を見ていても、

  • 割高な時の投資は避けたほうがいい
  • 株価水準に限らず良い株は買うべき(なぜなら市況の割高・割安は予測できないから)

と意見はさまざまです。

個人的には、どちらも正しい言い分だと思うのですが、明らかに言えることは「株価水準が割高になるほど、利回りは低くなる」ということです。

私が今回この記事を書こうと思ったのは「科学で勝負の先を読む」という本を読んだことがきっかけです。

本書によると、2013年代半ばのS&P500のシラーPERは23倍に達しており、この水準は過去20年間において3%以下の利回りしか実現できていないとのことです。

仮に利益が出たとしても、取れる利幅が3%以下と小さくなってしまい、長期的には(安全である)債券投資と同じレベルの利回りしか得られない可能性があります。(つまり、リスクリターンがあわない)

リスクをとって株式に投資するのであれば、長期的に見て割安になっている状態(わかりやすく言えば市場が悲観的になっているタイミング)に投資した方が、利回りを最大化できます。

シラー教授が言うように、「シラーPERが低くなるほど投資家が今後20年間に株式から利益を上げる可能性が高くなる」のです。

高いPERは、糖分の多い飲み物と同じようにあなたには良くないが、そのことが明らかになるのには何十年かかかる。

出典:科学で勝負の先を読む

50年以上前からバリュー投資に活用されていた

賢明なる投資家

一方で、「割安になるのを待っていたらいつまで経っても良い株は買えない」という意見も正しいと思います。

株式市場の割高・割安や金利の変化は誰にも予測できないのだから、「市況に関係なく割安な株を買いなさい」と言っているのが著名投資家のベンジャミン・グレアムであり、「市況に関係なく高い成長が期待できる良い株を買いなさい」と言っているのが、同じく著名投資家のフィリップ・フィッシャーです。

いずれも、アメリカを代表する投資家「ウォーレン・バフェット」が敬愛する人物たちですね。

「シラーPERが割高だから」という理由で投資機会を待っていると、それこそ買うタイミングを逸してしまうかもしれません。

私としては、シラーPERが割高な水準にあるからと言って、株式市場への投資を完全にやめてしまうのではなく、債券比率を高めるなどしながら防御の体制を取りつつ、株価上昇についていくことも大切だと思っています。

ネットの情報を見ていると、シラーPERの信憑性に対して疑問視する声も見られました。

しかし、この手法は「シラーPER」として世の中に存在する以前から、バリュー投資家の手法として使われていました

シラーPERは1988年に発表された考え方ですが、前述のベンジャミン・グレアムは1934年の時点で「PER計算では5年から10年の収益を使うべき」と述べています

ベンジャミン・グレアムは主に個別株に対して言及しており、シラーPERは株式市況の割高水準を測る指標として発表されていますが、長期的な収益でPERを見ることの重要性については両者の意見が合致しています

このような理由から、投資判断を下す上での1つの指標として、活用メリットは十分あると考えます。

次の記事は「21世紀の資本をわかりやすく解説、「r > g」はお金持ちの原則だ」です。

ベストセラーとなった書籍「21世紀の資本」はとても難解な内容となっており、理解するのが難しいと言われています。

しかし、著者が言いたいことは至ってシンプルであり、未来の歴史も過去の歴史と変わらないという事実です。

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iDeCoのまとめて拠出(年単位拠出)で手数料を節約、ボーナス払いも可

イデコ

個人型確定拠出年金の「iDeCo(イデコ)」は、資産運用によって確実に受け取れる自分だけの年金を作る仕組みです。

老後の生活資金に欠かせない「年金」を自分でコツコツと積み立てる制度なのですが、節税メリットが極めて大きいため、多くの方が注目しています。

イデコは20歳~60歳未満の方であれば原則として誰でも加入できます

一方で、イデコに興味は感じているものの、

  • 拠出時に手数料がかかる
  • 手続きが面倒

などの理由から、イデコへの加入を様子見している方も多いようです。

しかし、イデコの手数料は大きく節約することができます

2018年から新しくスタートした「年払い」「ボーナス払い」(通称:まとめて拠出・年単位拠出)を活用することで、通常よりも手数料を安くすることが可能です。

イデコの手数料をわかりやすく解説

ホワイトボードで説明する女性

イデコで必要な費用は以下の通りです。

初期費用

◆初期費用
加入時:2,572円+税(共通)
加入手数料:金融機関によって異なる
移管手数料:金融機関によって異なる

初期費用は、すべての金融機関で共通です。

A銀行でイデコをはじめても、B証券で申し込みをしても金額は変わりません。

唯一、加入手数料や移管手数料は金融機関によって異なります。しかし、加入手数料はほぼすべての金融機関が0円にしているので気にする必要はありません。

また、移管手数料は金融機関を変更する場合に、元の金融機関や移管先の金融機関に支払う手数料です。

こちらも、新規加入の場合は0円となっていることがほとんどなので、将来的に移管を行わないのであれば無視できる手数料となります。

掛金拠出時に発生する費用

国民年金基金連合会手数料:月額96円+税(年間1,152円+税)(共通)
事務委託先金融機関手数料:月額60円+税(年間720円+税)(共通)
口座管理手数料:金融機関によって異なる

※このうち、年払いで節約できるのは「国民年金基金連合会手数料」のみとなります。信託銀行に支払う「事務委託先金融機関手数料」や金融機関に支払う「口座管理手数料」は毎月発生します。

ただし、一部の金融機関は口座管理手数料を0円にしています。

イデコはこれまで、1ヶ月単位で掛金の拠出が必要でした。(1ヶ月に一度の積み立て方式)

掛金を拠出する際に毎回、上記の手数料が必要でしたが、2018年から「年払い」「ボーナス払い」に対応したことで、掛金拠出の回数を減らせるようになりました。

毎月96円+税が必要だった「国民年金基金連合会への手数料」はあくまでも「掛金拠出時」に発生するコストなので、掛金を納付する回数を減らすことで年間11ヶ月分も節約できるようになります。

特に、「元本確保型商品(定期預金など)」で運用しようと考えている方にとって、年払いは大きなメリットとなります。

▶口座管理手数料0円の金融機関を選んだ場合

  • 毎月払い:1,872円+税
  • 年間一括払い:816円+税(56%以上の節約!

イデコではこの方法を「まとめて拠出(年単位拠出)」と呼んでいます。

まとめて拠出は大きなメリットですが、一方でデメリットも存在するため後ほど詳しく解説します。

給付時・還付時にかかる費用

▶給付時にかかる費用
事務委託先金融機関:400円+税(共通)

▶還付時にかかる費用
国民年金基金連合会手数料:953円+税(共通)
事務委託先金融機関手数料:400円+税(共通)

投資信託の信託報酬

イデコで選べる投資信託は、金融機関によってラインナップが異なります

投資信託の信託報酬(手数料)は年率で発生するため、コストの低い投資信託を扱っている金融機関選びがとても重要です。

投資信託の手数料についても後ほど解説します。

イデコの手数料を年払いに切り替えるやり方

財布を持つ女性

イデコの掛金拠出を「年単位拠出」に変更するためには、「加入者月別掛金額登録・変更届」を記入して、イデコを登録している金融機関に提出するだけです。

「加入者月別掛金額登録・変更届」の書類は、金融機関から取り寄せます。(ネットからはダウンロードできないようです)

書類の内容自体は簡単なものなので、手続きに苦労することはないと思います。しかし、イデコの「年単位拠出」は仕組みがやや複雑です。

年単位拠出の仕組みを2分で理解する

計算する女性

まず、イデコでは毎年、12月分の掛金から翌年11月分までの掛金の範囲を1年間(1単位)としています。

わかりやすく言い換えると、納付月で見て、1月~12月の範囲を1年とカウントしているということです。

イデコの納付日は「毎月26日」と決まっていますので、「1月26日納付分~12月26日納付分」が1年間(1単位)という扱いです。

「加入者月別掛金額登録・変更届」は、上記の1年間の中で一度だけ変更できます。

また、まとめて拠出(年単位拠出)には、

  • 前払いはできない
  • 翌年への繰り越しはできない
  • 後払いのみ可能

という3つのルールがあります。

これを、一般的なサラリーマンの例で考えてみます。

▶年単位拠出の例(一般的なサラリーマンの場合)
一般のサラリーマンは最大で毎月23,000円、年間237,600円の拠出が可能です。毎月の掛金を23,000円に設定している場合で説明します。

前述しましたが、イデコでは掛金の納付日を「翌月26日」に設定しています。(つまり、10月分は11月26日に自動引落されます)

事例1:
1月納付分(1月26日引き落とし)に1年分(237,600円)を一括で支払うことはできません。なぜかというと、これは「前払い」扱いとなっており、上記の3つのルールに反するからです。

事例2:
12月納付分(12月26日引き落とし)にその年の1年分(237,600円)を支払うことは可能です。1月~11月に支払いをせず、12月にその年の分を一括で支払う「後払い」は認められています。

事例3:
まとめて拠出(年単位拠出)では、ボーナス払いも可能です。

1月~6月納付分を、6月26日の引き落とし日に6ヶ月分(138,000円)を一括で支払い、その後7月~12月納付分を12月26日の引き落とし日に6ヶ月分(138,000円)一括で支払う。

この方法であれば、年2回(6月・12月)のボーナス月にまとめて掛金を拠出できます。

掛金の拠出タイミングは自分で自由に決められます。例えば3ヶ月毎(年4回)にまとめて支払っても構いません。

ただし、

  • 前払いはできない
  • 翌年への繰り越しはできない
  • 後払いのみ可能

という3つの条件を満たしていること、また「加入者月別掛金額登録・変更届」を事前に提出している必要があり、この変更届は1年に1回しか使えないことを頭に入れておきましょう。

最も、イデコの掛金は「銀行口座からの自動引落」です。変更届の提出時にしっかりと計画を設定できれば、あとの支払いは自動引落されるので、支払日や支払額を気にする必要はありません。

まとめて拠出(年単位拠出)のデメリット

投資失敗

まとめて拠出(年単位拠出)は、「国民年金基金連合会手数料」を最大11ヶ月分節約できるのがメリットです。

しかし、隠れたデメリットもあります。それは以下の内容です。

  • 毎月拠出:毎月一定額を積み立てできる
  • 年単位拠出:特定の月にたくさん買うことになる

つまり、毎月拠出をしている場合、手数料は高くなるものの「毎月同額の投資信託を購入するのでリスク分散が行いやすい(高値づかみしにくい)」というメリットがあります。

しかし、年単位拠出だと、特定の月に一気に買うため「株価が安くなっているタイミングで掛金拠出ができればお得ですが、逆に株価が高くなっているタイミングで掛金拠出すると高値掴みになる可能性がある」のです。

毎月同額の投資を行うことを「ドルコスト平均法」といいますが、年1回や年2回の拠出だと、時間的なリスク分散効果が薄れてしまいます。

このような理由から、「まとめて拠出(年単位拠出)よりも通常の月単位の拠出の方が良い」というのが私の個人的な意見です。

「国民年金基金連合会手数料」が高くつくのは残念ですが、それよりもリスク分散を重視した方が、長期的にはメリットが大きいと私は考えています。

最も、定期預金のような元本確保型商品で運用する場合は、まとめて拠出(年単位拠出)をした方が間違いなくお得です。

口座管理手数料0円の金融機関を選ぶ

iDeCoの口座管理手数料

イデコの金融機関を選ぶ上で重要なポイントは2つあります。

  • 口座管理手数料が0円であること
  • コストの低い投資信託が選べること

イデコの手数料で、唯一「口座管理手数料」のみが金融機関によって大きく異なっています。

口座管理手数料を0円にしている金融機関がある一方で、この手数料を毎月500円に設定している金融機関もあります。

もし、口座管理手数料500円の金融機関を選択してしまった場合、この費用だけで年間6,000円、運用期間が40年なら24万円を支払わなくてはなりません

一方で、口座管理手数料が0円の金融機関を選べば、上記のような金融機関と比べて24万円を節約できます。これは、まとめて拠出(年単位拠出)の節約金額とは比較にならないほど大きなものです。

また、投資信託のラインナップにも注意が必要です。

大手銀行や大手証券会社のイデコでは、信託報酬と呼ばれる投資信託の手数料が高い商品が多いのも事実です。

投資信託の信託報酬が0.1%違うだけで、将来の投資利益に大きな差が出ます。つまり、運用期間が長期であるイデコにおいてはなおさら、「良い投資信託が選べる金融機関」の選択が重要となってくるのです。

「口座管理手数料が0円」、「低コストな良い投資信託が選べる」この2つの条件を満たしているのが、マネックス証券のiDeCoです。

マネックス証券は、現在最も低コストな投資信託だと言われている「eMAXIS Slimシリーズ」をラインナップに加えています。

eMAXIS Slimは信託報酬が極めて低く、個人投資家や投信ブロガーからも高い評価を得ている商品です。

もちろん、マネックス証券でも元本確保型商品(定期預金)を選択することが可能です。

マネックス証券は業界大手のネット証券です。ネット証券に不安を感じる方もいるかもしれませんが、イデコの資産は「分別管理」によって大手信託銀行が管理しているため、安心して利用できます。

マネックス証券のイデコについてさらに詳しく知りたい方は「2018年最新版!マネックス証券のiDeCoで選ぶおすすめの投資信託を解説」をご覧ください。

コストの低いおすすめの投資信託を厳選して紹介しています。

口座管理手数料0円 マネックス証券のiDeCo

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つみたてNISAでアクティブファンドは選ぶべきか?おすすめの投資信託を厳選

右肩上がり

つみたてNISAでは、金融庁が「一定の基準を満たした投資信託のみ販売して良い」というルールを策定しています。

これによって、手数料が高すぎる投資信託は、つみたてNISAでは販売できないため、どの商品を選んでも顧客本位の良いファンドが選べます。

手数料が高いと言われるアクティブファンドにおいても、「つみたてNISA基準」を満たしている良い商品が揃っています。

この記事では、つみたてNISAでアクティブファンドを選ぶべきかどうか、そしておすすめできる投資信託について解説します。

アクティブファンドを選ぶべき?

インデックスファンドとアクティブファンドの違い

投資信託は、

  • インデックスファンド(パッシブファンド)
  • アクティブファンド

という2つのカテゴリに分類されます。

インデックスファンド(パッシブファンド)は日経平均株価やNYダウといった「特定の指数に連動するタイプの投資信託」のことを指します。

日本経済や世界経済の成長が投資信託の値上がりに反映されるという魅力、そして「指数連動型」であるため機械的な売買が可能であり、コストを抑えた運用ができるのがメリットです。

投資信託選びでは、毎年、年率で発生する「信託報酬」という手数料がとても重要です。

信託報酬が年率1%違うだけで、将来の投資リターンに大きな違いを生むというのは有名な話です。

インデックスファンドの中には、信託報酬が0.2%を下回るファンドも存在しており、極めて低い手数料(信託報酬)で資産運用が行えます。

一方、アクティブファンドは特定の指数の動きに関係なく、プロの目利きによってインデックスファンドを超えるリターンを狙うタイプの投資信託です。

投資のプロが本気を出して運用してくれるので、「それだけ多くの利益が得られるのではないか?」と考えるのは自然なことです。

しかし、アクティブファンドはインデックスファンドと比較して信託報酬が高い傾向にあり、手数料が高すぎるために期待通りの投資リターンが得られないことが多いのです。

詳しくは「投資信託の手数料はなぜ高い?儲からない理由と間違いのないファンド選び」に書いていますが、長期運用では「多くのアクティブファンドがインデックスファンド以下のリターンして出せていない」ことがわかっています。

多くのアクティブファンドがインデックスファンドに負ける要因は、「手数料(信託報酬)の高さ」にあります。

こうした理由から、私自身はつみたてNISAのような長期の運用においては、安定的にリターンが得られる「低コストなインデックスファンド」を選ぶことを推奨しています。

→低コストなインデックスファンドはこちらの記事で紹介しています。

お金持ちを目指すか、それとも平均的に資産を増やして満足するか

投資利益の比較

しかし最近は、「手数料がこれまでに比べてずいぶん安いアクティブファンド」が登場しています。

ひふみ投信に代表されるこれらの投資信託は、過去5年以上に渡ってインデックスファンドを超えるリターンを継続しています。

先ほど、「多くのアクティブファンドがインデックスファンド以下のリターンして出せていない」、そしてその理由は「手数料が高すぎるから」だとしてきました。

これを逆に考えると、「ほんの一部の優秀なアクティブファンドはインデックスファンドを上回るリターンを出している」、「手数料を抑えたアクティブファンドはインデックスファンドを上回るリターンを出す可能性が高くなる」と言えます。

アクティブファンドはインデックスファンドと比較して運用リスクが高い傾向にあります。

しかし、リスクを取って平均的なリターンを上回る投資信託に賭けたいという方には、アクティブファンドを選ぶ価値は十分あります。

前述の「ひふみ投信」が過去5年間にもたらしたリターンを継続できるとすれば、ひふみ投信を買った人は将来大金持ちになれるでしょう。

しかし未来は不確実なものであり、誰にもわかりません。

不確実な未来に賭けるかどうかは、投資家自身の判断に委ねられます。

つみたてNISAでおすすめのアクティブファンド

つみたてNISA

つみたてNISA対象商品となっているアクティブファンドの中から、管理人がおすすめできる投資信託を紹介します。

まず、アクティブファンドの「つみたてNISA対象商品となるための基準」をまとめます。

アクティブファンド
  • 購入時手数料が0円(ノーロード)
  • 信託報酬が1.0%+税以下(投資対象が海外資産の場合は1.5%+税以下)
  • 純資産が50億円以上かつ設定以降5年以上の実績があること
  • デリバティブ取引による運用を行っていないこと(ヘッジ目的の場合を除く)
  • 毎月分配型ではない
  • 信託契約期間が無期限(または20年以上)

上記の基準を満たしているアクティブファンドだけが、つみたてNISA対象商品として販売されています。

実は、驚くべき結果なのですが、つみたてNISAのスタート時点で上記の基準を満たしているアクティブファンドはたった15本でした。

これまでのアクティブファンドはそれぐらい手数料が高かったということです。

逆に言うと、選ばれた15本のアクティブファンドは顧客本位の良い投資信託と言えます。

今後、つみたてNISA対応のアクティブファンドは増えると思います。しかし、基本的には当初設定された15本のアクティブファンドの優位性は揺るがないと私は考えています。

POINT

つみたてNISA開始時点で選ばれた15本のアクティブファンドは以下の通り。

  • コモンズ30ファンド
  • 大和住銀DC国内株式ファンド
  • 年金積立 Jグロース
  • ニッセイ日本株ファンド
  • ひふみ投信
  • ひふみプラス
  • 結い 2101
  • セゾン資産形成の達人ファンド
  • フィデリティ・欧州株・ファンド
  • セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド
  • ハッピーエイジング30
  • ハッピーエイジング40
  • 世界経済インデックスファンド
  • フィデリティ・米国優良株・ファンド
  • のむラップ・ファンド(積極型)

上記の中から、私がおすすめしたいと思える投資信託を紹介します。

※信託報酬は税抜表記、過去のリターンは記事執筆時点(2018年2月21日)のものです

ひふみ投信(ひふみプラス)

ひふみ投信の実績

  • 信託報酬:0.98%
  • 年率リターン(5年):32.16%

アクティブファンドの中でも最もおすすめできるのは、ひふみ投信(ひふみプラス)です。

直接販売されているものを「ひふみ投信」、証券会社などの金融機関を通じて販売されているものを「ひふみプラス」と呼びますが、中身は基本的に同じです。(ひふみ投信とひふみプラスの違いはこちら

レオス・キャピタルワークスが運用する「ひふみ投信」は、主に国内株式に投資を行うアクティブファンドです。(最近は米国株式にも投資をしています)

記事執筆時点(2018年2月21日)で過去5年間の年率リターンが32.16%という驚異的な数値となっており、個人投資家から高い評価を得ています。

年率利回りが32%ということは、複利計算だと2年数ヶ月で資産が倍になる計算です。

事実、テレビ番組の「カンブリア宮殿」でひふみ投信が取り上げられた時、購入者のおばさんが「資産が2倍3倍になった」と言っていました。

私自身も数年前から資産の一部をひふみ投信で運用していますが、すでに投資額の2倍以上となっています。

信託報酬は年0.98%とアクティブファンドの中でも低コストとなっており、これは保有期間に応じて最小0.61%にまで引き下げられます

つまり、つみたてNISAで20年間の長期保有を行えば、後半はとてもお得な信託報酬で運用できるのです。

ひふみ投信の過去のリターンを、日本株に投資する他の「つみたてNISA対象ファンド」と比較してみました。

  • オレンジ:ひふみ投信
  • 青:年金積立Jグロース
  • 緑:大和住銀DC国内株式ファンド
  • 赤:ニッセイ日本株ファンド
  • 黒:TOPIX

10年間の推移では、ひふみ投信が圧倒的なリターンを出しています。ただし、ひふみ投信はまだ設定から10年が経過していないので、途中からの参加です。
10年間の年率リターン比較

5年間の推移で比較すると以下のようになります。
5年間の年率リターン比較

いずれの投資信託も日本株式を投資対象としている、つみたてNISA対応ファンドです。

10年間で見ても、5年間で見てもひふみ投信が最も高いリターンを上げており、その実力を確固たるものにしています。

ひふみ投信については下記の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

年金積立Jグロース(つみたてJグロース)

年金積立Jグロース

  • 信託報酬:0.82%
  • 年率リターン(5年):24.84%

年金積立Jグロース(愛称:つみたてJグロース)も、ひふみ投信と並んで優秀なアクティブファンドです。

先ほどの5年間の比較チャートでも、ひふみ投信に次いで2番目にリターンが高くなっています。(青が年金積立Jグロース)
5年間の年率リターン比較

逆に、ひふみ投信と年金積立Jグロース以外のアクティブファンドは、TOPIX(東証株価指数)とほとんど同じ程度のリターンしか出せていない状況です。

日本の成長株に投資する年金積立Jグロースが、ここまで良い実績を残せている理由は信託報酬の低さにあります。

実は、年金積立Jグロースの年率0.82%という信託報酬は、つみたてNISA対応商品のアクティブファンド(国内株式ファンド)の中で、最も低いコストとなっています。

このコストの低さが、しっかりとリターンに表れているのです。

また、年金積立Jグロースは毎年1回分配金を出しているのも大きな特徴です。

ひふみ投信は基本的に分配金を出さないファンドですので、低コストであり、年1回程度の分配金が欲しい方は、年金積立Jグロースへの投資も検討できると思います。

なお、上記の年率リターンは分配金の再投資を行った場合の利回りとなっています。

セゾン資産形成の達人ファンド

セゾン投信

  • 信託報酬:1.25%
  • 年率リターン(5年):16.48%

セゾン投信のリターン追求型アクティブファンド「セゾン資産形成の達人ファンド」は、世界の株式に分散投資を行います。

国内株式への投資比率が約10%、新興国株式への投資比率が約15%、そして残りが米国と欧州の株式となります。

投資対象は基本的に株式のみとなりますが、市況に応じて債券を組み入れることもあります。

ファンド・オブ・ファンズの形式を取っているため、コストが高くなりがちですが、信託報酬の実質負担を年率1.25%+税程度に抑えていることから、つみたてNISA対象商品に選ばれています。

国内株式を主な投資対象としている「ひふみ投信」などと比べ、セゾン資産形成の達人ファンドは国内への投資比率が低く、主に海外への投資を目的とした投資信託となっています。

投資先を国内だけに限定していると、インフレリスクに備えることができません。

私自身、海外株式などへの投資に対する必要性を感じているところですが、セゾン資産形成の達人ファンドはそのような世界分散投資を1本の投資信託で実現しています。

国内株式ファンドと比べて信託報酬は高めですが、その他の「海外を投資対象としたつみたてNISA対応の株式ファンド」と比べてみます。
セゾン資産形成の達人ファンドの基準価格推移

  • 青:セゾン資産形成の達人ファンド
  • 赤:フィデリティ・米国優良株・ファンド
  • 緑:フィデリティ・欧州株・ファンド
  • オレンジ:TOPIX

投資対象が海外なので、TOPIX(東証株価指数)はベンチマークになりませんが、参考までに載せてみました。

過去10年の結果では、セゾン資産形成の達人ファンドが最も高いリターンとなっています。

つみたてNISA対応の「フィデリティ」のファンドはどちらも、信託報酬は約1.5%となっています。セゾン資産形成の達人ファンドがコスト面でも優位になっており、その差が結果に表れていると言えます。

また、フィデリティのファンドはそれぞれ、「米国株のみ」「欧州株のみ」を投資対象としており、やや偏りがあります。

しかし、セゾン投信の場合は新興国や太平洋などの地域にもしっかりと投資を行っていますので、より安定的に世界経済の成長の恩恵が受けられます。

5年間で見てみるとリターン差は縮小しますが、やはりセゾン資産形成の達人ファンドが最も高いリターンを出していました。

▼セゾン資産形成の達人ファンドの詳しい解説記事はこちらです▼

世界経済インデックスファンド

世界経済

  • 信託報酬:0.5%
  • 年率リターン(5年):11.60%

世界経済インデックスファンドは、やや特殊な位置づけです。まず最初に、リターンが低いのではないかと思った方も多いと思います。

世界経済インデックスファンドが投資対象としているのは、世界の株式と債券のインデックスファンドです。

つまり、この投資信託は実質的にはインデックスファンドなのですが、組入比率などが特殊であるために「アクティブファンド」の扱いとなっています。

他のアクティブファンドに比べて、信託報酬が極めて低いのが強みです。

世界経済が投資対象としているのは次の6つの資産です。

  • 国内株式 約5%
  • 国内債券 約5%
  • 先進国株式(外国株式) 約30%
  • 先進国債券(外国債券) 約30%
  • 新興国株式 約15%
  • 新興国債券 約15%

全体で見ると、株式の組入比率が50%、債券の組入比率が50%となっています。

これまで紹介してきた投資信託はすべて、「株式のみを投資対象としたファンド」でした。しかし、世界経済インデックスファンドは「防御力の高い資産である債券を半分組み入れている」のが特徴です。

世界経済インデックスファンドのポートフォリオ

ローリスク・ローリターンな「債券」を組み入れているため、世界経済インデックスファンドの年率リターンは低めとなっています。

つまり、ハイリスク・ハイリターンな運用よりも、より安定した運用(ミドルリスク・ミドルリターン)を狙いたい方向けの投資信託となります。

投資資産は「株式50%、債券50%」ですが、国別分散もしっかりと行われており、「国内10%、先進国60%、新興国30%」の比率で世界分散しています。

世界経済インデックスファンドの国別投資比率

実は、この投資スタイルはセゾン投信の「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」と似ています。

セゾン・バンガード・グローバルバランスファンドは、セゾン投信が運用する「セゾン資産形成の達人ファンド」とは別の投資信託で、より安定的な運用を行っているのが特徴です。

セゾン・バンガード・グローバルバランスファンドもつみたてNISA採用商品なのですが、両者の信託報酬を比較してみると、世界経済インデックスファンドの方がわずかにコストは低くなっています

まずは5年間のリターンで比較してみます。
世界経済インデックスファンドの基準価格の推移

  • 青:世界経済インデックスファンド
  • 赤:セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド
  • 緑:TOPIX

過去5年間の推移で見てみると、「セゾンバンガード~」も「世界経済インデックスファンド」も、TOPIXに劣るパフォーマンスとなっています。

このような結果となっている理由は、「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンドと世界経済インデックスファンドは資産の50%を債券に投資しているから」です。(実質的には半力で戦っているようなもの)

つまり、直近5年間のような株式市場が強い時期は特に、TOPIXを下回るリターンとなるのが普通なのです。

では、10年の長期で見るとどうでしょうか。
世界経済インデックスファンドの推移

10年間の推移で見ると、世界経済インデックスファンドがセゾンバンガードグローバルバランスファンドやTOPIXを大きく上回っています。

よく見てみるとわかるのですが、2009年から2013年の間はリーマンショックや東日本大震災の影響で、日本の株式市場は良いとは言えない状態でした。

このような「不況」の状況では、逆に防御力の高い債券を組み入れている投信が有利になるのです。

結果的に10年間という長期で見た結果、世界経済インデックスファンドは低い信託報酬でありながら、TOPIX以上の結果を残している優秀なアクティブファンドであることがわかります。

世界経済インデックスファンドの詳細解説はこちらです。

リスクを取るか取らないか

データ

アクティブファンドは、運が良ければインデックスファンドを大きく上回るリターンをもたらします。

しかし、長期的にそれだけのリターンが持続するかどうかは誰にもわかりません。また、アクティブファンドは決して低いとはいえない「コスト」がかかります。

投資のプロを信じてハイリスク・ハイリターンな勝負をするか、インデックスファンドを選択して平均的なリターンで満足するか、これは個々の判断によって変わってきます。

資産形成の一環として運用するのであれば、個人的にはインデックスファンドを推奨しますが、もしかすると自分をお金持ちにしてくれるかもしれないアクティブファンドにも大きな魅力があるのも事実です。

次の記事は「2018年版 1億人の投資術が選ぶおすすめの投資商品一覧」です。

当サイト「1億人の投資信託」が選んだおすすめの投信商品をまとめています。あわせてご覧ください。

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ゆうちょ銀行の投資信託を評価、つみたてNISA対応ファンドがおすすめ

郵便局

ゆうちょ銀行は、多くの方が口座を保有している銀行です。

投資信託を使った資産運用を考えている人の中には、よくわからないからとりあえずゆうちょ銀行で投資信託でも買おうかと考えている方も多いと思います。

しかし、投資信託には「良い商品」と「そうでない商品」が存在し、その銀行や証券会社が「良い投資信託」を取り扱っているかどうかを私たち自身で確認する必要があります。

この記事では、ゆうちょ銀行が販売している投資信託の中から、おすすめできる商品について解説します。

すでにゆうちょ銀行でもつみたてNISAの口座開設ができるようになっています。つみたてNISAを活用した資産運用をゆうちょ銀行で行いたいと考えている方にも参考になると思います。

つみたてNISA対象商品がおすすめ

良い投資信託3つの条件

結論から言うと、ゆうちょ銀行の投信ラインナップはあまり良いとは言えません

多くの国民が使っている銀行なのですから、もう少し良い商品を取り扱ってはどうかと、一人の個人投資家としては感じるところです。

しかし、つみたてNISAは元々「金融庁の基準を満たしている質の良い投資信託のみが販売できる」仕組みとなっており、ゆうちょ銀行も最低限の「つみたてNISA対応商品」を扱っています。

もしゆうちょ銀行で投資信託を購入するのであれば、つみたてNISA対応商品を選ぶことをおすすめします。

インデックスファンドを選ぶ

インデックスファンドとアクティブファンドの違い

投資信託には「アクティブファンド」と「インデックスファンド」の2種類があります。

このうち、長期運用でおすすめなのが「インデックスファンド」です。

一般的に、アクティブファンドの方がリターンは高く、インデックスファンドは平均的なリターンが安定して得られると言われます。

しかし、アクティブファンドは信託報酬と呼ばれるコストが高いというデメリットがあり、一方でインデックスファンドは信託報酬が安いものが多いです。

そして、コストとリターンの両方をトータルして考えた場合、長期的にはインデックスファンドが優位であり、インデックスファンドを上回るアクティブファンドはわずかであるというデータがあります。

ゆうちょ銀行である、ないに限らず、もし長期の資産運用で投資信託の購入を検討する場合は、「低コストなインデックスファンド」の選択がおすすめです。

前述しましたが、投資信託を選ぶ上で「信託報酬」はとても重要な費用となります。

信託報酬については「信託報酬とは?目安と計算の仕方を学んで良い投資信託を選ぶ方法」にて解説していますので、あわせてご覧ください。

ゆうちょ銀行の投資信託はこれがおすすめ

分析

ゆうちょ銀行の投資信託について、簡単に説明しておきます。

以前は、正直に言うとおすすめできる投資信託が1本もないくらい残念なラインナップとなっていました。

唯一、「eMAXIS(イーマクシス)シリーズ」が低コストなインデックスファンドとして販売されていたのですが、投資信託の手数料引き下げ競争によって、現在ではeMAXISシリーズの優位性も失われています。

そこで、ゆうちょ銀行がeMAXISシリーズの代わりに導入したのが「つみたてシリーズ」です。

もしゆうちょ銀行で投資信託を選ぶなら「つみたてシリーズ」がおすすめです。このシリーズはもちろん、つみたてNISA対応商品となっています。

低コストなつみたてシリーズ

三菱UFJ国際投信

実は、ゆうちょ銀行が以前扱っていた「eMAXISシリーズ」も、つみたてNISA対応となっている「つみたてシリーズ」も、三菱UFJ国際投信という資産運用会社が販売している商品です。

三菱UFJ国際投信は、大きく3つのインデックスファンドを展開しています。

▶eMAXISシリーズ
当時は低コストなインデックスファンドとして有名でした。しかし、資産運用業界でコスト引き下げ競争が起こったため、現在はその魅力を失いつつあります。

すでに、つみたてシリーズやeMAXIS Slimのような「より良い投資信託」が販売されているため、ゆうちょ銀行でも取り扱いを縮小しているようです。

▶つみたてシリーズ
つみたてNISA対応商品として、三菱UFJ国際投信が主に「店頭販売向け」に売り出している商品です。

ゆうちょ銀行でも一部の商品を取り扱っており、もしゆうちょ銀行で投資信託を選ぶなら、おすすめできるシリーズです。

しかしながら、後述する「eMAXIS Slim」はさらに良い商品となっています。

▶eMAXIS Slimシリーズ
低コストなインデックスファンドの中でも「最強」クラスの優良商品です。多くの個人投資家がこのシリーズに注目しています。

しかし、eMAXIS Slimは主に「ネット販売限定」で売り出されていることから、取り扱いはネット証券やネット銀行が中心となります。

大手証券会社や銀行では取り扱っておらず、当然ですがゆうちょ銀行でも購入することはできません。

上記の中で選ぶとすれば、私は間違いなく「eMAXIS Slim」をおすすめします

しかし、eMAXIS Slimはネット販売限定となっており、ゆうちょ銀行では買うことができません。(eMAXIS Slimについては、こちらの記事で詳しく解説しています

もし、ゆうちょ銀行で投資信託を買うのであれば、次の商品がおすすめです。

つみたて日本株式(TOPIX)
日本株式に分散投資。TOPIX(東証株価指数)に連動。信託報酬は年率0.18%
つみたて先進国株式
世界23カ国に分散投資。世界分散投資ができる優れた商品。信託報酬は年率0.20%
つみたて新興国株式
成長著しい新興国に分散投資。中国やインド株に投資ができる。信託報酬は年率0.34%

※信託報酬は税抜きです
※「つみたて8資産均等バランス」は次の項目で紹介します

おそらく、ゆうちょ銀行では今後も「つみたて」シリーズの商品ラインナップが増えると思います。

しかし、「つみたてシリーズ」はあくまでも店頭販売向けの商品であり、同じ資産運用会社が、より低コストなネット販売向けのシリーズを展開していることは頭に入れておいてください。

三菱UFJ国際投信の「つみたてシリーズ」については、下記の記事でも取り上げています。

前述した「信託報酬」が低い「低コストなインデックスファンド」をまとめた記事となっていますので、少しでも良い投資信託を選びたい方は是非ご覧ください。

3種類のバランス型ファンド

バランス型投資信託

投資信託の中には、「バランス型ファンド」と呼ばれるものがあります。

1つの投資信託を購入することで、数多くの資産(国内株式や不動産など)にバランスよく投資できる便利な商品という位置づけです。

その代わりに、コスト面で不利になることがあったり、資産のバランスが取りにくいといったデメリットもあります。

ゆうちょ銀行で、つみたてNISAに対応しているバランス型投資信託は以下の通りです。

JP4資産均等バランス
JP投信の販売商品。4資産分散投資。信託報酬は0.22%
野村6資産均等バランス
野村アセットマネジメントが提供。信託報酬は0.22%
つみたて8資産均等バランス
前述のつみたてシリーズ。8つの資産に均等に投資。信託報酬は0.22%

※信託報酬は税抜き、間接コストを含めた実質負担で表記

比較してみるとわかるのですが、ゆうちょ銀行で販売しているいずれのバランス型も信託報酬は同じです。

つまり、あとは投資家の好みの問題で「4資産分散」「6資産分散」「8資産分散」のいずれかを選ぶことになります。

投資の世界では「たまごを1つのカゴに盛るな」という言葉があり、分散投資が推奨されています。

しかし、分散投資のデメリットとして「リターンが平均化するため、大きなリターンが期待しにくい」という特性があります。

4~8資産のバランス型投信が、それぞれどのような資産に投資を行うか、下記にまとめました。

バランス型投信を理解する

▶4資産バランス
国内株式、国内債券、先進国株式、先進国債券を投資対象にしている。それぞれ25%ずつ保有。

▶6資産バランス
4資産に加えて、国内REIT、外国REITを加えたもの。それぞれ1/6ずつ投資。(REITとは不動産のことです)

▶8資産バランス
6資産に加えて、新興国株式、新興国債券を加えたもの。それぞれ12.5%ずつ投資。

お手軽な1本を購入して済ませたいという方にとって、バランス型ファンドは選ぶ価値があると考えます。

いずれもつみたてNISA対応なので、どれを買っても大きく失敗することはないと思います。

バランス型投信のメリット・デメリットについてはこちらの記事で解説しています。

良質なアクティブファンドを選ぶ

セゾン投信

投資信託を選ぶ上での基本は「アクティブファンドではなくインデックスファンドを選ぶこと」です。

なぜなら、アクティブファンドはコストが高いため、長期的にはインデックスファンドのリターンを下回るケースがほとんどだからです。

しかし、ごく一部のアクティブファンドは、インデックスファンドを長期的に上回る良い結果を出しています

その中でも、「つみたてNISAに採用されている(つまり低コスト)」かつ実績がある投資信託が「セゾン投信」のファンドです。

セゾン投信は2種類のアクティブファンドを扱っており、いずれもゆうちょ銀行で購入できます

どちらの投資信託も、購入時手数料は無料です。(つみたてNISA対応ファンドはすべて購入時手数料0円です)

セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド

信託報酬は年率0.63%+税 程度

セゾン・バンガード・グローバルバランスファンドは、株式と債券を50%ずつ保有するバランス型ファンドです。

一般的な「4資産バランス型」は、国内株式、先進国株式、国内債券、先進国債券の4つの資産に均等分散を行う仕組みでした。

一方、セゾン・バンガード・グローバルバランスファンドは国内への投資比率は全体の10%程度となっており、約9割が海外への投資となります。

また、新興国株式も投資対象に含まれており、この投資信託1本で世界30カ国以上の株式と10カ国以上の債券に投資できます。

わかりやすく言うと、(日本もわずかに含むが)世界中の株式と債券に分散投資し、世界経済の成長の恩恵を受けることができる投資信託です。

日本株式の組入比率を少なくすることで、インフレヘッジにもなりますので、とてもバランスの取れた投資信託だと思います。

※解約時に信託財産留保額が0.1%必要です

セゾン資産形成の達人ファンド

信託報酬は年率1.25%+税 程度

「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」がバランスの取れた運用を目指す方向けの投資信託であるのに対し、「セゾン資産形成の達人ファンド」はリターン追求型のファンドとなります。

状況に応じて債券に投資することもありますが、基本的には資産のほぼすべてを世界の株式に投資します。

セゾン資産形成の達人ファンドも、日本株式の組入比率は1割程度なので、日本以外の海外株式への投資が約9割となります。先進国だけでなく、新興国も投資対象です。

リターン追求型のアクティブファンドの多くが、長期のリターンではインデックスファンドに負けるという事実があります。

しかし、セゾン資産形成の達人ファンドは10年以上の実績を誇っており、かつ長期のリターンでインデックスファンドを上回っている、数少ないアクティブファンドの1つです。

この投資信託がこれからもインデックスファンドを上回るかどうかはわかりません。

しかし少なくとも過去10年間においては、インデックスファンドに投資するよりもセゾン資産形成の達人ファンドを買っていた方が、より多くの利益を得ることができたという実績があります。

セゾン資産形成の達人ファンドの利回りについてはこちらの記事をご確認ください

※解約時に信託財産留保額が0.1%必要です

ゆうちょ銀行では、その他にも数多くのアクティブファンドを扱っています。

しかし、セゾン投信以外のアクティブファンドはすべて、コストが高いものが多く、またつみたてNISA対象商品ではありません。つまり、「つみたてNISA対象商品となる基準」を満たせていない投資信託だということです。

もしゆうちょ銀行でアクティブファンドを選ぶなら、検討できるのは「セゾン投信」くらいだと思います。

これからのゆうちょ銀行に期待

日本郵便とセゾン投信の提携

セゾン投信は直販にこだわっており、原則として他の銀行や証券会社では買えません

しかし、郵政グループの「日本郵便」がセゾン投信の株式を40%取得していることから、セゾン投信と郵政グループは提携関係にあります。

これが、ゆうちょ銀行がセゾン投信を販売できる理由です。

郵政グループは今後も、ファンド運用に力を入れていくとのことなので、競争力の高い「良い投資信託」をゆうちょ銀行で買えるようになることを期待したいですね。

セゾン投信については、これまでにも当サイトで何度か取り上げています。

セゾン投信全般についての説明は「セゾン投信の利回りは?評判の理由とつみたてNISAでおすすめできる理由を公開」で行っています。

また、リターン追求型のアクティブファンド「セゾン資産形成の達人ファンド」についての詳しい解説はこちらをご覧ください。

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セゾン資産形成の達人ファンドの利回りと評価、つみたてNISAやiDeCoで購入できる?

セゾン投信

セゾン資産形成の達人ファンドは、独立系資産運用会社のセゾン投信が販売する投資信託です。

セゾン投信では、「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」と「セゾン資産形成の達人ファンド」の2本の投資信託を直販しています。

このうち、セゾン資産形成の達人ファンドは利益追求型のアクティブファンドという位置づけです。

この投資信託1本で世界分散投資が完了し、バランスの取れた資産運用が可能となります。もちろん、セゾン資産形成の達人ファンドは「iDeCo(イデコ)」や「つみたてNISA」でも購入できます。

今回は、セゾン資産形成の達人ファンドの特徴や過去の利回り、そして気をつけるポイントなどについて説明します。

世界分散投資を実現

世界分散投資

セゾン資産形成の達人ファンドは、リターン追求型の投資信託でありながら、着実な資産形成を実現するための工夫が行われています。

その特徴として最も大きなものは「世界分散投資」です。

セゾン資産形成の達人ファンドの投資先を見てみると、各国への分散がしっかりと行われていることがわかります。

  • 北米:43.9%
  • 欧州:26.9%
  • 新興国:14.2%
  • 日本:12.8%
  • 太平洋(日本を除く):2.2%

※2017年11月末時点

アメリカや欧州などの先進諸国で全体の約70%を占めていることがわかります。一方、成長が著しい新興国にも資産全体の約15%程度を投資しています。

国内への投資も行っていますが、その比率は13%程度となっており、セゾン資産形成の達人ファンドは、主に海外に投資する投資信託であることがわかります

基本的には、投資対象としている資産は株式のみなのですが、市場環境に応じて安全資産である債券にも投資を行います。

セゾン投信の説明によると、債券はメインの投資対象ではないようなので、グローバルに投資する株式投資信託であると考えるのが良さそうです。

ファンド・オブ・ファンズである

ファンド・オブ・ファンズ

実は、セゾン資産形成の達人ファンドは「ファンド・オブ・ファンズ」の形を取って運用しています。

ファンド・オブ・ファンズとは、名前の通り「(複数の)投資信託を投資対象とした投資信託(セゾン投信のこと)」です。

私たちはセゾン投信に資金を託します。

その後、セゾン投信(セゾン資産形成の達人ファンド)は、彼らが厳選した複数の投資信託に対して、同じように資金を託します。

最終的に運用戦略を考え、株式に対して投資を行うのは、セゾンが厳選した複数の投資信託です。

このようなファンド・オブ・ファンズの形は、最近で言うと「ファンドラップ」や「ロボアドバイザー」に近いです。

こうした仕組みは自分自身で分散投資を考えたり、リバランス(資産配分の調整)を考えるのが難しいという方にはおすすめです。

なぜなら、何も考えなくても1本の投資信託を購入しておくだけで、あとはセゾン投信が資産運用におけるすべてを代行してくれるからです。

一方で、ファンド・オブ・ファンズには、

  • セゾン投信の取り分
  • 複数の投資信託の取り分

という2重のコストがかかってしまうため、コストが高くなってしまいがちです。

とはいえ、ファンド・オブ・ファンズが決して悪いわけではありません。

例えば、「EXE-iつみたてシリーズ」のように超低コストの信託報酬を実現しているファンド・オブ・ファンズの投資信託も存在します。

また、セゾン投信は投資先となる複数の投資信託の名前とその投資比率についてもすべて開示しています

つまり、セゾン投信の目論見書や月次報告書などを見て、それを真似して自分自身で全く同じ投資信託を購入すれば、「セゾン投信の取り分を中抜きする」ポートフォリオが完成します。

こちらのほうが、コストは抑えられます。

しかしその場合、日常の売買や資産構成比率の調整、そして市場が暴落するようないざという時の対処などをすべて自分自身で行わなくてはなりません。

もちろん、気合を入れて「セゾン投信の取り分を中抜きするポートフォリオ」を作ってみても良いのですが、その労力を考えると現実ではありません。

セゾン投信はこのような「執行代理人」としての役割を果たしているのです。

信託報酬はやや高め

信託報酬

セゾン資産形成の達人ファンドの信託報酬は年率1.25%+税 程度となっています。

信託報酬が「程度」と表現されている理由は、ファンド・オブ・ファンズであることに起因します。

  • セゾン投信の取り分(販売会社手数料等含む):0.53%
  • 複数の投資信託の取り分:0.72%程度

最終的な投資先となる「複数の投資信託」はそれぞれ信託報酬が異なります。

よって、ポートフォリオの投資比率を変更すると、「複数の投資信託の取り分」も変更となるわけです。

セゾン投信では、およその信託報酬を税抜で、1.25% ± 0.185%程度と見積もっています。

一般的なアクティブファンドの平均信託報酬は1.5%と言われています。中には、年間3%もの信託報酬を取るファンドもあるくらいですから、このように考えるとセゾン資産形成の達人ファンドの信託報酬は良心的だと言えます。

購入時手数料は0円の「ノーロードファンド」ですが、解約時に「信託財産留保額」として0.1%の手数料がかかります。

利回りは日経平均株価を上回る

セゾン投信と日経平均株価の比較

上記は、セゾン投信・日経平均株価・S&P500の3つの価格を比較した10年間の指数チャートです。

  • 青:セゾン資産形成の達人ファンド
  • 赤:S&P500
  • 緑:日経平均株価

※記事執筆時点(2018年2月1日)

セゾン投信が設定された2007年はリーマンショックの真っ最中で、超がつくほどの不景気でした。よって、2007年から2009年は3つの指数ともに下落しています。

そこからは景気回復のサイクルに入るのですが、セゾン投信は日経平均株価のパフォーマンスを大きく上回る結果となっています。

また、アメリカ版の日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)に近い代表指数「S&P500」も上回っています。

インデックス(株価指数)を超えるだけの結果を出すアクティブファンドはごくわずかと言われる中で、10年間のリターンで国内外の株価指数を上回る結果を出している点は大きく評価できます。

続いて、年率リターン(利回り)で比較します。

年率リターン セゾン S&P500 日経平均
1年 25.51% 17.62% 21.09%
3年 9.55% 9.09% 11.09%
5年 20.23% 22.04% 18.82%
10年 8.56% 8.55% 5.71%

※S&Pのベンチマークとしてバンガード・S&P 500 ETF(円貨ベース)を採用
※日経平均株価のベンチマークとしてiシェアーズ日経225ETFを採用

先ほどのヤフーのデータと少しズレがあるようですが、10年間の年率リターンでは、S&Pを上回ってることがわかります。

少し気になったので、基準価格をベースとして年平均成長率(CAGR)を自分で手計算し直してみました。

  • 1年:27.02%
  • 3年:10.87%
  • 5年:17.99%
  • 10年:10.07%

※2018年2月1日の「セゾン 資産形成の達人ファンド」の基準価格をベースに計算

年平均成長率(CAGR)の計算方法はこちら

データ元の計算方法がわからないのでなんとも言えませんが、おそらくS&Pの10年間の年率リターンが8.5%程度、セゾン資産形成の達人ファンドが10.0%程度というのが正確な数字ではないかと思います。

10年間の複利利回りなので、年率1.5%程度の差がトータルリターンにおいては約15%の差になります。

セゾン・バンガード・グローバルバランスファンドとの違い

セゾン資産形成の達人ファンドとセゾンバンガードグローバルバランスファンドの比較

セゾン投信が販売しているもう一本の投資信託「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」と比較してみます。

セゾン・バンガード・グローバルバランスファンドは、資産運用会社として世界的に有名な「バンガード社」のインデックスファンドを使って運用するファンド・オブ・ファンズです。

信託報酬は年率0.63%程度、信託財産留保額は0.1%、購入時手数料は0円です。

セゾン資産形成の達人ファンドが「利益追求型」であるのに対して、「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」は安定した資産形成を行うためのバランス型ファンドに近い投資信託です。

よって、信託報酬も低めに設定されています。

また、セゾン資産形成の達人ファンドは株式中心の資産構成ですが、セゾン・バンガード・グローバルバランスファンドは、株式50%、債券50%で構成しており、一定の守りも固めています。

この投資信託1本で、世界30カ国以上の株式・10カ国以上の債券への分散投資が行えます。

10年間の運用結果は上記のチャートの通りです。

  • 青:セゾン資産形成の達人ファンド
  • 赤:S&P500
  • 緑:日経平均株価
  • オレンジ:セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド

債券を50%組み入れている(つまり防御を固めている)ことから、大きなリターンは期待できませんが、それでも日経平均株価を上回るリターンを生み出しています

この結果を受けて、個人的にもセゾン・バンガード・グローバルバランスファンドは非常によい投資信託だと感じます。

「日経平均株価をやや上回るリターンが期待でき、30カ国以上に分散投資でき、海外株式のリスクの部分については、債券を50%組み入れることで防御を固めている」と考えると、その良さが実感できると思います。

また、「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」で採用されている「バンガード社」は世界的な低コストリーダーとして有名で、著名投資家のウォーレン・バフェットも高く評価しています。

バンガードについては「世界最強のバンガードETF!ウォーレン・バフェットも認めた超低コスト投信」で詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。

また、セゾン・バンガード・グローバルバランスファンドの戦略と似たタイプの投資信託として「世界経済インデックスファンド」があります。

こちらの投資信託は、三井住友トラスト・アセットマネジメントが運用しているのですが、投信ランキングでも上位に入る人気の投資信託で、私自身も良い投資信託であると考えている一本です。

世界経済インデックスファンドもつみたてNISAに採用されていますので、興味のある方は「世界経済インデックスファンドの評価、積立投信への活用と利回り分析」をご覧ください。

直販にこだわるセゾン投信

セゾン投信

セゾン投信は、販売会社を設けない「直接販売(直販)」の方式で投資信託を展開しています。

ネット証券大手の楽天証券やSBI証券では、2,000本を超える投資信託を取り扱っていますが、セゾン資産形成の達人ファンドはネット証券では買えません

セゾン投信の公式サイトからの申し込みによってのみ、購入が可能です。

これは、セゾン資産形成の達人ファンドだけではなく、セゾン・バンガード・グローバルバランスファンドも同様です。

セゾン投信の公式サイトはこちら

つみたてNISA対象商品

NISA

セゾン資産形成の達人ファンドは、「つみたてNISA」の対象商品です。

つみたてNISAでセゾン資産形成の達人ファンドを購入したい場合も、セゾン投信の公式サイトから直販で購入します。

つみたてNISAは、年間40万円(月換算で約3.3万円)を上限として、非課税投資が行える制度です。

この制度は20年間継続して実施され、また一度積み立てしたをした投資信託は(いつでも売却できますが)、最長20年間、いつ売却しても投資利益が非課税となります。

通常は投資利益に対して約20%程度の税金が発生しますが、つみたてNISA口座であればこれが非課税です。

このような理由から、長期の資産形成において大きなメリットがある仕組みとなっています。

多くのサラリーマンの方にとっては、月換算で3.3万円の投資枠があることで、運用資産の多くを非課税にできると思います。

また、3.3万円を超えるような投資でも、後述するiDeCo(個人型確定拠出年金)と併用することで、非課税投資枠をさらに拡大できます

金融庁のお墨付きで安心

これまで、日本で販売している投資信託は「コストが高すぎる物が多く、販売側にとって有利であり、顧客にとって不利だった」という実態がありました。

つみたてNISAにおいては、金融庁がこの部分にメスを入れ「顧客本位の投資信託以外は販売してはいけない」という厳格なルールを定めました。

よって、金融庁が定めた一定の要件を満たした投資信託でなければ「つみたてNISA対象商品」としては販売できないことになっています。

例えば、アクティブファンドにおいては「信託報酬が1.0%+税以下(投資対象が海外資産の場合は1.5%+税以下)」というルールがあるため、前述した信託報酬が年3%のようなファンドは販売できません。

一方で、信託報酬が1.25%(税抜)程度であるセゾン資産形成の達人ファンドは、この要件を満たしています。

つみたてNISA対象ファンドになるためには、その他にも数多くの要件をクリアしなくてはなりませんが、セゾン資産形成の達人ファンドは金融庁が定めたルールをすべてクリアした「顧客本位の投資信託」として、金融庁のお墨付きをもらっています。

iDeCoなら楽天証券で購入できる

iDeCo

あまり知られていませんが、実は直販にこだわるセゾン投信のファンドは「楽天証券のiDeCo」で購入できます。

楽天証券のiDeCoは、数ある金融機関の中で唯一、セゾン投信の投資信託を取り扱っています

iDeCo(個人型確定拠出年金)は、「自分だけの年金を作る」ことを目的とした制度です。

つみたてNISAとは違い、(年金作りの制度ですので)原則として60歳になるまで引き出せないというデメリットがあります。

しかし、投資利益が非課税になるなどの多くの優遇措置があり、活用メリットの大きい仕組みとなっています。

また、職業によって年間の投資可能枠は異なりますが、一般的なサラリーマンであれば年間276,000円(月換算で2.3万円)の投資が可能です。

つみたてNISAと合わせると、毎月5万円程度の非課税投資枠を確保できます。

イデコとつみたてNISAの比較については「つみたてNISAとiDeCoはどっちを選べばよい?違いとメリット・デメリット」をご覧ください。

楽天証券のイデコは、口座管理手数料が0円であり、人気の高い金融機関として評判です。

また、投資信託のラインナップもセゾン投信や低コストなインデックスファンドを中心に、質の良い投資信託が多いため、個人的にもおすすめしたいイデコの金融機関です。

今のところ、「セゾン資産形成の達人ファンド」と「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」を取り扱っているのは楽天証券のイデコだけなので、これも楽天証券を選ぶ大きな理由となっています。

楽天証券のiDeCo 公式サイトはこちら

ひふみ投信とどちらを選ぶべきか

ひふみ投信とセゾン投信

セゾン資産形成の達人ファンドは、2007年の設定日からすでに10年以上が経過しました。

2007年というと、リーマンショックの真っ最中であり、2007年-2009年ごろというのは、「株式市場は下がる一方」という厳しい時代であったことも事実です。

そのような中でも10年間の年率リターンにおいて優秀な数値を維持してきたことが、個人投資家からの評価や信頼関係を築くことにつながっているようにも思います。

しかし、リーマンショック後には「ひふみ投信」という新しい直販型の投資信託が誕生しています。

ひふみ投信もセゾン投信と同様に、「本当に顧客本位の良い投資とは何か」を意識した運用を行っており、多くの個人投資家から支持を獲得しています。

リーマンショック後の良いタイミングだったとは言え、ひふみ投信のパフォーマンスは驚異的であり、これが投資家からの評価をさらに高める要因となっています。

私たち個人投資家にとって、選択肢が増えるのは良いことだと思いますが、セゾン資産形成の達人ファンドとひふみ投信ではどちらを選ぶべきなのかわからない方もいるかもしれません。

ひふみ投信とセゾン資産形成の達人ファンドの比較については、次の記事で詳しく行っていきます。

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日本のインフレ率の推移から考える、資産を守る方法

日本のインフレ率チャート(長期)

私たちの経済は緩やかなインフレによって成長していきます。

インフレとは、「インフレーション(inflation)」の略で、私の場合は「物価高」と表現する事が多いです。

Wikipediaによると、インフレの定義は以下のようになっています。

経済学においてモノやサービスの全体の価格レベル、すなわち物価が、ある期間において持続的に上昇する経済現象である。日本語の略称はインフレ。日本語では「通貨膨張」とも訳す

インフレを示すためのわかりやすい例を3つあげます。

  • 昔(おじいさんの時代)の100円と今の100円は価値が違う(昔の給料は安かった)
  • ハンバーガーが昔は50円で買えたのに今は100円以上する
  • 袋に入っているポテトチップスの量、いつの間にか減ってない?

これらはいずれも、インフレが引き起こす現象です。

袋の中のポテトチップスが減っているのは、「価格を上げない(据え置く)代わりに量を減らす」という企業側の対応方針の違いです。

インフレを「時間の経過とともにお金の価値が目減りする」と表現することもあります。

戦前の月給は100円だったそうですが、今の時代で給料が100円だったら到底生活はできません。しかし、昔の人は100円の月給で生活をしていたのです。

つまり、昔の月給に相当する100円という金額は、時代とともに価値が目減りして、現在では子どものお小遣い程度の価値しかなくなっています

もちろんこれでは国民が生活できませんので、物の値段が上がるに従って、給料も上がり国民の生活水準は保たれています。

また、基本的にインフレはゆっくり進行するため、多くの人がインフレの存在に気づくことはほとんどありません。50年前とか戦前のことを振り返って、はじめてお金の価値が変わったなと気づくのです。

価値が下がるものもある

すべてのモノの価格が上がるわけではありません。

昔は高級家電であった「白黒テレビ」は、現在はフルカラーの液晶テレビで機能が大幅に向上しています。

一方で、格安の液晶テレビを探せば、昔の白黒テレビよりも安く手に入れることができるでしょう。

これは、技術力の向上や生産量の増加といった企業努力、そして企業間競争などによってインフレよりも早いスピードで価値(販売価格)が下がっているからです。

また、インフレの対義語を「デフレ(デフレーション)」と言いいます。

インフレは一般的に好景気の場合に起こります。一方で、不景気の時には物価が低くなるデフレとなるのが普通です。

デフレを言い換えると、「現金の価値が上がる = 不景気なので値下がりする株や不動産などの「モノ」を持っているよりも現金を持っていた方が良い」となります。

また、景気が悪くなり給料が下がるにも関わらず物価が上がるという最悪の状態を「スタグフレーション」といいます。

インフレ率の計算方法

計算する女性

インフレ率の計算方法は以下の通りです。

▶インフレ率の計算方法
今年のインフレ率 = (今年のCPI – 昨年のCPI) ÷ 昨年のCPI × 100

CPIとは「消費者物価指数」のことです。

インフレ率の計算には、CPI(消費者物価指数)の他に、GDPデフレーターが用いられることもあります。GDPデフレーターとは、名目GDP(名目国内総生産)から実質GDP(実質国内総生産)を算出する時に使う物価指数のことです。

GDPの数値は内閣府が公表しており、「GDPデフレーター = 名目GDP ÷ 実質GDP」で計算できます。

また、GDPデフレーターの代わりに、GNPデフレーターを使うという意見もありますが、この記事では消費者物価指数(CPI)を使います。

インフレ率を確認する方法はいくつかあります。

もっとも簡単なのは、IMF(国際通貨基金)のサイトからデータをダウンロードする方法です。

IMF

IMFの「World Economic Outlook Databases」から、最新版をクリックします。

続いて、「Japan」を選択すると、日本の実質GDPとインフレ率の推移がわかります。

また、グラフの下の「Source:IMF DataMapper」をクリックするとエクセルデータをダウンロードできます。

もう一つの方法は、CPI(消費者物価指数)のデータを使って、自分でエクセルで計算する方法です。

消費者物価指数のデータをダウンロードするには、総務省統計局のページから「年平均 (1970年平均~最新年平均)」をクリックし、政府統計の総合窓口に飛びます。

e-Start(政府統計の窓口)のトップページの検索窓に「消費者物価指数」と入力しても構いません。

CPI

データセットのページから「中分類指数(1970年~最新年)」のCSVをクリックすると、消費者物価指数の時系列データがダウンロードできます。

もしくは、公益財団法人「統計情報研究開発センター」の長期時系列データの提供サービスでも同様のデータをダウンロードできます。

どちらの数字も概ね一致しますので、今回は2番目の方法でインフレ率を調べてみます。(こちらのほうがより長期のデータが取れるため)

それでは、日本のインフレ率の推移を確認してみましょう。

日本のインフレ率の推移

エクセルのデータはこちらです

今回は50年間のデータを取りたかったのですが、ネットにそれらしいデータがなかったため、自分で作ってみました。

1966年~1969年までのデータは、CPIの「持家の帰属家賃を除く総合」を使っています。また、2017年のデータはIMFの推計値を使っています。

上記のグラフをみて気になる点は以下の3つだと思います。

  • 1974年に異常値がある
  • インフレ率は右肩下がりになっている
  • 一部の年ではマイナスになっている

インフレ率がマイナスになっていることについては、前述の「デフレ」の状態です。

トイレットペーパー騒動に学ぶ

トイレットペーパー

まず、1974年の異常値ですが、これは狂乱物価と呼ばれ、第一次オイルショックの年です。

1974年のオイルショックでは、インフレ率は23.17%にとなっています。これは1,000万円がたった1年で768万円の価値しかなくなってしまうということです。

もう少しわかりやすい例を示します。オイルショックと言えば、トイレットペーパー騒動が有名です。

トイレットペーパー騒動の状況は、NHKアーカイブスで閲覧できます。

トイレットペーパー騒動では、春先に110円だったものが380円まで高騰したそうです。(この時、私はまだ生まれていませんでした)

このような事態が起こると、社会では「ハイパーインフレが来る、日本の円は紙くず同然の価値しかなくなってしまう」という声も聞こえてくるかもしれません。

また、「歴史は繰り返す」という言葉があるように、このような現象は将来また起こるかもしれません。

しかし、私たちは歴史から学ばなくてはなりません。1973年から急激に上昇したインフレ率は、その後1978年でほぼ元に戻っています。

このような異常事態は4年程度で収束し、その後は反動もあってかインフレ率を急激に下げる動きを見せています。

トイレットペーパーは生活必需品ですから、高騰しても買うしかありませんが、もし異常なインフレが起こっても私たちは冷静に対処しなくてはなりません。

先進国のインフレ率は下がるもの

オフィスビル

次に「インフレ率が右肩下がりになっている」ことについて。

通常、新興国は経済成長が著しく、インフレ率は高い傾向にあります。しかし、経済がある程度発展し先進国になるにつれてインフレ率は低下します。

この理由も、Wikipediaに学ぶとわかりやすく理解できます。

典型的なインフレは、好況で経済やサービスに対する需要が増加し、経済全体で見た需要と供給のバランス(均衡)が崩れ、総需要が総供給を上回った場合に、物価の上昇によって需給が調整されることで発生する。

つまり、モノが不足している新興国(発展途上国)では、不足しているものを供給するためにビルを建設したり物流を整備したりと、あらゆることをしなくてはなりません。

モノに対する需要が大きく、それを供給するための経済活動が活発であるということは、それだけ資金需要が旺盛だということです。

「人が住む家が足りない → 不動産事業者が家の建設ラッシュを行う → 多額の建設資金を銀行から借りる」ということです。

モノに対する需要が旺盛になると、それを買うため(またはそれを供給するため)にお金に対する需要も旺盛となります。

結果的に、モノが不足しており、モノに対する需要が大きくなるため、モノの価格を上げても飛ぶように売れる。(物価上昇、つまりインフレが起こる)

事業者は、モノを供給するために多額のお金が必要となるため、お金に対する需要が大きくなり、金利を上げても借りてくれる。

これが、インフレ(物価上昇)と金利上昇が連動する理由です。

一方、先進国となりある程度「満たされた状態」になると消費意欲や資金需要が小さくなるため、インフレ率は下がるというわけです。

直近では、日本のインフレ率は1%前後で推移しており、日銀は2018年現在、このインフレ率を2%まで高めたい移行を示しています。

年率2%程度のインフレが経済的には心地いいということなのでしょう。

インフレ率から資産を守る方法

金の卵

インフレとは、物価上昇によって実質的に現金の価値が目減りすることです。

例えば、インフレ率が2%の世界では、資産運用によって年率2%のリターンを得て、ようやく購買力を維持できます

逆に言うと、タンス預金をしていては毎年2%ずつ現金の価値が減っていくのです。

これはとても重要な考え方だと私は思っているのですが、多くの人は気にしていません。

将来にわたって購買力を落とすことなく、現在の生活水準を維持したいのであれば

  • インフレ率を上回る資産運用を行う
  • インフレ率を上回る昇給を確保する

の両方を意識することをおすすめします。

「インフレ率を超える昇給」は、毎月の稼ぎそのものを維持拡大するために必要であり、「インフレ率を上回る資産運用」は、稼いだお金を同じ価値で保存しておくまたはその価値を向上させるために必要な手段です。

続いて、インフレ率から資産を守る方法について考えてみます。

経済用語では「インフレヘッジ」などと言ったりもしますが、インフレ率を上回る運用ができれば購買力が落ちることはありません。

焦らず、良い投資かどうかを見極める

ファンドマネージャー

インフレが起こると、先ほどのトイレットペーパー騒動のように多くの人が「何か対策をしなくては」と焦ります。

しかし、インフレが起こるからといって、株式や不動産などの価値ががなんでも上がるわけではないのです。

それよりも、まず最初に気をつけるべきは「インフレへの焦りを利用して商売をする人たちに騙されないこと」です。

インフレになると、ほぼ間違いなく「インフレ対策として金(ゴールド)はいかが?不動産はいかが?」と言いながら、セールスマンがやってくるでしょう。

しかしそのような商品は大抵、儲かるようなものではなく法外な手数料を取られて損をしてしまいます。

冷静さを欠いて価値のないものに投資をしてしまうことが、インフレ対策においてもっともやってはいけないことです。

著名投資家のフィリップ・フィッシャーは、著書「株式投資が富への道を導く」にてこのように言っています。

しかし短期的には、正しい投資を選択して正しいタイミングで買うことが、インフレプロテクションを即座に手に入れることよりもずっと重要であるということにも気づくべきである。

逆に投資家がまとまった額のお金を比較的早い時期に決まった目的で使うために保存しておく場合(例えば、家を建てるとか、家族を海外旅行へ連れていくとか)、そのお金は現金で持っておくべきであり、インフレプロテクションの対策を講じるべきではないと思う。

物価上昇をヘッジするために正しい商品を購入したとすると、同じ金額を預金のままで同期間置いた場合に比べて購買力は比較的緩やかにしか増加しない。しかし、投資した商品の場合は、それを現金化しようと思ったとき、その価格は大きく下落している可能性がある。

少し文章表現がわかりにくいかもしれません。

これはつまり、「必要なものなら買っても良いが、インフレだからといって必要ないものは買うな」ということです。

実際に自分がマイホームを購入するのであれば、インフレを懸念して早い段階で購入してもよいでしょう。なぜなら、遅かれ早かれマイホームは必要で購入予定があるものだからです。

しかし、インフレを心配して住む予定もない不動産を投資目的で買うのであれば、それは冷静になったほうが良いということです。

その不動産が「良い物件」であれば問題ないのですが、例えインフレでも「悪い物件」を買ってしまえば、10年後、20年後に老朽化したその物件の価格は大きく下がっている可能性があると、フィリップ・フィッシャーは言っています。

投資家は物価上昇の進行速度におびえて、目先の物価上昇に対するヘッジを急ぐ必要はないのである。

投資家は、物価のさらなる上昇の可能性が非常に高いということから目を離すべきではない。ただ、通常であればこのインフレはゆっくりと進むため、絶好のチャンスをじっくりと待つべきであり、価格が上昇しそうなものになりふり構わず飛びつくべきではない。

最高のインフレ対策とは「焦らないこと」と言えますね。

良い株を買う

新聞を読む女性

インフレで上昇する資産としては一般的に「不動産」や「株式」などと言われます。

しかし、前述のとおり不動産や株だったらなんでも上がるわけではなく、「良い不動産」「良い株」だけが上昇します。(これはインフレではなくても言えることですが)

投資家のフィリップ・フィッシャーはこのように言っています。

いずれにしても一株利益の堅調な増加があってこそ、その収益に応じた市場価格の堅調な上昇があるのであり(そして金融界が特定の株式にますます高いステータスを与える)、それによって一般的に成長株と結びつけて考えられる価値の大幅な上昇の大部分がもたらされるのである。

この組み合わせによって、投資家にとって健全なお金という意味で最大限の純利益がもたらされるのである。また、通貨の価値が下落しているなかでは物価上昇に対する最大限のヘッジともなる。

言い換えると、物価上昇がどのような状況にあろうと、大きく上昇するような株式だけが投資家の資産をインフレから守る防衛手段となるということだ。

インフレ対策として有効な株式とは、「インフレ期においても収益力を向上させ利益を増やし続ける企業の株」です。

つまり、インフレに打ち勝つ企業の株こそがインフレ対策として選ぶべき株式であって、数ある銘柄の中にはインフレに負ける企業もたくさんあるということです。

インフレに強い株とは

上昇

では、「インフレに打ち勝つ企業の株式」とはどのようなものか。

先に答えを出しておくと、

  • 不動産
  • 銀行業
  • 保険業
  • 農業

などです。

著名投資家のウォーレン・バフェットの言葉を引用します。

私自身が好んでいるのは、第三の分野、すなわち企業、農場や不動産などの生産性のある資産です。これらの資産は、インフレの時期に購買力が維持できるだけの生産をもたらすことができ、その一方で新たな資本投資は最低限しか必要としないことが理想的です。

ほかの特定の会社は、審査にかないませんでした。こうした会社はインフレによって多額の資本が必要となるからです。オーナーは利益を増やすために投資も増やさなくてはならないのです。

インフレに強い株式の条件の1つめは「追加の設備投資を必要とせず一定の利益を生み出せるビジネス」です。

例えば農業は、最初に農場とトラクターを取得すれば、それ以降は追加の設備投資は必要ありません。(もちろん肥料の仕入れ価格が高騰するなどの問題もありますが)

毎年、同じトラクターと同じ農場で同じだけの野菜を生産しますが、驚くことにインフレの影響によって野菜の販売価格だけは上がるのです。

結果的に、インフレによって物価が少々しても、それに合わせて利益も増やしていくことができます。

また、アイデアと経営努力によって同じ農場から生み出せる野菜の生産量を増やすことができれば、これもインフレ対策として有効に働きます。

そして2つめの条件は「競合相手のいない独占的なビジネス」です。これもバフェットが好むタイプの企業ですね。

先ほどの農業ビジネスですが、ごく普通の「にんじん」を作っていた場合はどうでしょうか。

インフレによって野菜の価格が上がるといっても、同じ「にんじん」を作っているライバルがたくさんいれば、当然価格競争にさらされます。

つまり、値上げしたくてもライバルという外部要因がいることで値上げできないという状況が、現在のビジネスでは当たり前のように起こっています。

このような中で、自分しか作れない「特別な野菜」を生産していたとするとどうでしょうか。その野菜の生産は「独占的」ですので、インフレに乗じて自分の思うように価格を引き上げることができます。

インフレで収益力を向上させる企業とは、このような条件に当てはまるビジネスを展開している会社です。

逆に言うと、「継続的に多額の設備投資がかかる(インフレで設備投資の金額が高騰する)にもかかわらず、その投資額を回収するために販売価格を引き上げようと思っても、ライバルの影響で価格を上げられない」会社は最悪です。

このような会社は企業努力によって生産性を向上させる(コストダウンを図る)以外に対策方法がないため、インフレが脅威となるのです。

改めて、インフレ対策に有効なビジネスを展開している銘柄の特徴をまとめておきます。

1.追加の設備投資が不要
継続的な設備投資が必要なビジネスは、それを販売価格に転嫁できなければ赤字となってしまう。
2.独占的なビジネス
ライバルが少ない、または生活必需品であり販売価格への転嫁(値上げ)がしやすい。
3.海外でビジネスを展開
日本がインフレになっても海外でビジネスを展開しており外貨を稼いでいる企業には関係がない。

インフレ対策に有効な資産は

データ

ウォーレン・バフェットはこのようにも言っています。

インフレーションが歴史上最も高い税金であることは、ちょっと計算すればすぐにわかります。このインフレという税金は、資本をくいつぶすという素晴らしい能力を持っています

おそらく株式は、インフレに対抗できるひ弱な手段の中では最も優れている

投資家のウォーレン・バフェットは、インフレに対抗するのは極めて難しいと言っていますが、その中でも最も優れている手段は「株式投資」であると言っています。(彼が株式投資家だからというのもあると思いますが)

その他のインフレヘッジとして有名な投資先については「個人ができるインフレ対策!物価上昇で価値の上がる資産まとめ」という記事で解説しています、あわせてご覧ください。

また、私個人の意見として、「インフレ環境下でも平均以上のペースで資産を増やしていく」ことを目的とした場合は、株式投資がおすすめです。

しかし、「インフレで購買力さえ落ちなければ良い」という方に対しては、「物価連動国債」も良い投資先であると考えています。

インフレ対策として最適と言われる物価連動国債を買うには」では、物価連動国債について詳しく解説していますので、こちらもあわせてご覧ください。

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バランス型ファンドとは?利回りとリスクを考察、つみたてNISAのおすすめ投資信託

バランス型投信とは

投資信託には「バランス型」と呼ばれる商品があります。

バランス型ファンドは、1本の投資信託を買うだけで「4資産」「8資産」など複数の資産に分散投資ができる商品です。

1本で分散投資が完結するため、手軽で便利に活用できる投資信託として、投信ブロガーの方にも好まれています。

しかし、バランス型ファンドと一言で言っても、「4資産バランス」「8資産バランス」の他、「株式と債券の半々」、「ターゲットイヤーファンド」、さらには「ファンドラップ」や「ロボアドバイザー」など種類はさまざまです。

この記事では、バランス型ファンドの種類やメリット・デメリット、そしてつみたてNISAで購入できるおすすめの投資信託について言及します。

バランス型投信の利回り

リスクマップ

バランス型の投資信託は、株式・債券・リート(不動産)など複数の資産に対してバランスよく投資を行います。

これは冒頭でも述べた通り、「手軽にリスク分散ができる」という点では優れているのですが、逆に言うとリスク分散をしすぎることで「リターンが平均的に近づいてく」結果となります。

バランス型投信は全体的に債券の組入比率が多くなる傾向にあるため、わかりやすく言うと「防御過多」な状態となり資産運用本来の利回りが得られないことも多いです。

上記の図は、1970年~2015年の資産クラス別のリスクマップです。

一般的に、株式は「ハイリスクハイリターン」であり、債券は「ローリスクローリターン」だと言われています。

そして、「4資産分散(均等保有)」をした場合、リスクもリターンも平均的な結果になっていることがわかります。

ちなみに、投資信託で資産運用をする場合、上記のリターンから「信託報酬」という手数料が差し引かれます。また、昨今の低金利環境においては、債券から得られるリターンが極めて小さくなっています。

これらを総合的に踏まえると、長期的にはバランス型投信の利回りは年率3%~4%程度に落ち着くのではないかと考えられます。

ちなみに、株式投資の長期リターンは6%~7%程度に落ち着くと言われています。

また、倒産の可能性が低い大手企業の「配当利回り」が2%~3%程度であることを考えると、バランス型投信の利回りは決して高いとは言えないことに気づくと思います。

下記は、記事執筆時点(2018年2月5日)において、三菱UFJ国際投信のeMAXISシリーズで年率リターンを比較した結果です。

年率リターン eMAXISバランス
(8資産均等型)
eMAXIS 日経225
インデックス
1年 10.36% 20.81%
3年 3.11% 10.76%
5年 10.43% 18.51%

相場環境が良かったこともあり、バランス型投信の利回りも高めになっていますが、やはり(ローリスクローリターンな)債券が含まれている分、株式投信には負けています。

もちろん、資産運用ではリスクを極力抑えたいという方もいると思いますので、適度なリスク・リターンで運用したい場合は、バランス型投信も候補に入ってくると思います。

バランス型投信の種類

データ

バランス型投信には数多くの種類があります。ここでは主要なものをまとめておきます。

4資産バランス
国内株式・債券・先進国株式・債券に均等投資
8資産バランス
国内株式・債券・先進国株式・債券・新興国株式・債券・国内リート・先進国リートに均等投資
ターゲットイヤーファンド
特定の西暦に向けて組入比率が変化する(年々債券比率が高くなる)
ファンドラップ(ラップ口座)
投資一任契約にもとづき、方針だけを決めて実際の組入比率は運用者にお任せ
ロボアドバイザー
ロボットによる自動化でファンドラップを低コスト化したもの

この他、6資産バランスや7資産バランスなどいろいろな種類があります。

最も一般的なのは「4資産バランス」で、個人的にはバランス型投信を選ぶとすれば4資産バランスが最もおすすめです。

国内外の株式・債券にバランス良く投資をすることで、前述のリスクマップと同等の運用が行えます。(信託報酬などは別途かかりますが)

また、より幅広く分散投資をしたいという方は、新興国株式・債券やリート(不動産)を含めた「8資産バランス」がおすすめです。

個人的には、資産運用においてリート(不動産)を組み入れる必要がないと思っているのですが、個人投資家の間では8資産バランスもかなり人気です。

ターゲットイヤーファンドとは

ターゲットイヤーファンド

特殊なバランス型投信としては「ターゲットイヤーファンド」があります。

ターゲットイヤーファンドには、ファンド名に「楽天ターゲットイヤー2050」のような西暦が記載されています。

このタイプの投資信託は、「2050年に向けて段階的に株式の比率を縮小し、債券の比率を高める」ような運用を行います。

年齢が若い時は、リスクを取って積極的な運用を行い、定年退職を迎える60歳近辺になるにつれて、リスクを減らして安定運用に切り替える。

こうした資産運用における一連の流れを1本の投資信託で実現してしまおうというのが、ターゲットイヤーファンドのコンセプトです。

よって、「楽天ターゲットイヤー2050」であれば、2050年に定年退職を迎える(60歳前後になる)人向けの商品となります。

ファンドラップの問題点

ファンドラップの仕組み

ファンドラップやロボアドバイザーは、「投資一任」型の商品です。大まかな運用方針だけを決定して、あとはプロにお任せというスタイルです。

一見、手軽なように思えるのですが、逆に言うと「運用会社の自由自在」に資産配分を変更できるため、金融機関にとって手数料の大きい商品を多く組み入れらる可能性が指摘されています。

事実、経済評論家の山崎元氏は、ファンドラップ(ラップ口座)について酷評しています。

まず、ラップ口座は、投資される商品の中身で運用管理手数料の高いものが選ばれたり、為替・債券などの取引価格に含まれる手数料で、資金の運用者が利益を貪ったりするインセンティブがあり、現実に高い実質的手数料が掛かる場合が多いことを指摘しておこう。

「ぼったくり」が可能なのは、投資信託の販売手数料だけではない。金融機関を甘く見ない方がいいし、まして信用するなどもっての外だ。

 全ての面を総合して、大手金融機関のラップ口座はバランス運用の中でも特に劣悪な運用サービスであり、決して近づかない方がいいと申し上げておく。

ファンドラップについては、当サイトでも過去に「証券マンがおすすめするファンドラップの評判を信じて買って良いのか」という記事を書いているのですが、高い手数料を取られたとのコメントも寄せられました。

バランス型としてのロボアドバイザー

ロボアドバイザー

一方で、最近話題となっているのが「ロボアドバイザー」の存在です。

ロボアドバイザーのウェルスナビやTHEO(テオ)は、投資対象を海外ETFに限定することで、資産運用会社との利害関係がなく中立的な立場で運用できるのがメリットです。

また、ファンドラップと同等の「すべてお任せ」できるサービスでありながら、ロボットによる自動化の仕組みを取り入れたことで低コスト化を実現しています。

一方で、ロボアドバイザーの運用手数料として年率1%程度の費用+ETFの信託報酬が必要となり、コスト面では決して優れているとは言えません。

すべておまかせができて、バランス型投信と同等のリターンが期待できる商品として、「資産運用に時間は割きたくない。すべてお任せでそこそこのリターンを得たい」という方にはおすすめです。

バランス型ファンドのメリット・デメリット

リバランス

まず最初にバランス型投信のメリットをまとめておくと、

  • 1本の投資信託で手軽に分散投資ができる
  • リバランスを自動的に行なってくれる

という2つがあげられます。

特に、リバランス(資産配分の調整)を自動的に行なってくれるのは、資産運用に時間を割きたくないと考えている人にとっては大きなメリットです。

リバランス(資産配分の調整)とは

例えば、最初にハイリスクハイリターンな「株式」とローリスクローリターンな「債券」を50%ずつ保有していたとします。

当初はバランスの取れた資産構成だったのですが、その後「株式が大きく値上がりし債券が大きく値下がりする」という状況になりました。

すると、いつの間にか資産全体の構成比率(時価)が、ハイリスクハイリターンな株式比率の高い状態になってしまいます。

このような時、値上がりして割高となった株式を一部売却し、現金化したお金を使って、値下がりして割安になっている債券を買い増しし、元の「株式50:債券50」という資産配分に戻すのが、リバランスです。

リバランスを自分自身で行うには、定期的な資産状況の監視が必要ですが、バランス型投信ではこうした資産配分の調整を自動的におこなってくれます。

リバランスについての詳細はこちらの記事をご覧ください。

しかし、バランス型ファンドにはデメリットもあります。

微調整が効かない

投資の失敗

個人的に、バランス型ファンドの最も大きなデメリットだと思うのは「微調整が効かないこと」だと思っています。

著名投資家のウォーレン・バフェットが師と仰ぐ偉大な投資家「ベンジャミン・グレアム」はこのように言っています。

株式の割合は最低で25%最高で75%の範囲内に、債券の割合は75%から25%の間とすべきだ

これは、株式が値下がりしている時は、割安となっている株式の比率を高め、株式市場が値上がりして割高になっている時は、株式の比率を減らして安全資産の債券の比率を高めよということです。

このように、資産構成を常に一律にするのではなく、状況に応じて債券寄りの資産にしたり、株式寄りの資産にしたりという微調整が大切だと、ベンジャミン・グレアムは説いています。

基本は株式、債券を50%ずつ保有する形で問題ないと思いますが、「バランス型投信1本」で勝負をしているとこうした微調整が取りにくいという問題があります。

また、つみたてNISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)などの運用で、自分が60歳になるまでに1,000万円の資産を築くというライフプランを立てていたとします。

しかし、自分が50歳になった段階でその実現が難しいことがわかり、「もう少しリスクを取ってなんとか60歳までに1,000万円の資産になるように資産配分を調整したい」と考えたとします。

このような場合、「国内株式・債券、先進国株式・債券」の4資産を複数の投資信託で保有していると微調整が行いやすいですが、バランス型投信1本で投資をしていると、手軽な反面微調整に苦労します。

こうした融通の効かなさはバランス型投信のデメリットといえるでしょう。

コスト面での不利は解消されている

財布を持つ女性

バランス型投信は、1つの資産に投資する投資信託を自分で組み合わせるのと比べて、コスト(信託報酬)が高くなると言われています。

これは、前述の「リバランスのための手数料」や「自分で複数の投信を買うのが面倒な方のためのお任せ料」と考えることもできますが、少しでもコストを抑えたい場合は、自分でそれぞれの投信を購入した方が良いと言われていました。

しかし現在では、バランス型投信の手数料(信託報酬)はかなり下がってきているため、単品購入と比較して一概にコストが高いとは言えません。

資産バランスを機動的に調整できないというデメリットはありますが、ずっと同じ比率で資産を保っていきたい場合は、単品購入よりもバランス型投信1本で勝負した方がコスト効率はよくなります。

例えば、大和証券投資信託の低コストファンド「iFree」シリーズで比較してみます。

▶iFree 8資産バランス
信託報酬:0.22%

「iFree 8資産バランス」は、国内株式、国内債券、先進国株式、先進国債券、新興国株式、新興国債券、国内リート、海外リートの8つの資産に均等投資(12.5%ずつ投資)をするファンドです。

これらの資産を、それぞれ単品購入した場合の信託報酬は以下の通りです。

  • iFree TOPIXインデックス:0.17
  • iFree 日本債券インデックス:0.22%
  • iFree 外国株式インデックス:0.19%
  • iFree 外国債券インデックス:0.18%
  • iFree 新興国株式インデックス:0.34%
  • iFree 新興国債券インデックス:0.22%
  • iFree J-REITインデックス:0.29%
  • iFree 外国REITインデックス:0.31%

これらの8つの投資信託の信託報酬を平均すると0.24%に。

つまり、単品購入よりもバランス型ファンドを1本購入した方がコスト面で有利。

※記事執筆時点(2018年2月5日)の情報です
※信託報酬は税抜です

つみたてNISA・iDeCoでおすすめのバランス型ファンド

つみたてNISAとiDeCo

バランス型投信は、「つみたてNISA」や「iDeCo(個人型確定拠出年金)」でも購入できます。

これらの制度についての詳しい解説は「つみたてNISAとiDeCoはどっちを選べばよい?違いとメリット・デメリット」にて行っていますが、どちらも投資利益が非課税になるため、私たち個人投資家にとって、活用メリットの大きい制度となっています。

つみたてNISAの対象商品は金融庁のサイトで確認できますが、数がとても多いので、今回は、個人的におすすめできるバランス型投信で、つみたてNISAやiDeCoで購入できるものを厳選して紹介します。

バランス型ファンドには数多くの種類がありますが、やはり「低コスト」にこだわると、ノーロード(購入時手数料0円)のインデックス型が有利です。

ニッセイ・インデックスバランス(4資産均等型)

ニッセイアセットマネジメント

ニッセイアセットマネジメントが運用する「ニッセイ・インデックスバランス(4資産均等型)」は、国内株式・国内債券・先進国株式・先進国債券の4つの資産に均等に分散投資を行います。(それぞれ25%ずつ)

信託報酬は0.219%+税とトップクラスの低さで、つみたてNISA対象の投資信託です。

ニッセイのインデックスファンドはいずれも、低コストな商品が多く、多くの個人投資家から高い評価を得ています。4資産均等バランスの投資信託を選ぶ場合、現状ではこのファンドが最も優れていると思います。

ただし、販売会社がかなり限定されており主にネット証券での販売が中心です。

国内No.1のネット証券であるSBI証券の場合、「投信マイレージサービス」によって、投資信託保有残高に応じて最大で年率0.2%のポイントが獲得できます。

ニッセイ・インデックスバランス(4資産均等型)については、ポイント還元率が0.05%となっていますが、投信マイレージによって実質的な信託報酬をさらに0.05%引き下げることができます

投信マイレージサービスは、「つみたてNISA」口座で購入した投資信託も対象となります。

楽天証券でも同様のサービスを展開していますが、還元率の高さを考えると、SBI証券での購入が最もおすすめです。(もちろん、本ファンドに限らず原則としてすべてのファンドがポイント還元の対象です)

eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)

eMAXIS Slim(イーマクシス スリム)

eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)は、国内株式・国内債券・先進国株式・先進国債券の4資産に加えて、さらに新興国株式・新興国債券国内リート・海外リートを加えた投資信託です。

8つの資産に対して均等に、12.5%ずつ投資をすることになります。

eMAXIS Slimは、三菱UFJ国際投信が展開しているインデックスファンドのシリーズですが、いずれの商品も「業界最低水準のコストを目指す」と明言しており、業界の低コストリーダーとなっています。

信託報酬は、記事執筆時点で0.21%+税となっていますが、段階的に引き下げられているため、今後さらなる低コスト化が実現される可能性もあります。

eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)も、8資産均等型のバランス投信ではもっとも信託報酬が低く、つみたてNISAの対象商品となっています。

販売先はネット証券を中心としているため、大手証券会社や大手銀行などでは販売されていません。(大手の金融機関はこうした顧客優位な投信を扱いたがらないため)

また、eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)はiDeCo(個人型確定拠出年金)での購入が可能です。

現在、この投資信託を扱っているのはマネックス証券iDeCoのみとなっています。

マネックス証券のiDeCoは、信託報酬の低い優良な投資信託を豊富にそろえているため、個人的にもかなりおすすめです。(→マネックス証券iDeCoの詳細はこちら

eMAXIS Slimについての詳細は、下記の記事で解説しています。

世界経済インデックスファンド

世界経済インデックスファンドのポートフォリオ

世界経済インデックスファンドは、三井住友トラスト・アセットマネジメントが運用する投資信託で、つみたてNISAの対象商品です。

投信ランキングにもランクインする隠れた優良ファンドの一つとなっています。

世界経済インデックスファンドは、バランス型投信の中でもインデックス型ではなくアクティブ型という位置づけです。(ただし、実質的にはインデックスファンドと同じ)

投資対象は主に株式と債券です。

世界経済インデックスファンドを象徴するのが、均等ではないバランス型投信であることです。

基本的には、インデックスファンドと同じく指数連動型の投資信託なのですが、投資対象国の比率が、

  • 先進国:約60%
  • 新興国:約30%
  • 国内:約10%

という組み合わせとなっています。

また、株式・債券比率は50:50なので、実質的には

  • 国内債券:5%
  • 国内株式:5%
  • 先進国債券(外国債券):30%
  • 先進国株式(外国株式):30%
  • 新興国債券:15%
  • 新興国株式:15%

となります。

国内ではなく主に海外比率を高めた投資を行っていきたい方にとっておすすめの1本です。

ただし、コスト面では他のバランス型投信と比較してやや高めの印象です。

  • 購入時手数料:最大3%+税
  • 信託報酬:0.5%+税
  • 信託財産留保額:0.1%

つみたてNISAでは「購入時手数料0円(ノーロード)」が条件の一つになっています。

よって、おそらくSBI証券や楽天証券のように「世界経済インデックスファンドの購入時手数料を0円にしている一部の金融機関」でのみ、つみたてNISAでの販売が行われている」ものと思われます。

世界経済インデックスファンドの特徴については、下記の記事で説明していますのであわせてご覧ください。

セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド

セゾン投信

個人投資家に人気の直販型投資信託「セゾン投信」も、バランス型ファンド「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」を手がけています。

セゾン・バンガード・グローバルバランスファンドは、世界経済インデックスファンドとやや似たタイプの、アクティブ型のバランス型投資信託です。

1本の投資信託で、世界30カ国以上の株式と10カ国以上の債券に投資が行えます。株式と債券の組入比率は50%ずつです。

先進国への投資比率が高めで、国内への投資比率は10%程度となっており、前述の世界経済インデックスファンドに近い運用方針です。

  • 購入時手数料:0円
  • 信託報酬:信託報酬:0.63%程度
  • 信託財産留保額:0.1%

一方で、ファンド・オブ・ファンズでの運用となるため、信託報酬はやや高めの設定となっています。

つみたてNISA対応商品ですが、セゾン投信は直販にこだわっているため、証券会社や銀行では取り扱いがありません

ただし、楽天証券のiDeCoが唯一セゾン投信を扱っているため、iDeCoを活用することで、楽天証券からセゾン投信の購入ができるようになっっています。(→楽天証券のiDeCo 詳細はこちら

セゾン投信については「セゾン投信の利回りは?評判の理由とつみたてNISAでおすすめできる理由を公開」という記事で解説しています。

イデコとつみたてNISAで投資利益を非課税に

家族

国が後押しして作られた資産形成の制度「イデコ(個人型確定拠出年金)」と「つみたてNISA」は、個人投資家にとってメリットの大きい制度です。

仕組みがめんどくさい、手続きがややこしいなどの意見もありますが、これらの制度を利用することで、何十年にもわたる期間で得られる投資利益が非課税となります。

職業などの条件にもよりますが、iDeCoとつみたてNISAを合わせて、一般的なサラリーマンで毎月5万円程度の非課税投資枠を確保できます

特にiDeCoは毎月の拠出額が全額、所得控除の対象となることから、大幅な節税効果を実現でき、将来の資産形成に役立ちます。

また、iDeCoは1年でも早くスタートすることがメリットに繋がります。

資産運用のことがよくわからないうちは、低コストなインデックス型のバランス型投信を選択し、知識がある程度身についてきた段階で、自分自身で正しいファンドに切り替えるのもおすすめです。

つみたてNISAのおすすめファンドについてはこちらの記事で解説しています。

また、口座管理手数料0円で人気の「SBI証券のiDeCo」のおすすめファンドはこちらです。

iDeCoとつみたてNISAをどちらから始めればよいかわからない方は、「つみたてNISAとiDeCoはどっちを選べばよい」をご覧ください。

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2018年版 1億人の投資術が選ぶおすすめの投資商品一覧

投資商品の選び方

最近は、フィンテックという言葉をよく耳にします。それに伴い新しい投資商品が多数生み出され、これまで資産運用の経験がない方でも簡単に投資ができるようになりました。

また、国が日本の景気を再興するための施策として、つみたてNISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)をスタートさせました。

この記事では、当サイト「1億人の投資術」が注目しているおすすめの投資商品をまとめます。

資産運用の経験がない方は、まずは(儲かる・損するなどが気にならないくらいの)少額で構わないので、面白そうだと思ったものを試してみることをおすすめします。

きっかけが作れると、そこから投資について学んだり、資産運用について真剣に考える意識が芽生えるはずです。

iDeCo(個人型確定拠出年金)

iDeCo

  • 管理人おすすめ度:★★★★★
  • 最低投資額のめやす:5,000円
  • 投資利益が非課税に、毎月の掛金拠出額が所得控除となり節税効果大
  • iDeCoの詳しい情報

現在、1億人の投資術が最もおすすめしたい投資商品(制度)が、iDeCo(個人型確定拠出年金)です。

iDeCoは2017年1月に大幅リニューアルされ、原則として20歳以上の方なら誰でも利用できる制度となりました。

しかし、「仕組みがわかりにくい」「申し込み手続きが煩雑」などの理由から、まだ実際にiDeCoによる将来の年金づくりをしている人は限られているようです。

iDeCoが他の投資商品と大きく違うのは、国が後押ししている制度であり「将来の年金作り」として資産形成ができることです。

定年退職をした後、老後の生活資金に不安を抱えている人は多いと思います。

iDeCoは「原則として60歳まで引き出せない」というデメリットがありますが、逆に言うと60歳を過ぎた時に受け取れる「自分だけの年金」が作れます。

現在の日本は、社会保障制度の維持が難しくなっており、国民年金や厚生年金などの社会保障は、「将来受給額が減らされる」または「受給年齢のさらなる引き上げ」が行われる可能性が指摘されています。

しかし、「iDeCo(個人型確定拠出年金)」は自分の力で将来の自分のための年金を作る仕組みですので、確実にもらうことができます。

そして、将来の受給金額は「自分で決めた資産運用の結果次第」というのも、iDeCoの面白いところです。

リスクを取って大きく増やすことができれば、将来の年金受給額も増え、元本確保型商品などで安定的に運用した場合は、そこそこの年金が受け取れるという仕組みです。

掛金の拠出や将来の年金受給にあたっては、つど手数料がかかってしまいます。また、1回あたりの掛金は最低でも5,000円からとなります。

このあたりが、iDeCoに対する敷居を上げている要因かもしれませんが、その代わりとして

  • 積立時の掛金が全額所得控除
  • 運用で得られる投資利益が非課税
  • 年金を受け取る時、公的年金等控除、退職所得控除の対象

という3大メリットがあります。

iDeCoの年間掛金は職業によって異なりますが、一般的なサラリーマンであれば年間27.6万円(毎月2.3万円)、自営業の方などであれば年間81.6万円(毎月6.8万円)を積み立て可能です。

この積立金額が全額所得控除となるため、これだけでも大きな節税効果が期待できます

つまり、毎年の課税所得(税金の対象となる年収)を、最大で81.6万円も減らす効果があるのです。

iDeCoは長い人で40年間の運用が可能です。こうした節税効果を最長40年間も続けられることを考えると、その効果は絶大であることがわかります。

そしてさらに、iDeCoによる運用で得た投資利益は配当所得なども含めて非課税となり、60歳を過ぎて積み立てたお金を受取る時も、一定の控除が得られます。

iDeCoでは、まず最初に「金融機関」を選びます。「証券会社」や「銀行」など、iDeCoの取り扱いがある金融機関に申し込み手続きをします。

iDeCoで運用できる商品(投資信託・定期預金・保険など)は、金融機関によって品揃えが異なります。

顧客にとって優位な、「良い投資信託」を揃えているのは、楽天証券やSBI証券、そしてマネックス証券のようなネット証券です。

ネット証券は、口座管理手数料0円であるため、大手金融機関よりも有利な条件でiDeCoでの資産運用ができます。

また、人気の投資信託「ひふみプラス(SBI証券が取り扱い)」や「セゾン投信(楽天証券が取り扱い)」なども扱っており、個人投資家にも人気です。

「ネット証券で本当に安心なの?」と不安を感じる方は、「iDeCoで申し込み先の金融機関が倒産した場合はどうなるの?」をご覧ください。

iDeCoの顧客資産は金融機関から分別管理されているため、万が一ネット証券が倒産した場合でも、資産が失われる心配はありません。

iDeCoの金融機関比較は下記の記事で行っていますので、あわせてご覧ください。

つみたてNISA

NISA

  • 管理人おすすめ度:★★★★★
  • 最低投資額のめやす:100円
  • 最長20年間、投資利益が非課税に、金融庁のお墨付き
  • つみたてNISAの詳しい情報

いま、最も話題となっているのが「つみたてNISA」です。

以前から、NISA(少額投資非課税制度)がスタートしていましたが「仕組みがわかりにくい」などの問題が指摘されていました。

この問題を解消すべく、2018年から「つみたてNISA」がスタートし、これまで資産運用をしたことがない方でも気軽に将来の資産形成が行えるようになりました。

iDeCo(個人型確定拠出年金)が「将来の年金作り」であるのに対し、つみたてNISAは「将来の資産形成」のための制度です。

わかりやすく言うと、「将来マイホームを購入するための資金を作りたい」などの目的でつみたてNISAを利用することができます。

つみたてNISAの特徴は3行で説明できます。

  • 年間の投資枠は40万円(月換算で3.3万円程度)
  • 2018年から20年間にわたって実施(2037年まで)
  • 購入した投資商品は最長20年間、非課税(いつでも売却OK)

一番最後が少しわかりにくいかもしれませんので、補足しておきます。

まず、つみたてNISA口座で購入した投資信託やETFは、いつでも好きなタイミングで売却可能です。(iDeCoのように資金拘束がありません)

しかし、最長でも購入してから20年以内に売却しなくてはなりません。

そして、つみたてNISAの制度自体が20年間(2037年)まで実施されます。つまり、2037年につみたてNISA口座で購入した投資信託は、その20年後である2057年までに売却すれば非課税となります。

当サイト「1億人の投資術」がつみたてNISAを非常におすすめする理由は、「つみたてNISAは金融庁のお墨付き」があるからです。

一般的に、銀行や証券会社に務める人が高年収である理由は「それだけ金融機関が儲けているから」です。

そして、その裏には金融機関が「私たち顧客にとって決して有利ではない(金融機関にとって手数料の大きい)商品を販売していた」という事実があります。

これまでは、資産運用の知識が何もない人が、証券会社や銀行の相談会などに行くと、多くの場合「儲かる可能性の低い、高コストな投資信託」をおすすめされ、何も知らずに買わされていました。

こうした事態に金融庁がメスを入れ「本当に顧客本位の良い投資信託しか、つみたてNISAでは取り扱ってはならない」という厳格なルールを策定しました。

よって、つみたてNISAで販売できる投資信託は「金融庁が定めた基準を満たす、顧客本位な商品」のみが販売されています

これは、言い換えると資産運用の知識がない方がどの商品を選んでも、決して間違った選択にはならず、安心して商品選びができるということです。

つみたてNISAでも、顧客本位の良い投資信託はネット証券が扱っていることが多いです。

また、ネット証券であれば100円という少額から積み立てが可能です。

金融の世界では「大手だから安心」という言葉は通用しません。正しい知識を身につけることが、将来のより良い資産形成に繋がります。

当サイトが考える良い投資信託については、「2018年スタート!つみたてNISA対象商品でおすすめの投資信託を7本厳選」で紹介しています。

また、「信託報酬が安いと評判の投資信託5選!低コストなインデックスファンドは?」でも、優良な投資信託を解説していますので、あわせてご覧ください。

iDeCoとつみたてNISAのどちらから始めればよいかわからない方は、「つみたてNISAとiDeCoはどっちを選べばよい?違いとメリット・デメリット」をご覧ください。

iDeCoとつみたてNISAの非課税枠を合計すると、通常のサラリーマンの方でも毎月5万円程度の非課税枠を確保できます。

投資利益が非課税になることはとてもメリットが大きいことですので、つみたてNISAとiDeCoは、まず最初に検討したい投資商品(制度)です。

株式投資

株式投資

  • 管理人おすすめ度:★★★★★
  • 最低投資額のめやす:10万円程度
  • 往年の投資商品、株主優待や配当金がもらえる
  • 株式投資の詳しい情報

iDeCoやつみたてNISAは優れた制度ですが、基本的に「投資信託」での運用となるため、個別株の購入はできません。

とは言え、資産運用に資産を回す余力があれば、株式投資による資産運用を検討してみても良いと思います。

株式投資の魅力はなんといっても、「好きな企業を応援できる」、「企業の業績の裏付けがある」、そして「株主優待や配当金がもらえる」ことです。

株式投資を始めたい方は、まず最初に証券口座に無料口座開設を行います。

この時、口座の種類を選択することになりますが、ほぼすべての個人投資家は「特定口座(源泉徴収あり)」を選択しておけば間違いありません。

ただし、株式投資にはデメリットがあります。それは、企業の株価によって最低投資額が異なることです。

最近は最低投資額が引き下げられる傾向にありますが、中には任天堂のように最低投資額が400万円以上かかる銘柄もあります。(記事執筆時点の株価)

こうした問題を解消するために生まれたのが、後述する「テーマ型投資」や「簡単投資」です。

特に運用資産が少ない10代・20代の方は、儲かる・損をするという結果を気にせず、とにかくはじめてみることをおすすめします。

若いうちは損失を気にしない

私自身、20代の前半は色々な投資商品で何度も損を出しました。何度やっても失敗ばかりで、投資で損を重ねた回数は数え切れないほどです。

しかし、損失を被る度、投資についての知識や「やってはいけないこと」が身についたおかげで、今では昔のような失敗はしなくなりました。

そして、最も大きかったのが「何度も損を出していた20代の頃の運用資産は数十万円という少額でしかなかった」ことです。

つまり、損失を出した回数は数え切れなくても、その絶対額は(当時の自分からすると大きかったのですが)決して大きな金額ではなかったのです。

30代になり、稼ぎが大きくなると必然的に運用資産も大きくなります。

投資の世界では、運用資産が大きいほど利益の絶対額が大きくなるため、知識を身につけた30代の投資利益で、20代の頃の損失はすぐに解消できました。

このエピソードが示すとおり、「資産運用するほどお金に余裕がない」という考え方ではなく、「運用資産が少ない時に多くの失敗を経験しておく」ことが重要なのです。

テーマ型投資

FOLIO(フォリオ)の運用実績

「フィンテック」によって誕生した新しい投資商品に「テーマ型投資」があります。

テーマ型投資とは、「コスプレ」「人工知能」「ドローン」「サイバーセキュリティ」「がんばろう東北」などのテーマ単位で投資ができる仕組みです。

例えば、「トヨタ自動車」「ソフトバンク」「任天堂」のような個別銘柄に投資をする場合、その企業についてある程度分析をしなくてはなりません。

また、株価が高い銘柄は最低投資額が大きいという問題もあります。全財産で「任天堂」を1銘柄買っても、分散投資が行われていないためリスクの高い運用となってしまうのです。

これらはいずれも「少額で資産運用をはじめたい人にとって投資へのハードルを上げている」原因となっています。

しかし、テーマ型投資ではそれぞれのテーマが10銘柄で構成されており、10万円で購入できるというメリットがあります。

「コスプレ」というテーマを選択すれば、コスプレ関連銘柄が10銘柄パッケージされた商品を10万円で買える仕組みとなっています。

先ほどの例でいうと、東北を応援したいから「東北関連銘柄」、これからは人工知能(AI)の時代が来そうだと考えて「人工知能関連銘柄」をパッケージで購入できるのです。

そして、実際の売買についても「テーマ単位」で行います。

過去の実績で、そのテーマがどれくらい値上がりしているかについても簡単に閲覧できるため、初心者でもテーマの選択が行いやすいです。

1つテーマは一律10万円で販売されるため、「ゲーム」関連のテーマを購入すれば、「任天堂」株も手軽に購入できます。

テーマ型投資のもう一つのメリットは、昨今人気となっている「テーマ型投資信託」よりも低コストで利用できることです。

テーマ型投信とは、「人工知能関連の銘柄に投資する」といったような一定のコンセプトをもった投資信託で、ここ数年、個人投資家に人気となっています。

しかし、テーマ型投信では「信託報酬」という保有期間中に継続的に発生するコストがかかります。

一方、「テーマ型投資」はあくまでも「売買手数料」で稼ぐビジネスなので、購入時・売却時にそれぞれ投資額の0.5%を支払えば、保有期間中は一切費用はかかりません

この点が投資信託とテーマ型投資の大きな違いです。

個人的には、保有期間中に手数料がかからないテーマ型投資は「長期・分散・積立」の観点からみても、とても有効な資産運用の手段だと考えています。

現在、テーマ型投資で最も進んでいるのは、「FOLIO(フォリオ)」というベンチャー企業です。

フォリオはすでにLINEと提携をおこなっているため、将来的にはLINEが提案する資産運用の手段として、FOLIOが組み込まれるが高いと考えられます。

テーマ型投資「フォリオ」については下記の記事で詳しく解説しています。

簡単投資

ワンタップバイの仕組み

  • 管理人おすすめ度:★★★
  • 最低投資額のめやす:1,000円
  • スマホだけで数タップで売買、投資先企業についての知識も身につく
  • 簡単投資の詳しい情報

「簡単投資」はスマホを使って数タップで株式の売買が行える仕組みです。

任天堂のような株価の高い銘柄を小分けにして販売し、少額から手軽に売買できるようにしたのが「簡単投資」の特徴です。

わかりやすく言うと、「ミニ株」をより手軽にリアルタイムで売買できるようになるサービスです。

簡単投資で最も有名なのは「ワンタップバイ」です。

テレビCMなどを見たことがあるかもしれませんが、ワンタップバイであれば1,000円から初心者でも簡単に投資をスタートできます。

最近は投資信託が100円という超少額から始められるようになっているため、以前に比べて優位性は薄くなりましたが、個別株を1,000円で購入できるのはワンタップバイの大きな魅力です。

ワンタップバイでは、日本株の他に米国株の取り扱いもあり、AmazonやFacebookといった世界的に有名な企業にも投資できます。

配当金も受け取れるため、株式投資をしたいが気になる銘柄を購入できない方におすすめです。

また、ワンタップバイは定期的に投資銘柄のレポートなどを配信してくれます。こうしたレポートを見るだけでも、自然と投資や企業に対する知識が身につきます。

投資型クラウドファンディング

クラウドファンディングの分類

投資型クラウドファンディングには色々な種類がありますが、中でも未上場企業に投資ができるものがここ数年の新しいトレンドです。

これまでは、「未上場株投資 = 詐欺」と言って良いほど怪しい存在でしたが、現在はきちんと法整備が進み、1人1銘柄あたり最大50万円まで未公開株への投資ができるようになっています。

私たち投資家にとっては、「これから大きくなるベンチャー企業を応援できる」ことと、「初期の頃から応援していたベンチャー企業が上場した暁には大きな利益を手にすることができる」という2つのメリットがあります。

しかし、多くのベンチャー企業が上場に至らないまま倒産してしまうという厳しい現実もあり、投資型クラウドファンディングはハイリスクハイリターンな投資と言わざるをえません。

IPOを目指す未上場株への投資では、「ファンディーノ」や「エメラダエクイティ」が先行しています。

また、1年間などの期間限定で「プロジェクト単位で投資をする(プロジェクトが成功したら一定のリターンを分配する)」仕組みを作ったのが、ソニー銀行が手がける「Sony Bank GATE」です。

ソニーバンクゲートは、ベンチャー企業が投資家から集めたお金を使って商品をリリースし、その商品の売上の結果によって分配金が決まるという投資型クラウドファンディングです。

この手の投資型クラウドファンディングはプロジェクト単位で結果がわかるので、IPOを狙った企業に投資を行うファンディーノやエメラダ・エクイティと比較してリスクは小さめです。

詳細については「ソニー銀行の投資型クラウドファンディング「Sony Bank GATE」超入門」にて解説しています。

いずれにしても、ハイリスク・ハイリターンな投資商品であることは間違いないので、おすすめ度は「★★」としています。

海外ETF

ETFと投資信託の違い

  • 管理人おすすめ度:★★★★
  • 最低投資額のめやす:1万円程度
  • 取引の敷居は高め、本気で資産運用を目指す玄人向け商品
  • 海外ETFの詳しい情報

海外ETFは、本気で資産運用をしたい方にとって、特におすすめの商品です。

ETFとは上場投資信託のことで、一般的に販売されている投資信託よりも信託報酬が低いのが特徴です。(大まかな違いは上記の図を参照)

海外ETFは種類が豊富であることや、余計なコストを省いて分散投資ができることから、長期における投資リターンを最大化しやすいのがメリットです。

「低コストで運用できる」のが理由で、投信ブロガーや資産運用に力を入れている方は、好んで海外ETFを選択します。

一方で、海外ETFにもデメリットがあります。

1つめは、円を米ドルなどに両替して投資を行わなくてはならないため、この手続きが初心者にとってやや敷居が高いことです。

また、ETFは基本的に自動積立ができないため、売買するためには自分自身が実際に注文を出す必要があり、積立投資には向いていません。

海外ETFの中でも、個人投資家に特に人気なのは「バンガードETF」です。

最近は、バンガードETFを自動積立可能にした投資信託を楽天投信投資顧問が運用しています。

楽天バンガード投信は、低コストでつみたてNISA対象商品です。

私自身、以前はバンガードETFを手動で積立していましたが、現在はこの商品を買っています。

ロボアドバイザー

ロボアドバイザー

  • 管理人おすすめ度:★★★
  • 最低投資額のめやす:1万円
  • 資産運用に必要なあらゆることをロボットにお任せできる新しい仕組み
  • ロボアドバイザーの詳しい情報

ロボアドバイザーも現在とても人気のある投資商品です。

先ほど、海外ETFが「コストが低い」というメリットがある一方で「初心者にとって敷居が高い」、「自動積立ができない」と言ったデメリットがあると述べました。

ロボアドバイザーはこれらの問題点をうまく解決した商品で、「THEO」や「ウェルスナビ」が特に有名です。

ロボアドバイザーが投資対象とするのは低コストな「海外ETF」です。

通常、海外ETFに投資をするためには、円を米ドルなどに両替しなくてはなりませんが、こうした手続きはロボアドバイザーが自動で行ってくれます。

また、海外ETFの買付、運用中の資産の監視、そして状況に応じて一部資産を売却して配分調整する「リバランス」に至るまで、すべての作業をロボットが代行してくれます。

もちろん、ETFの買付を自動でおこなってくれるので、「ETFの自動積立ができる」のも大きなメリットです。

では、私たちは何をすればよいのかというと、「お金を入金して」「ロボアドバイザーの質問等に答えて投資方針を決めるだけ」です。それ以降は放置しておくだけで、ロボットが方針に従って勝手に運用してくれます。

このように「完全おまかせの資産運用」としてロボアドバイザーは非常に人気があります。

しかし、手数料が「年率1%」と決して低くない水準となっているのが、ロボアドバイザーのデメリットです。

ロボアドバイザーの手数料は「年率1%」とシンプルでわかりやすいです。また、為替手数料や売買手数料などはすべてこの「1%」の手数料に含まれています。

信託報酬が高い投資信託や大手金融機関が販売するファンドラップに比べると、よほど良心的なのですが、それでも資産運用に力を入れている投資家からすると、この手数料は低くないというのが本音です。

私の意見としては、「ロボアドバイザーは投資に時間をかけたくない人にとってはベストな選択肢」だと思っています。

資産運用を本気でやろうと思ったら、それなりの勉強をし知識を身につけなければなりませんし、労力も惜しまず投入しなければなりません。

しかし、世の中には「お金を増やすことにそこまで時間を割きたくない」と考えている人もたくさんいます。

資産運用のために割く時間を節約し、自分がやりたいことに時間を使う。

そのために、少し高めの手数料を払っても「完全おまかせでそこそこの運用結果が得られれば良い」と考える人にとって、ロボアドバイザー以上の選択肢はありません。

将来のことを考えると資産運用の必要性を考えている、資産運用に時間や労力はできるだけ使いたくない人は、ロボアドバイザーでの運用がおすすめです。

現在、ロボアドバイザーで特に人気があるのは「THEO」と「ウェルスナビ」です。

どちらが良いとは一概には言えないのですが、THEOは1万円からスタートできるためより敷居が低いです。(ウェルスナビは最低投資額10万円から)

THEO(テオ)とウェルスナビの違いについては下記の記事で詳しく解説しています。

長期・分散・積立投資で勝つ

ファイナンス

どの商品にも共通して言えることですが、資産運用では「長期・分散・積立」投資が基本戦略として必要です。

下記のデータは、金融庁が「つみたてNISA」をスタートするにあたって公開した資料です。

長期積立分散投資による投資収益率

このデータが示す内容をまとめると以下のようになります。

  • 短期運用では運の要素が大きい
  • 長期運用では年率2~8%の投資収益率が得られる

保有期間5年程度の短期運用では、投資リターンは大きなプラスになったり、大きなマイナスになっています。

つまり、運の要素が大きい「ギャンブル的な資産運用」になってしまうということです。

そして、現在の日本では多くの個人投資家が5年以内に投資信託や持ち株を売却してしまい「儲からない」「投資はギャンブルだ」と口にします。

しかし、資産運用には「経済成長」という裏付けがあるため、保有期間20年という長期の運用を行うと、投資リターンは年率2%~8%に落ち着きます。

上記の資料では、「国内株式・国内債券・外国株式・外国債券」の4つの資産に毎月同額を積立、つまり「長期・分散・積立」運用を行った場合の結果を示しています。

この結果に基づいて、金融庁は長期の資産運用は「儲かる」と判断し、「つみたてNISA」の仕組みを決めたのだと思います。

もちろん、投資である以上、必ず儲かるという保証はありません。

しかし、私たちが知恵と労力を使い働いた結果が経済発展に貢献し、その経済成長が裏付けとなり「株価値上がり」につながるという事実があります。

50年前の国民の生活と、現在の生活を比べるとその差が明確であるように、私たちの生活はこれまでも、そしてこれからも、人々の知恵と労働力によって豊かになっていくのです。

50年前(1968年1月末)の日経平均株価は、たった1,312円でした。そして、現在(2018年1月末)の日経平均株価は23,098円となっています。

これを年平均成長率に換算すると年率5.9%となります。

そしてこれは、50年間の日本のGDPの年平均成長率と比較すると概ね近い数値となります

ちなみに、毎月3万円を50年間コツコツと積み立て、年率5.9%で運用した場合、資産はどれくらいになるかわかるでしょうか。

正解は1億963万7,367円です。

時には暴落することもある株価ですが、長期的に見ると、株価は経済成長率と同等の速度で成長していきます。

つまり、この成長を信じて長期・分散・積立投資を行えば、毎月3万円の積立でも、誰でも1億円以上の資産を築くことができるのです。

この成長がこれからも続くかどうかの保証はどこにもありません。

しかし、繰り返しとなりますが、経済成長というのは、私たち国民1人1人の知恵と労働力によって形成されており、未来の株価上昇、経済成長に賭けるということは、これからも人類が発展していくという未来の可能性に賭ける行為とも言えるのです。

このように、短期的には上がったり下がったりするのが株価ですが、数十年という長期スパンで見てみると、私たちの経済は着実な前進を続けており、それは株価にもしっかりと反映されています。

次の記事は「投信ブロガーにも人気の信託報酬が低いiDeCoの運用商品まとめ」です。

最長で40年間の長期運用が可能なiDeCo(個人型確定拠出年金)で選べる、おすすめの投資信託をまとめるとともに、正しい金融機関と投資信託の選択が将来の投資リターンにどのような影響を及ぼすのか、解説しています。

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信託報酬とは?目安と計算の仕方を学んで良い投資信託を選ぶ方法

信託報酬

信託報酬とは、投資信託の手数料の1つです。

そして、投資信託を選ぶ上で最も重要なのが信託報酬であると言われています。最初に大切なことを伝えておくと、0.1%の信託報酬の差が将来の投資リターンに大きな違いをもたらします。

この記事では、信託報酬の意味や気をつけるべきポイント、そして平均値について解説します。

最後まで読んでいただくことで、資産運用の初心者の方でも、良い投資信託の選び方が確実に身につきます。

信託報酬とはなにか?

信託報酬

投資信託には大きく3つの手数料があります。

購入時手数料
投資信託購入時に一度だけ支払う費用。購入手数料0円の投信を「ノーロードファンド」と言います。
信託報酬
資産運用会社、販売会社、信託銀行に支払う手数料。投信の保有期間中、継続して発生するのが特徴です。
信託財産留保額
実質的な解約手数料に相当する費用。保有している投資信託を解約する時に一度だけ支払う費用です。

※これらに加えてその他費用がかかります(詳しくは後述)

購入手数料や信託財産留保額は、一度支払えばそれで終わりですが、信託報酬は

  • 保有期間中ずっと発生
  • 投資残高に対して一定の料率で発生

という特徴があります。

証券会社や銀行の営業トークで「購入時手数料0円のノーロードである」ことが強調されることがあります。しかしこれは、信託報酬という名の別の手数料が高く設定されていることが少なくありません。

投資信託は、プロに資産運用を代行してもらう仕組みです。当然ですが、資産運用のプロに対して一定の手数料を支払う必要があります。

資産運用会社(投資のプロ)に支払う手数料、これが信託報酬です。

また、銀行や証券会社のような「販売会社」に対して支払う手数料、そして私たちが預けた資産を管理する「信託銀行」への手数料、これらすべてをトータルして「信託報酬(管理手数料)」と呼んでいます。

信託報酬の計算方法

計算する女性

信託報酬は「年率」で表記されることが多いですが、実際は日割り計算されて毎日差し引かれます。

信託報酬の計算方法
日々の信託報酬額 = 基準価格 × (信託報酬率 ÷ 365)

※基準価格は現在自分が投資している時価資産残高と言い換えることもできます

例えば、信託報酬が1%の投資信託で、現在の自分の時価資産残高が30万円の場合、
300,000 × (1% ÷ 365 ) = 8円

が1日に支払う信託報酬額となります。
資産残高は日々変動しますので、毎日の値上がり・値下がりによって信託報酬の実額も変わります。

単純計算する場合は、「300,000 × 1% = 3,000円」のように年率での計算を行います。

具体的に1年でどれくらいの費用がかかったかは、投資信託の年間報告書の費用明細などに記載されています。

信託報酬は自分で払い込むものではなく、上記の計算方法に従って「毎日の基準価格から差し引かれる」ことによって間接的に支払われます

わかりやすく言うと、1年間で3%のリターンが出た投資信託(信託報酬は年率1%)だった場合、その投資信託が生み出した実際のリターンは4%ということです。(4%リターン - 信託報酬1%)

逆に、同じ投信で1年間に2%の損失が出ている場合、その投資信託の実際の損失は1%ですが、1%の信託報酬がコストとしてかかるため、投資家の損失は2%に拡大します。

つまり、信託報酬はその年の運用で儲かっても損しても確実にかかる費用だということです。

基準価格は投資信託の「株価」に相当するものですが、この基準価格は信託報酬を差し引いた後の価格となっています。

CAGR(年平均成長率)で利回りがわかる

CAGR(年平均成長率)は、開始時点の価格と終了時点の価格の2つを使って計算することで、年率の複利リターンを計算する方法です。

投資信託の運用結果は、株式投資と同じく良い年もあれば悪い年もあります。

これらを数年単位で見た時に、平均的に見て年率でどれくらいのリターンが得られたのかを計算するのが、CAGR(年平均成長率)です。

CAGRの計算方法を覚えておくと、3年平均成長率、5年平均成長率、10年平均成長率などがわかります。

そして、投資信託だけでなく、ETFや個別株、日経平均株価に対してどれくらいリターンが上回っていたか?なども容易に計算することが可能です。

投資信託の基準価格は、信託報酬を差し引いた後の結果ですので、信託報酬の高い・低いを踏まえた上で10年間の結果だどうだったか?などを比較できます。

CAGRについては「CAGR(年平均成長率)を3分で学ぶ、エクセルを使った計算方法」という記事で詳しく解説しています。合わせてご覧ください。

0.1%のコスト差が与える影響

単利と複利の違い

信託報酬が1%程度と聞くと、「たったそれだけの費用で良いの」と感じる方もいるかもしれません。

しかし、投資信託は「運用残高に対して一定料率で発生する」手数料です。

例えば、信託報酬が1%の場合、運用資産が100万円なら毎年1万円の手数料がかかります。

しかし、運用資産が1,000万円だと毎年10万円、そして運用資産が1億円になると年間で100万円の手数料を支払わなくてはなりません。

運用資産1,000万円、信託報酬1%
毎年10万円のコスト
運用資産1,000万円、信託報酬0.9%
毎年9万円のコスト

上記の場合、信託報酬が0.1%違うだけで年間1万円、10年間の運用で10万円もの手数料差になってしまいます。

そしてもう一つ、わずかなコスト差が将来の投資リターンに大きな結果を及ぼす理由があります。

それは、投資信託は保有し続ける限り「複利効果が働く」という隠れた事実です。

著名投資家のウォーレン・バフェットは複利効果を味方につけて巨万の富を築いたと言われています。

また、アルバート・アインシュタインが「宇宙で一番強い力は複利効果だ」と言及したことも有名です。

上記の例で言うと、年間1万円の手数料を節約できれば、その1万円を原資としてさらに再投資に回せるため、2年目以降の投資リターンにわずかな差が生じます。

そして、このわずかな差は年々大きなものとなっていき、数十年という長いスパンで見ると、たった0.1%の手数料の差が損益結果に大きな影響をもたらすことになるのです。

信託報酬による運用結果の差

上記のグラフは「年率3%のリターンで運用。信託報酬1.5%と0.5%の2つの投信を30年間運用した場合の試算」です。

iDeCo(個人型確定拠出年金)の運用は長い方で40年間におよびますので、現実に十分ありうる状況でシミュレーションしています。

このシミュレーションでは、30年後の運用成果で50万円の差がついており、これはトータルリターンで考えると53%以上の差に相当します。

iDeCoの商品選びと上記のシミュレーションについては、下記の記事で詳細に説明しています。

信託報酬の高いファンドと低いファンドの比較

信託報酬の低い投資信託

投資信託には数多くの種類が存在します。

いくつかのカテゴリに分けることで、信託報酬が高い投資信託とそうでないものを簡単に判断できます。

インデックスファンドとアクティブファンド

インデックスファンドとアクティブファンドの違い

投資信託には大きく分けて

  • インデックスファンド(パッシブファンド)
  • アクティブファンド

の2種類があります。

インデックスファンド(パッシブファンド)は、日経平均株価やNYダウのような特定の指数に連動するタイプの投資信託です。

日経平均株価に連動する投資信託の場合、日経平均採用銘柄を機械的に購入して運用を行います。

日経平均株価が上昇すれば、日経平均連動型のインデックスファンドも上昇しますし、下落すれば同じように下がります。

これはつまり、「日本経済の成長に合わせて値上がりする(経済成長の果実を得られる)」ことを示しています。

インデックスファンドの中には、世界中の株式に分散投資をする投資信託などもあり、これは世界経済の成長の果実が得られる投資信託といえるでしょう。

また、対象としている指数(ベンチマーク指数と言います)に連動した動きをするために、その指数を構成している銘柄を機械的に購入するため、不必要な売買や銘柄調査が不要となり、信託報酬が総じて低いのがインデックスファンドのメリットです。

一方、アクティブファンドは、投資のプロが全力を尽くしてリターンを追求するタイプの投資信託です。

つまり、投資のプロが優秀であれば、インデックスファンドを超えるリターンが得られますし、逆に言うと投資のプロの運用が下手だった場合、インデックスファンドを下回る散々な結果になってしまうこともあります。

また、状況に応じて機動的に売買を行い、銘柄分析もしっかりと行うため、アクティブファンドは信託報酬が高くなりがちです。

「投資のプロ」というと響きは良いのですが、現実には「投資のプロだからといって決して上手くはいかない」ことを多くのデータが証明しています。

投資信託の手数料はなぜ高い?儲からない理由と間違いのないファンド選び」という記事に詳しく書きましたが、7~8割アクティブファンドは長期のリターンでインデックスファンドに負けているという事実があり、その理由は手数料(信託報酬)の高さにあります

中には、ひふみプラスのような驚異的なリターンを上げているアクティブファンドも存在しますが、そのような投資信託はごくわずかです。

当サイトでも常々言及していますが、着実な資産形成を考えるのであれば「低コストなインデックスファンド」を選択することが合理的であると思います。

投資対象によっても異なる信託報酬

リスクマップ

アクティブファンドはインデックスファンドよりも総じてコストが高いというのは、良い投資信託を見分ける上で身に付けておきたい知識のひとつです。

同様に、投資信託の投資対象によっても信託報酬は異なります。

一般的に、「株式 > 債券」となることが多いです。

つまり、株式を投資対象とした投資信託の方が、債券を投資対象とした投資対象よりも信託報酬が高くなります。

また、国別では「新興国 > 先進国 > 国内」となります。

投資対象を新興国にしている投資信託は最も手数料が高く、国内に絞って投資するファンドはコストが低いです。

例えば、「インドは経済成長率が高いからこの投信がおすすめです」のような営業トークを耳にすることがありますが、「新興国に投資するファンドということは、それだけコストも高くつく」ということを覚えておきましょう。

まとめると、「新興国の株式に投資するファンド」は最もコストが高く、「国内の債券に投資するファンド」は最もコストが低い傾向にあります。

投資対象によるコスト差は仕方がない部分もありますので、あまり気になくても構いません。

知識として「国内債券ファンドなのにこんなに信託報酬が高いのか」とか「新興国株式ファンドなのに信託報酬は低めだな」といったことが判断できることが大切です。

ETFは信託報酬が安い

ETFと投資信託の違い

ETFとは「上場投資信託」のことを示します。

投資信託は通常、証券会社や銀行の窓口(またはネット販売)で購入します。

しかし、ETFは投資信託が上場しているため、株式と同じように自由に売買できる仕組みとなっています。

購入時手数料や価格変動など、通常の投資信託との違いは上記の表にまとめた通りです。

注目すべき点は、ETFは信託報酬が低いことです。

ETFは金融機関の窓口で販売されるわけではないので、「信託報酬の1つである販売会社手数料が不要」となります。また、管理コストなどの面でも優れているため、通常の投資信託と比較してコストは驚くほど低いです。

特に、著名投資家のウォーレン・バフェットも推奨する、世界的にも評価の高い「バンガードETF」は圧倒的な低コストで個人投資家にも人気があります。

一方で、ETFは自動積立ができないというデメリットもあります。

つみたてNISAなどでコツコツと積み立てをしたい方は、ETFではなく通常の投資信託を選ぶのがおすすめです。

ETFのメリット・デメリットについては下記の記事で解説しています。

ファンド・オブ・ファンズは二重にコストがかかる

ファンド・オブ・ファンズ

投資信託の中には、「投資対象を投資信託にしている投資信託」があります。

このような形体の投資信託を「ファンド・オブ・ファンズ」といいます。

ファンド・オブ・ファンズは、「最終的な投資先となる投資信託に支払うコスト」と「自分が購入した資産運用会社に支払うコスト」が二重で発生する構造となっています。

ファンド・オブ・ファンズでは、上記の二重コストを合計した「トータルコスト」で計算するのが普通です。

よって、信託報酬も高くなりがちです。

代表的なファンド・オブ・ファンズには、直販投信として有名な「セゾン投信」などがあります。

また、EXE-iつみたてNISA対応ファンドのように、ファンド・オブ・ファンズでありながらトップクラスの信託報酬を実現している投資信託も存在します。

構造上、コストが大きくなりがちなファンド・オブ・ファンズですが、中にはコストの低い優れた投資信託も存在します。

実質コストの存在

投資信託の実質コスト

投資信託には「購入時手数料」「信託報酬」「信託財産留保額」の3つの手数料がかかると解説しました。

しかし、これとは別に「その他費用」という隠れたコストが存在することはあまり知られていません。

その他費用の中には主に「有価証券取引税」「売買手数料」「保管費用」などが含まれています。

投資信託を選ぶ上では「信託報酬」が最も重要であることは事実なのですが、昨今ではこの「実質コスト」に注目する投資家も出てきています。

信託報酬が低い2つのファンドを比較した結果、一方は実質コストがとても大きく、両者の差は歴然としていたという話も少なくありません。

信託報酬はどこで確認できるか?

信託報酬は、証券会社のホームページで確認するのが一番簡単です。

また、気になる投資信託の目論見書(PDF)を確認し、資料の最後の方のページ「ファンドの費用」という部分に信託報酬に関する詳細が記載されています。

目論見書では、「販売会社・資産運用会社・信託銀行」の取り分がそれぞれどれくらいなのかということについても記載されています。

一方で、実質コストについては、これらの方法では確認できません。

実質コストを確認するためには、年間の運用報告書の「費用明細」を見る必要があり、初心者にとっては少々ハードルが高いかもしれません。

また、年間の運用報告書が作成されるまでには時間がかかるため、新規設定されたばかりの投信は、やはり信託報酬の数値を手がかりに選ぶしかありません。

実質コストの詳しい解説は、「ニッセイ外国株式インデックスファンドの評判と利回り、実質コストを調査」という記事でおこなっています。

ニッセイ外国株式インデックスファンドは、個人投資家にも評判の、低コストな投資信託です。

つみたてNISAでわかる信託報酬の目安

つみたてNISA

2018年からスタートした「つみたてNISA」は、長期の資産形成を考える上でとても有利な制度です。

私自身、投資をはじめてもう10年以上が経ちますが、つみたてNISAの制度はとても有益なものだと感じており、多くの人にとって正しい資産形成のきっかけ作りになればと思っています。

というのも、これまでの日本の投信業界では「資産運用会社や販売会社が儲かる仕組みとなっており、顧客本位ではない商品がたくさん存在していた」という事実があります。

これによって、投資信託を購入した人はことごとく損をしてしまい、一方で資産運用会社や販売会社(銀行・証券会社など)が美味しい思いをしていたのです。

そして投資や資産運用に対して「投資は損をするものだ」という悪いイメージが付いてしまっているのは、多くの人もご存知の通りです。

これではいけないということで、金融庁が主導となって「つみたてNISAでは顧客本位の商品しか取り扱ってはいけない」という厳格なルールを定めました

つまり、つみたてNISAは金融庁が決めた「顧客本位」の基準を満たしている投資信託しか販売できない仕組みとなっています。(初心者にとっても悪い商品を掴みにくい安全な制度だということです)

そして、金融庁が定めた「つみたてNISA対応商品の基準」が下記となります。

共通する条件
  • 毎月分配型ではない
  • 信託契約期間が無期限(または20年以上)
  • デリバティブ取引による運用を行っていないこと(ヘッジ目的の場合を除く)
インデックスファンド
  • 購入時手数料が0円(ノーロード)
  • 信託報酬が0.5%+税以下(投資対象が海外資産の場合は0.75%+税以下)
アクティブファンド
  • 購入時手数料が0円(ノーロード)
  • 信託報酬が1.0%+税以下(投資対象が海外資産の場合は1.5%+税以下)
  • 純資産が50億円以上かつ設定以降5年以上の実績があること
ETF(上場投資信託)
  • 販売手数料が1.25%以下
  • 信託報酬が0.25%+税以下(海外ETFの場合は純資産1兆円以上かつ信託報酬0.25%+税以下)
  • 最低取引単位が1,000円以下

この、「つみたてNISA基準」を信託報酬の目安と考えると、

  • インデックスファンド(国内)は0.5%+税以下
  • インデックスファンド(海外)は0.75%+税以下
  • アクティブファンド(国内)は1.0%+税以下
  • アクティブファンド(海外)は1.5%+税以下
  • ETFは0.25%+税以下

となります。

信託報酬の目安については、「投資信託の手数料はなぜ高い?儲からない理由」という記事でかなり詳しく解説していますので興味のある方はあわせてご覧ください。

ちなみに、金融庁のレポートによると「日本の純資産上位5投信の平均信託報酬は16年3月時点で年1.5%と米国の5.5倍」だったそうで。。。

これから、日本の投信業界がより良いものとなり、信託報酬が下がって顧客本位のファンドが増えることを願っています。

「つみたてNISAのおすすめ投資信託」については、下記の記事で紹介しています。

「つみたてNISA基準」を満たすファンドの中でも、個人投資家に特に人気の商品をまとめていますので、参考になると思います。

低コストな投資信託を選ぼう

分析

多くの著名投資家、個人投資家、投信ブロガー、そして私自身の統一見解となりますが、投資信託は、

  • 信託報酬の低いインデックスファンド
  • 信託報酬が低く高パフォーマンスな一握りのアクティブファンド

を選ぶのがおすすめです。

アクティブファンドはインデックスファンドと比較して信託報酬が高い傾向にあります。

しかし、ひふみ投信のような高いリターンをあげているアクティブファンドに限って、実は他のアクティブファンドよりも低コストだったりします。

やはり、投資信託を選ぶ上で「コスト」が重要なキーワードになることは間違いなさそうです。

次の記事は、「信託報酬が安いと評判の投資信託5選!低コストなインデックスファンドは?」です。

信託報酬が極めて低いおすすめの投資信託を具体的に解説した記事となっていますので、投信選びの参考にしてください。

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ひふみ投信とセゾン投信の比較、どちらを選ぶべきか投資家の視点で熟考してみた

ひふみ投信とセゾン投信

個人投資家の間で評価が高まっているのが「直販投信(独立系の資産運用会社)」と呼ばれる投資信託です。

その中でも特に人気が高いのが、資産運用会社「レオス・キャピタルワークス」が展開する「ひふみ投信」と、資産運用会社「セゾン投信」が手がける「セゾン資産形成の達人ファンド」です。

レオス・キャピタルワークスは、「ひふみ投信(直販)」「ひふみプラス(販売会社経由)」「ひふみ年金(確定拠出年金専用)」と3つのファンドがあります。

しかし、いずれもベースとなっているのは「ひふみ投信」1本なので、どれを購入しても基本的には同じです。

一方で、セゾン投信は「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」と「セゾン資産形成の達人ファンド」という2本立てで投資信託を展開しています。

このうち、ひふみ投信と競合するのが「セゾン資産形成の達人ファンド」であり、リターン追求型の投資信託となっています。

今回は人気の直販投信「ひふみ投信」と「セゾン資産形成の達人ファンド」について、どちらを選ぶべきなのか、個人投資家の視点で考えてみたいと思います。

利回りの高いひふみ投信

ひふみ投信の実績

いま、最も勢いのある投資信託は、間違いなく「ひふみ投信」です。

なぜなら、数年間の年率リターン(利回り)において驚異的な数値を記録しており、「ひふみ投信に数年預けていたら資産が3倍になった」という個人投資家もいるほどです。(テレビ番組「カンブリア宮殿」にて、ひふみに投資しているおばちゃんの発言)

記事執筆時点(2018年2月1日)での年率リターンは以下の通りです。

年率リターン ひふみ投信 セゾン投信
1年 44.82% 22.51%
3年 22.60% 9.55%
5年 28.68% 20.23%

ひふみ投信はまだ、設定から10年が経過していないため、10年間の年率リターンでは比較ができませんでした。(ちなみに、セゾン投信の10年間のリターンは年率8.56%でした)(訂正内容は後ほど説明)

ひふみ投信に5年前に投資していた場合、毎年30%弱の利回りで運用できていたことになり、資産が3倍になったという投資家が出てくるのも決して嘘ではないことがわかります。

年率8.56%の利回りは高いのか

セゾン投信の10年間の利回りは8.56%となっています。

これは、定期預金や不動産投資など、他の投資商品と比較すると優れているように感じると思います。

しかし、アメリカのS&P500(日本でいう日経平均やTOPIXのようなもの)に投資を行うETC「バンガード・S&P 500 ETF」の10年リターンと比較すると、リターンの良し悪しをより明確に判断できます。

「バンガード・S&P 500 ETF」の10年間の年率リターンは「外貨ベースで8.46%」「円貨ベースで8.55%」です。

セゾン資産形成の達人ファンドは、この数値を若干上回っており、かつ世界分散投資というリスク分散を実現していることを考えると、アクティブファンドとして優秀であると考えることができます。

インデックス運用(指数連動型)以下のリターンしか出せていないアクティブ運用が多い中で、それを上回る結果を残せている「セゾン資産形成の達人ファンド」は、とても頑張っていると思います。

追記:
ヤフーファイナンスのチャートで10年間のS&Pとセゾン資産形成の達人ファンドのリターンを比較してみたところ、セゾン投信がS&P500を大きく上回っていることがわかりました。

データの信憑性を確かめるために、記事執筆時点(2018年2月1日)で10年間の年率リターンを自分で計算したところ、年率10.07%という結果になりました。

セゾン資産形成の達人ファンドが10年間の年率リターン(利回り)において、S&P500を上回っていることについては、前述の説明に間違いがありませんが、その差は年1.5%程度と比較的大きな結果となっています。

コストと純資産の比較

信託報酬

投資信託を選ぶ上で、最も重要なのは「コスト(特に信託報酬)」の存在です。

信託報酬は投資額に対して「年率」で発生する手数料で、資産運用会社や販売会社の利益になるものです。

手数料が年率1%と言われると小さいように思うかもしれませんが、運用資産が1億円だった場合は毎年100万円のコストに相当します。

運用資産が10億円なら、毎年1,000万円の負担となります。このように「絶対額」で考えると、信託報酬が1%違うことは将来の運用結果に大きな影響を及ぼすであろうことがわかります。

ひふみ投信とセゾン投信(セゾン資産形成の達人ファンド)のコストを比較します。

項目 ひふみ投信 セゾン投信
購入時手数料 0円 0円
信託報酬 年率0.98% 年率1.25%程度
信託財産留保額 なし 0.1%

※信託報酬は税抜き
※ひふみ投信は保有期間に応じて段階的に信託報酬の引き下げあり
※証券会社や銀行で販売されている「ひふみプラス」は購入時手数料が有料の場合あり(金融機関によって異なる)

購入時手数料はどちらも0円の「ノーロードファンド」です。

信託報酬は、ひふみ投信が1%以下、セゾン資産形成の達人ファンドが1.25%程度となっています。

セゾン投信の信託報酬が「程度」となっているのは、セゾン投信は株式や債券に直接投資をする投資信託ではなく、「複数の投資信託に投資する投資信託(いわゆるファンド・オブ・ファンズ)」だからです。

わかりやすく説明すると、セゾン投信が投資対象としているのは「別の投資信託」となっており、セゾン投信へ支払う信託報酬と、投資先のファンドに支払う信託報酬が2重でかかることになります。

投資対象となる複数ファンドはそれぞれ信託報酬が異なるため、投資比率が変化するとトータルの信託報酬も微妙に変わってきます。

これが、セゾン投信の信託報酬(トータルコスト)が「1.25%程度」のように記載されている理由です。

ちなみに、先ほどの「年率リターン」の数値は、信託報酬控除後の結果となっています。コストの差が運用リターンに少なからず影響を与えているのです。

また、セゾン投信は実質的な解約手数料である「信託財産留保額」を取っています。これは、運用期間中は気にする必要がありませんが、将来ファンドを解約した時に一度だけ発生する手数料となります。

純資産で比較するとどうか

純資産は、その投資信託が顧客からどれだけのお金を集めたかということです。(評価益も考慮されています)

つまり、純資産が大きいほど、投資家からの支持率が高いと判断できます。(最も、証券マンの営業力が強すぎて、なぜこのファンドが?と思える商品が膨大な純資産を獲得していることもあります)

また、純資産が大きくなるほど値動きが安定するとも言われています。

純資産で比較してみると、記事執筆時点でひふみ投信が1,329億円、セゾン資産形成の達人ファンドが584億円となっており、ひふみ投信の方が多いです。

これは、セゾン投信が販売先をかなり絞っていることも影響しています。また、ひふみ投信は販売会社経由の「ひふみプラス」や確定拠出年金専用の「ひふみ年金」も含めると6,788億円という巨大な規模に成長しています。

両者とも分配金は出さない

分配金

ひふみ投信もセゾン投信も、基本的に分配金は出さない方針です。実際、両者ともに過去に一度も分配金を出していません。

投資信託の中には、「毎月分配型」などもありますが、分配金には税金がかかります。

一方で、分配金を出さない投資信託(つまり分配金が自動的に再投資に回される)は、将来、投資信託を解約するまで税金が発生することがなく、これは複利効果を最大に利用できるメリットがあります

もし、ひふみ投信やセゾン投信から分配金を受け取りたいと思ったら、自分自身で保有している投資信託を必要なだけ解約することで、現金化できます。

また、「投資信託の「ひふみプラス」を毎月分配型ファンドにする方法とそのデメリット」という記事で書いたように、SBI証券の「投資信託定期売却サービス」を活用することで、保有中の投信を毎月自動的に解約できます。

投資信託定期売却サービスを使うと、分配金を出さない投資信託でも、実質的な「毎月分配型」にすることが可能です。

つみたてNISAとイデコで運用する

つみたてNISAとiDeCo

これから資産運用を始める方は特に、「つみたてNISA」と「iDeCo(個人型確定拠出年金)」の利用をおすすめします。

つみたてNISAは最大20年間、投資利益が非課税となる制度で、毎年40万円(月換算で3.3万円)の投資枠が使えます。

60歳になるまで引き出すことができない「イデコ」は将来の年金づくりとして生まれた制度で、こちらも同じく投資利益が非課税となります。

イデコは職業によって年間の投資枠が異なりますが、一般のサラリーマンの場合、年間276,000円(月換算で2.3万円)の投資枠となります。

両者を合わせると、月換算で5万円程度の非課税投資枠を確保できるため、一般の方が資産運用に資金を回す金額としては十分です。

多くの人は、イデコとつみたてNISAを使うことで、投資利益の大半を非課税にできると思います。

制度の詳細については、「つみたてNISAとiDeCoはどっちを選べばよい?違いとメリット・デメリット」をご覧ください。

つみたてNISAとイデコの違いについてわかりやすく解説しています。

ひふみ投信もセゾン投信も「つみたてNISA」の対象商品です。

販売会社でつみたてNISAの口座開設を行い、「つみたてNISA口座」で投資信託を購入することで、運用期間中の投資利益が非課税となります。(最長20年)

一方で、イデコは金融機関のラインナップによって購入可否が決まるため、申し込みをした金融機関が「ひふみ投信」や「セゾン投信」を取り扱っていなければ購入できません。

現在、イデコでこれらの投資信託を扱っている金融機関は以下の通りです。

▶iDeCoでひふみ投信が買える金融機関

  • SBI証券
  • イオン銀行
  • 地方銀行(百五銀行・福岡銀行・北陸銀行)

※iDeCoでは、ひふみ投信は「ひふみ年金」という名前で販売されていますが、中身は同じです

ひふみ年金に関する詳しい記事はこちらです。

▶iDeCoでセゾン投信が買える金融機関

  • 楽天証券のみ

イデコを活用して「ひふみ投信(ひふみ年金)」に投資をしたい場合は、SBI証券またはイオン銀行を選ぶのがおすすめです。

SBI証券もイオン銀行も、イデコの投信ラインナップがとても優れており、また口座管理手数料が完全無料となっている人気の金融機関です。

SBI証券のイデコについては「SBI証券のiDeCoで選びたいおすすめ投資信託5選」を、イオン銀行のイデコについては「手数料0円!2018年版 イオン銀行のiDeCoでおすすめ投資信託を選ぶコツ」をご覧ください。それぞれおすすめの投資信託を詳しく解説しています。

また、セゾン投信をイデコで購入したい場合、今のところ「楽天証券」一択となっています。

主にインデックスファンドの紹介となりますが、楽天証券のiDeCoでおすすめの投資信託はこちらの記事で解説しています。

一般販売で買いやすいひふみプラス

ひふみ投信、ひふみプラス、ひふみ年金の違い

もちろん、つみたてNISAやイデコではなく一般販売でも投資信託の購入は可能です。

一般販売の場合、投資利益に対して約20%の税金が発生しますが、金額に制限がなく好きなだけ買えるのがメリットです。

セゾン投信は直販のみの取り扱いとなっているため、セゾン投信の公式サイトでのみ購入できます。

つみたてNISA口座で購入したい場合も、直販のみの取り扱いとなります。

イデコでセゾン投信を購入する場合は、(セゾン投信はイデコの金融機関ではないため)、楽天証券に申し込みをすることでセゾン投信を買えるようになります。

販売会社がかなり制限されているのが、セゾン投信の特徴です。

一方、ひふみ投信は多くの銀行や証券会社で販売されているため、買いやすいのがメリットです。

中身は基本的に同じですが、販売先によって名前が微妙に異なります。

まず、ひふみ投信の公式サイトで購入するのが「ひふみ投信」、証券会社や銀行などを通じて販売されるのが「ひふみプラス」という名前です。

そして、イデコの運用商品として、SBI証券やイオン銀行などの一部の金融機関で取り扱っているのが「ひふみ年金」となります。

ひふみシリーズの違いについては、「ひふみプラスの評判は?3年間の年率リターン圧倒的No.1の投資信託」で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

ひふみ投信とセゾン投信のリスク

リスクマネジメント

投資信託を選ぶ上で多くの投資家が気にするのは「リターンが大きいかどうか」だと思います。

そして、信託報酬などのコストが低いほど、より大きなリターンを生み出すことに繋がることも、これまで説明してきました。

しかし、良い投信を選ぶ上でのもう一つの視点として「防御力に相当するリスクの問題」があります。

攻撃力(リターン)だけでなく、安定した資産運用を行うための防御力を考慮して投資信託を選ぶことも重要です。

投資の世界では、リスクについては「シャープレシオ」という指数で評価することが多いです。

シャープレシオは「リスク1単位あたりのリターン」のことを指しており、より小さなリスクでより大きなリターンを生み出している場合、シャープレシオは高くなります

つまり、シャープレシオが高いほど、防御力を高めつつも大きなリターンが出せていることの証です。

また、投資の世界では「リスク」を「標準偏差」で測っており、値動きの変動が小さいほど標準偏差は小さくなります。

これもわかりやすく説明すると、きれいな右肩上がりになっていれば、標準偏差(リスク)は小さくなり、価格変動が激しくジェットコースターのような値動きをしながらも上がっていく場合、標準偏差(リスク)は大きくなります。

結果的に、同じ「利回り10%」の投資案件でも、価格変動が小さい方がシャープレシオが高くなり、良い投資信託であると評価できるのです。

「ひふみ投信」、「セゾン投信(セゾン資産形成の達人ファンド)」、そして「バンガード・S&P 500 ETF」のシャープレシオを比較してみました。

「バンガード・S&P 500 ETF」は、アメリカの代表的な指数です。アメリカの経済成長の恩恵をそのまま受けていた場合の投資リターンだと考えてください。

シャープレシオ ひふみ投信 セゾン投信 S&P
1年 7.62 4.62
3年 1.71 0.61 1.08
5年 1.97 1.32 1.57
10年 0.46 0.59

※ひふみ投信はまだ、設定から10年が経過していないため、10年間の比較はしていません
※シャープレシオが高いほど高評価

やはり、リターンが極めて大きいため、シャープレシオで比較しても、すべての期間でひふみ投信が最も良い結果になっています。

今後、ひふみ投信のリターンが悪化した場合、シャープレシオが急激に下がる可能性もありますが、少なくともここ数年は、ひふみ投信の方がリスク考慮後のリターンにおいてもリードしています。

一方、10年間のシャープレシオで、セゾン投信とS&P500を比較するとどうでしょうか。

先ほどのリターン比較では、セゾン投信がリードしていましたが、シャープレシオではS&Pに劣っています。

つまり、より小さな値動きで(より心理的に安心した状態で)それなりのリターンを得られるのは、S&P500(指数連動型のインデックスファンド)という結果になっています。

長期的にはインデックスファンドの方が、多くのアクティブファンドのリターンを上回ると言われており、当サイトでも投資信託選びではインデックスファンドをおすすめしていることが多いです。

シャープレシオで考えてみると、プロが全力を持って相場に挑んでも、インデックスファンドのリターンを上回ることがいかに難しいかを物語る結果になっています。

世界分散投資を行うセゾン投信

世界分散投資

続いて、投資対象で比較を行います。

シャープレシオ(値動きの大きさをリスクの大きさとして考える仕組み)における比較は前述の通りです。

しかし、投資の世界では「卵を一つのカゴに盛るな」という言葉があるように、分散投資によってリスクが低減できる効果があることも事実です。

投資信託は、ひふみ投信もセゾン投信も数多くの銘柄に分散投資をしています。よって、仮に投資先の1銘柄が破綻しても、基準価格に大きな影響を与える心配はありません。

しかし、国別の分散が行われているかどうか?という点では、セゾン投信の「セゾン資産形成の達人ファンド」に軍配が上がります。

セゾン資産形成の達人ファンドは、約8割が海外株式への投資となっています。(状況によって債券に投資する場合もあります)

日本への投資は約10%程度で、約40%がアメリカ、約30%が欧州、そして約15%が新興国といった比率です。

これだけ世界分散が行われていることは、セゾン投信の強みでもあります。先ほど比較対象にしたS&P500も、いわば米国株式に100%依存している結果なので、アメリカに何かが起こったときのリターンは散々なものになるでしょう。

一般的に、分散投資を行うほどリスクは低減されるものの平均に近づくため、突出したリターンを出しにくいと言われています。

セゾン投信については、これだけ国別分散をしていれば、地政学リスクに対する依存は小さいものの、ひふみ投信のように突出したリターンを出すのは構造的に難しいのかなと感じます。

一方で、ひふみ投信は主に国内株式を投資対象としたファンドで、国内依存が大きいです。

最近は海外株式への投資も行っており、マイクロソフトやアマゾンなどに投資をしていますが、やはり全体の比率で見ると国内投資比率が大半を占めている状況です。

日本郵政の存在

日本郵便とセゾン投信の提携

気にするほどのリスクではありませんが、信頼感として資産運用会社についても触れておきたいと思います。

セゾン資産形成の達人ファンドを運用する、資産運用会社の「セゾン投信」は、セゾンカードなどで知られる信販会社「クレディセゾン」のグループ会社です。

しかし、2014年に日本郵政との業務提携を実現し、現在は「クレディセゾンが60%出資、日本郵政が40%出資」の資産運用会社となっています。

日本郵政と言えば、ゆうちょ銀行やかんぽ生命を傘下におさめる大企業であり、その信用度は国内屈指です。

一方、ひふみ投信を運用する、資産運用会社の「レオス・キャピタルワークス」は、「ISホールディングス」のグループ企業です。

FXをやったことがある方なら知っていると思いますが、ISホールディングスは、「外為オンライン」「ライブスター証券」「ひまわり証券」などを傘下に収める金融グループです。

実績のある会社ではあるものの、未上場の会社であることから、信用度は大企業に及ばないでしょう。

ただ、レオス・キャピタルワークスの社長を務める「藤野英人」氏は、投資業界でも高い知名度を誇っている人物です。

また、良い投資とはどういうものか?についてテレビや雑誌等でも積極的に発信しており、投資の世界を良いものにしようと活動しており、こうした活動が個人投資家の支持にもつながっています。

藤野英人氏については以前、「ひふみ投信の藤野英人氏が書いた本を読んでわかったファンドマネージャーの投資手法」という記事を書いていますので、あわせてご覧ください。

どちらを選ぶべきか?管理人の意見

1億人の投資術 管理人の評価

ひふみ投信とセゾン投信を詳しく比較してきましたが、やはりトータルで見て現在は「ひふみ投信」がおすすめかなと思います。

セゾン投信も良い投資信託だと思いますが、ひふみ投信はそれをさらに上回る良さを投資家に提供できているということです。

ただ、現在ひふみシリーズ全体の純資産が7,000億円近くまで膨れ上がっており、これからも現在と同じようなリターンを継続するのは難しいのではないかと私は考えています。

資産規模が巨額になると、必然的に(成長率が小型銘柄に対して劣る)大型株に投資をせざるを得ないからです。

こうした現状を踏まえ、ひふみ投信の10年間の年率リターンがどのようになっていくのかはとても興味深いです。

少なくとも5年平均では年率30%近いリターンを継続しており、ひふみ投信は「インデックスファンドのリターンを長期的に上回る数少ないアクティブファンド」になる可能性が高いと思っています。

ひふみ投信 公式サイトはこちら

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Smart-iシリーズの評価とおすすめ商品、りそな最強のインデックス投信

Smart-i

インデックスファンド「Smart-iシリーズ」は、資産運用会社「りそなアセットマネジメント」が展開する投資信託です。

りそなグループはこれまで、確定拠出年金(DC)の専用ファンド「りそなDC信託のチカラ」を始めとした競争力の高い商品を展開してきました。

しかしここ最近「つみたてNISA」や「イデコ(個人型確定拠出年金)」の開始とともに、他社の低コストなインデックスファンドが増加。

りそなアセットマネジメントの投資信託の魅力も、相対的に失われつつあったことは事実です。

こうした状況を踏まえてりそなアセットマネジメントが生み出した新しいラインナップが「Smart-i」シリーズの投資信託となります。

Smart-i(スマートアイ)は、これまでになかった超低コストなインデックスファンドとして、りそなグループが本気を出して作った「良い投資信託」です。

Smart-iのおすすめ商品を徹底解説

良い投資信託3つの条件

りそなグループ最強のインデックス投信とも言える「Smart-i」シリーズはすべて、購入時手数料が0円のノーロードファンドです。

当サイト「1億人の投資術」では、これから資産運用をはじめる方のために「良い投資信託3つの条件」を提案しています。

それが、

インデックスファンド
経済成長に連動。長期的にみると数多くのアクティブファンドはインデックスファンドに年率リターンで劣っている
低コスト
信託報酬のこと。信託報酬は「年率」で発生。例えば年率1%のコストの場合、投資額が1億円だと年間100万円のコスト負担となる
購入時手数料0円
投資額に対して一定の料率で発生する購入時手数料は無視できない負担になる

となり、Smart-iシリーズはこれらの条件を満たしている投資信託です。

中でも特に重要なのが「信託報酬」の存在です。

年率で発生する信託報酬は、運用金額が大きくなるほどコスト負担となる絶対額が増える仕組みです。

例え0.1%でも信託報酬が低い投資信託を選ぶことが、将来の結果に大きな影響を及ぼします。また、この信託報酬こそが最近の投信を選ぶ上で個人投資家が最も意識すべき点でもあります。

それでは、りそなアセットマネジメントの「Smart-i」のラインナップについて解説していきます。

※信託報酬はすべて税抜となっています。

Smart-i TOPIXインデックス

TOPIX

  • 信託報酬:0.17%
  • 連動指数:TOPIX(東証株価指数)

Smart-i TOPIXインデックスは、TOPIX(東証株価指数)に連動するインデックスファンドです。

TOPIX(東証株価指数)は、東証一部に上場している全銘柄を時価総額加重平均(浮動株のみが計算対象)によって計算した指数です。

これはわかりやすく言うと、日本の経済成長に伴って上がる指数と考えることができます。

このように、インデックスファンドはその国の国民が一生懸命に働き、その結果として日本の経済が成長し、それが株価指数に反映され投資家が果実を得られる仕組みになっているのも面白いところです。

インデックスファンドの対義語に「アクティブファンド」があります。

アクティブファンドは、投資のプロが独自の調査・分析によって腕をふるい、インデックス指数以上の成果をあげることを目指す投資信託です。

一般的に、株式投資と言うと「値上がり・値下がり」などのギャンブル的な要素を思い浮かべる方が多いと思いますが、これはどちらかというとアクティブファンドに近い考え方です。

インデックスファンドはTOPIXのような指数(つまり経済成長)が裏付けとなっているため、長期的には経済成長とともに拡大していくという点で異なります。

Smart-i 日経225インデックスとの比較

類似の商品として、「Smart-i 日経225インデックス」があります。

こちらは、連動指数が「日経平均株価」となっており、信託報酬はSmart-i TOPIXインデックスと同じです。

基本的にどちらも「国内株式」に投資するファンドであり、日経平均株価とTOPIXは概ね連動するため、どちらでも好きな方を選択して問題ありません。

しかし、「日経平均株価」が日本経済新聞社が選定した代表的な225銘柄から作られる指数であるのに対して、TOPIXは東証一部に上場しているすべての企業が指数の計算対象となっています。

また、日経平均株価は「単純平均」によって算出されるため、値がさ株(株価の高い株)の影響を受けやすい特徴があります。

一方で、TOPIXは「浮動株・時価総額加重平均」によって算出されており、より日本経済の成長を反映した指数だと考えることができます。

上記の理由から、一般的には「TOPIX連動型のインデックスファンド」を選択することが多いです。

Smart-i 国内債券インデックス

国内債券ファンドの組入比率

  • 信託報酬:0.14%
  • 連動指数:NOMURA-BPI総合

株式は「リスクの高い資産」として知られています。逆に、「債券」はリスクの低い資産と言われており、リスクを抑えた投資をしたい方におすすめの商品です。

Smart-i 国内債券インデックスは、業界最低水準の低コストで数多くの国内債券に分散投資ができる投資信託です。

債券自体は元本保証ではありませんが、しっかりと分散投資が行われいること、そして上記の図が示す通り、国内債券インデックスファンドは、組入資産の9割以上が安全度の高い国債・地方債・政府保証債となっています。

中でも国が発行する債券である「国債」は8割以上の組入比率を誇っています。

国債は「無リスク資産(リスクのない資産)」と言われていることからも、Smart-i 国内債券インデックスの安全度がわかると思います。

一般的には、リスクを抑えて資産運用をしたい場合、株式インデックスファンドの比率を下げて、国内債券インデックスファンドの比率を上げることがおすすめされています。

しかしながら、国内債券はインフレに弱いという弱点もあります。

国内債券にバランスが偏りすぎてしまうと、インフレ率に対して投資利回りが下回り、相対的に現金が目減りしてしまうリスクがあります。(これは定期預金で運用していても同じです)

インフレ負けとは?

国内債券インデックスファンドは安全な投資先として知られています。

しかし、経済には「インフレ(物価高)」が存在します。

例えば、インフレ率が年2%の場合、世の中に出回っている物の価格が年2%の値上げになっていることを意味します。

わかりやすく言うと、50年前の100円と今の100円の価値が違うと言われたり、販売価格は10年前から変わっていなくても、袋に入っているポテチの枚数が少なくなっているのはインフレの影響です。

このように、私たちが知らない間にお金(現金)の価値は目減りしており、ただ現金を保有しているだけでは私たちの「購買力」が低下してしまいます。

このインフレリスクを打開するために、私たちは利息のつく定期預金や債券ファンドなどで運用を行うのですが、実際これらの安全資産はインフレ率を下回る運用結果しかもたらさないことも多いのです。

かといって、株式に資産の全額を入れるのはリスクが高い。そこで、バランスの取れた資産構成(アセットアロケーション)が必要となってきます。

インフレについての詳しい情報は、「個人ができるインフレ対策!物価上昇で価値の上がる資産まとめ」という記事をご確認ください。

Smart-i 先進国株式インデックス

先進国株式インデックスファンド

  • 信託報酬:0.20%
  • 連動指数:MSCIコクサイ(配当込み、円換算ベース)

Smart-i 先進国株式インデックスは、先進国23カ国の主要な株式に分散投資をする投資信託です。

MSCIコクサイ(配当込み、円換算ベース)という指数に連動するファンドなのですが、これはいわば「世界経済の成長に連動する指数」となります。

つまり、Smart-i 先進国株式インデックスを購入することで、自動的に世界23カ国に分散投資し、各国の時価総額の80%以上をカバーし、投資信託を通じて間接的に、マイクロソフトやFacebookといった世界的に有名な企業に投資できます。

そして何よりも、世界経済の成長の恩恵を果実として受け取れるという仕組みも、このような投資信託の良いところです。

ただし、「先進国株式」への投資は「国内株式」への投資よりもリスクが高いです。

ハイリスク・ハイリターンな投資となるため、積極的に運用したい方は比率高め、そうでない方は資産全体に対して小さめの比率で運用することをおすすめします。

Smart-i 先進国債券インデックス

先進国債券

  • 信託報酬:0.19%
  • 連動指数:シティ世界国債インデックス(除く日本、円換算ベース)

Smart-i 先進国債券インデックスは、先進国の債券に分散投資を行う投資信託です。

先ほど、国内債券は安全度の高い資産だと述べましたが、外国債券は全く別物で「決してリスクが低いとはいえない」資産だと考えてください。

リスク度合いとしては、「先進国株式 > 国内株式 > 先進国債券 >>> 国内債券」という感じです。

先進国債券は安定したインカム(利回り)が得られると言われていますが、リスクも大きいため、個人的にはそこまで組み入れる必要性を感じません。

為替ヘッジありと為替ヘッジなし

Smart-i 先進国債券インデックスには、「為替ヘッジあり」と「為替ヘッジなし」の2種類があります。

どちらも購入時手数料は0円、信託報酬も同じです。

「為替ヘッジあり」は、海外資産に投資をしても為替変動の影響を受けないため、リスクは低めです。

「為替ヘッジなし」は、為替変動が少なからず損益に影響を与えるため、リスクは高めとなります。

このように説明すると、リスクを取りたくない方は「為替ヘッジあり」を選択したいと思うかもしれません。

しかし、「為替ヘッジあり」には別途「ヘッジコスト」と呼ばれる隠れたコストが発生します。

実はこの「ヘッジコスト」が無視できないほど大きな費用となっているのが昨今の状況です。

よって、現実には「為替ヘッジなし」を選択するのが普通であり、純資産残高で比較しても多くの人がそうしています。

為替ヘッジに関する詳しい内容は「為替ヘッジあり・なしの違い!コストを考えて必要かどうか判断すべし」にて解説しています。

Smart-i 新興国株式インデックス

新興国

  • 信託報酬:0.34%
  • 連動指数:MSCIエマージング・マーケット(配当込み、円換算ベース)

Smart-i 新興国株式インデックスは、世界の新興国株式に分散投資する投資信託です。

新興国株式は、先進国よりもさらにリスクが高く、最もハイリスク・ハイリターンな資産です。

しかし、過去の長期的なデータによれば、新興国株式のリターンは先進国株式に劣っていると言われているため、個人的には積極的に投資をする必要はないと考えています。

新興国株式への投資はあくまでも「お好み」であり、その比率もどれくらいリスクを取って運用したいかという個人の意思によって異なってくると思います。

少し以外な感じもしますが、連動指数である「MSCIエマージング・マーケット」には中国やインドも含まれています

インドはともかくとして、中国はすでに先進国だと思っている人もいるかもしれませんし、これからは中国が伸びる時代だと考えている人も多いと思います。

前述の「Smart-i 先進国株式インデックス」には中国株・インド株は含まれておらず、これらの国は新興国扱いであることを覚えておきましょう。

国別のおおよその資産配分比率ですが、中国(27%)、韓国(14%)、台湾(10%)、インド(8%)、南アフリカ(6%)、その他(34%)となっています。

中国、韓国、台湾といった日本を除くアジア勢で50%程度の投資比率になっていることに注目です。

新興国株式インデックスファンドについては、資産運用会社「三菱UFJ国際投信」が展開している「eMAXIS Slim」シリーズがとても力を入れている状態です。

信託報酬を徹底的に抑えたSmart-iシリーズですが、新興国株式インデックスファンドでの競争においては、やや遅れをとっています。

記事執筆時点(2018年2月1日)で、eMAXIS Slim新興国株式インデックスが年率0.19%、そしてEXE-i つみたて新興国株式ファンドが年率0.18%となっています。

Smart-iとの信託報酬の差が「0.16%」となっており、これは運用資産が1,000万円の場合で毎年16,000円のコスト差が付くことを意味しています。

さすがにこれだけ差が付くと、より信託報酬の低いファンドを選択する方が合理的です。

ちなみに、eMAXIS Slim新興国株式インデックスも「MSCIエマージング・マーケット(配当込み、円換算ベース)」に連動するインデックスファンドなので、運用結果は基本的に同じです。

結果が同じなら、やはり少しでもコストの小さいものを選択するにこしたことはありません。

Smart-i Jリートインデックス

オフィスビル

  • 信託報酬:0.17%
  • 連動指数:東証REIT指数(配当込み)

Smart-i Jリートインデックスは、東証リート指数に連動します。

リートとは、不動産投資信託のことを言い、Smart-i Jリートインデックスを購入することで、間接的に六本木ヒルズや新宿マインズタワー、汐留ビルディングなどの大規模不動産に投資できます。

リートは、不動産テナントからの賃料収入が利益の源泉となっているため、安定した収益が期待できます。

しかし、一般的には「国内株式・先進国株式・国内債券・先進国債券」の4資産でリスク調整が十分行えるため、リートを資産に組み入れるかどうかは「お好み」となります。

Smart-iシリーズには、先進国の不動産を投資対象としている「Smart-i 先進国リートインデックス」もあります。

こちらは、信託報酬が年率0.20%となっており、「S&P先進国REIT指数(除く日本、配当込み、円換算ベース)」に連動する投資信託です。

同じく「お好み」で組み入れるかどうかの判断ができる資産です。特に魅力を感じなければ、資産に組み入れる必要はないと考えています。

株式投資ファンドでも、間接的に不動産業種の会社に投資を行っていますので、不動産バブルでも来ない限り、Jリート、先進国リートインデックスを保有していなかったからと言って、リターンで遅れをとることはないと思います。

Jリートについて詳しく知りたい方は「3分で頭がスッキリするJリート(不動産投資信託)の仕組み」をご覧ください。初心者でもJリートの基礎を簡単に理解できるようになります。

つみたてNISAの主力商品としてもおすすめ

管理人の評価

Smart-iシリーズは、りそなグループが本気を出して作った、非常に良い投資信託です。

競合のインデックスファンドと比較して、信託報酬で負けてしまう部分もありますが、その差が小さいものであれば「りそなの方が信頼できる」などの理由でSmart-iを選んでも良いと思います。

もちろん、つみたてNISA対象商品ですので、この制度を活用して将来の資産形成を考えている人にもおすすめできる投資信託です。

Smart-iシリーズは、りそなグループの銀行とネット証券でのみ取り扱っています。おそらく、(りそなグループ以外の)大手銀行や大手証券会社では扱っていない商品です。

私は、銀行や証券会社などの営業マンがおすすめしてくる投資信託は買うべきではないと考えています。(総じてコストの高い顧客にとって不利な商品が多いため)

しかし、Smart-iシリーズであれば、りそな銀行の営業マンからおすすめされても、納得して購入できる顧客本位の商品です。

ちなみに、Smart-iシリーズをはじめ、インデックスファンドのほとんどが「分配金再投資」の投資信託となっています。

将来的に分配金が出ないとは言い切れませんんが、基本的に分配金は自動的に再投資される「分配金なし」の投資信託だと考えてください。

この手のファンドは一見魅力がないようにも思われますが、分配金を自動再投資することで税金の支払いを繰り延べることができるため、複利効果を最大限に活用できます。

もし、分配金のような利益が欲しくなった場合は、そのつど保有している投資信託を解約することで現金化します。

投資信託の「ひふみプラス」を毎月分配型ファンドにする方法とそのデメリット」という記事に書きましたが、SBI証券の「投資信託定期売却サービス」を使うことで、保有している投信を毎月自動的に売却できます。

このサービスを活用すると、分配金を出さない投資信託でも、実質的な分配型投信のように扱えます。

どこで購入できるの?

スマホを見る女性

記事執筆時点(2018年2月1日)でSmart-iの販売会社となっているのは、

  • りそな銀行
  • 埼玉りそな銀行
  • 近畿大阪銀行

のりそなグループの金融機関と、

  • SBI証券
  • 楽天証券
  • 松井証券
  • マネックス証券

のネット証券のみです。

銀行窓口や営業マンから購入したい場合は、りそなグループの金融機関を利用し、それ以外の方はネット証券での購入がおすすめです。

次の記事は「信託報酬が安いと評判の投資信託5選!低コストなインデックスファンドは?」です。

Smart-iシリーズをはじめ、低コストで高い評価を得ている投資信託を比較していますので、合わせてご覧ください。

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デット・エクイティ・スワップ(DES)とは?そのとき株価はどう動くのか

デット・エクイティ・スワップ

株式投資をやっていると、ニュースなどで上場企業が「デット・エクイティ・スワップ(DES)」を行ったという話を見たことがあるかもしれません。

デット・エクイティ・スワップは日本語で「債券の株式化」と呼ばれるファイナンスの手法です。

結論から言うと、「デット・エクイティ・スワップを結ぶ企業への投資は避けたい」というのが個人的な感想です。

この記事では、デット・エクイティ・スワップのわかりやすい解説と、株価の動きに与える影響についてまとめます。

デット・エクイティ・スワップとは何か

デット・エクイティ・スワップの仕組み

前述しましたが、デット・エクイティ・スワップ(DES)は「債務の株式化」と呼ばれています。(単にデスと呼ぶこともあります)

デット」は銀行借入金や債券のような、返す必要のある資金(有利子負債)のことを示します。

エクイティ」は資本金のように、返す必要のない資金(自己資本)のことを示します。企業の株式を購入することで株主から集めたお金(出資金)はエクイティに分類されます。

スワップ」とは日本語で「交換」を意味します。

「通貨スワップ」とか「クレジット・デフォルト・スワップ」など、色々なデリバティブ取引が存在しますが、スワップと名の付くものはすべて「何かと何かを交換する」という意味です。

このように言葉を紐解いていくと、「デット(債務)とエクイティ(株式)をスワップ(交換)する」、つまり「債務の株式化」がデット・エクイティ・スワップの本質であるとわかります。

デットとエクイティについては、「デットエクイティレシオ(D/Eレシオ)とは?目安と自己資本比率との違い」という記事でも詳しく説明していますので、合わせてご覧ください。

仕組みとやり方

一般的に、デット・エクイティ・スワップを行う上場企業は、総じて業績が悪いです。(中小企業の場合、相続対策などでDESを使うこともあります)

つまり、デット・エクイティ・スワップを発動している時点で、その企業への投資はリスクが高いものだと認識しておいた方が良いということです。

なぜかと言うと、「債務の株式化」とは言い換えれば「借金を返せない企業が、返済を免除してもらうために行う行為」だからです。

実質破綻企業への再生案件や、借金過多になった企業が債務免除に近い形でDESを行うことが多いです。

デット・エクイティ・スワップの仕組み

企業が業績悪化などによって、銀行などの債権者から借りているお金を返せないという話になる。

しかたがないので、債権者が保有している債権を「現物出資」という形で資本金に振り替え、増資する。

※資本金の払込は現金に限られず、物などで出資を行う「現物出資」という方法が存在します。

銀行からすると貸したお金は返ってこないが、その企業が無事に再生できれば配当金などで資金回収が図れる。少なくとも、債務放棄をするよりはマシ。

デット・エクイティ・スワップのやり方としては上記で説明した「債権を現物出資する方法」が一般的で、この方法を「現物出資法」といいます。

また、別のやり方として債権者が増資という形でまず最初に現金を出資し、その資金を使って債務(借金)を債権者に返済する「現金振替法」という方法もあります。

現金振替法は、「新株払込方式」や「疑似DES」と呼ばれることもあります。

どちらの方法を使っても、結果は同じです。

メリット・デメリット

経営者と債権者と株主

デット・エクイティ・スワップのメリットとデメリットを理解するために、「経営者」「債権者」「株主」について、それぞれの立場を改めて考えてみます。

▶経営者
事業を展開し、利益を増やすのが仕事。また、利益を債権者や株主に還元するのが仕事。

債権者に対しては「支払利息」という形で、株主に対しては「配当金」という形で還元する。

経営者にとって、債権者や株主への還元コストは小さいほどありがたい

▶債権者
返済の優先順位は「高い」が、その分、支払利息は少なくても良いと思っている。(期日通りに決められた利息が回収できれば良い)

▶株主
返済の順位は「低い」が、その分、事業が儲かったら儲かった分だけ、それに見合う配当金が欲しい。

経営者の立場

経営者から見たDES

経営者にとって、デット・エクイティ・スワップを利用するメリットは、債務の圧縮や利息負担の軽減にほかなりません。

これまで返済義務のあった借金がチャラになり、その借金から生じる「支払利息」がなくなるわけですから、キャッシュフローが改善し、利益の出しやすい体質になります。

また、借金(債務)が株式(自己資本)になるため、自己資本比率は高まります。財務体質が強化されることで銀行からの評価も高くなり、企業としての信用度が増すことで、新しい借金も行いやすくなります。

これが、デット・エクイティ・スワップが企業の再生案件などで活用される理由です。DESによって債務超過を解消できることも多いです。

一方で、経営者にとってデット・エクイティ・スワップはデメリットもあります。あるニュース記事では、DESのことを「短期的には蜜の味、長期的には毒の味」と表現しています。

DESによって増資が行われるため、債権者の数が減り、逆に株主の数が増える状況が起こります。

上記でまとめた「それぞれの立場」を見るとわかるのですが、「事業が儲かったら儲かった分だけ、それに見合う配当金が欲しい」と思っている株主は、経営者にとってコストが重い存在です。

再生が上手く完了し、将来的に利益が出たとしてもその利益は永久的に株主配当として支払い続けなければなりません。

また、株主は「会社の権利」を持っていますので、再生がうまくいかなければ経営者という立場を追われる結果になる可能性もあります。

デット・エクイティ・スワップを実施することで、債権者が突如として筆頭株主に躍り出るケースもあります

債権者が銀行などであればまだ良いのですが、素行の悪い方々に対してDESを実施してしまうと、大切な会社を乗っ取られてしまう可能性があるということです。

DESは経営者にとって麻薬のようなものであり、短期的にはカンフル剤になるものの、長期的には高いコストになってしまうのです。

また、DESを行う時に、債権の額面と時価(評価額)の差額が「債務消滅益」として計上され、これは課税対象にもなるというデメリットも存在します。(一部例外あり)

債権者の立場

債権者から見たDES

債権者にとってのDESのメリットは、少なくとも債権放棄にならずに済むということです。

本来は、期日どおりに借金と利息を返して欲しい立場にありますが、貸付先企業の業績が悪いために返済ができない。

かといって債権放棄をするのはもったいないので、せめて債権を株式に交換して株主の立場になる方が良いという考え方です。

株主になることで、経営者の能力が低ければ解任要求をするなど、株主としての立場を行使できますし、また企業が再生すれば受取利息よりも大きな配当金が期待できます。

一方で、デメリットとしては債権を出資に振り替えても、企業の業績が改善せずに倒産してしまった場合は、結果は同じとなります。

ただ、総合的に考えるとデット・エクイティ・スワップは債権者に有利な契約だと言えるでしょう。

株主の立場

株主から見たDES

では、私たちのような既存の株主にとってデット・エクイティ・スワップは良いものなのか悪いものなのか。

まず、メリットとしては、そもそも投資先企業の業績が悪く、「いつ倒産してもおかしくない状態」なのですから、DESを行うことで一時的に倒産を免れる(倒産リスクが減る)という大きなメリットがあります。

逆に、デット・エクイティ・スワップによって新株が発行されるため、「株式の希薄化」が起こるのが株主にとってのデメリットです。

新株発行・増資によって、これまで10人で分け合っていた配当金を、新しい株主を入れることで20人で分けなくてはならないといった状況が生じます。

株式の希薄化が起こることは、既存株主にとってリターンが得にくくなるということですから、これは大きなデメリットです。

株主の立場からすると、デット・エクイティ・スワップはデメリットしかないのですが、例え一時的であっても倒産リスクが解消されるというのは大きいです。

投資先がDESした時に気をつけるポイント

もし、株式を保有している企業がデット・エクイティ・スワップを発表したら、以下の2点に注意します。

1つめは、新株が発行されることで「どれくらいの株式の希薄化が起きるか」ということです。

発行済み株式数が増えることで、10%の株式の希薄化が起こった場合、理論上はその銘柄の価値が10%下がることを意味します。

あまりに希薄化が大きいようであれば、(倒産リスクが減るなどして)短期的に株価が上がったタイミングで手放してしまうのも良いと思います。

2つめは、DESによって「債権者から新しい株主となる人がどういう人物か」です。

前述のとおり、デット・エクイティ・スワップは場合によっては、これまで債権者だった人が突如として筆頭株主となり、会社に対して絶大な影響力を持つことがあります。

「債権者から新しい株主となる人」が素行の悪い「いわくつきの人」やよくわからない人物である場合、その会社が「ハコ企業」になってしまう可能性もあります。

ハコ企業については「ハコ企業には手を出すな!不公正ファイナンスを知ると投資力が格段に上がる理由」という記事で詳しく解説しています。

ボロ株投資が好きな方はぜひ一度読んでみてください。

DESによって株価はどう動くのか

デット・エクイティ・スワップ(DES)には、メリットとデメリットが混在します。

株主にとってDESは歓迎すべきことなのか、そうではないのか。過去にデット・エクイティ・スワップを発表した結果、株価がどのように動いたかを調査しました。

シャープ

シャープのDES

当時、債務超過に陥り経営再建を進めていたシャープ(6753)は、2015年5月にデット・エクイティ・スワップを発表しています。

DESによって、みずほ銀行と三菱東京UFJ銀行から借りていた6,000億円規模の借入金のうち、2,000億円を優先株に振り替えました。

第三者割当による種類株式の発行、定款の一部変更、資本金及び資本準備金の額の減少並びに剰余金の処分に関するお知らせ(PDF)

しかし、本件については日本経済新聞が2015年4月17日時点でフライング報道を行っており、この日から株価への影響があったと見られます。

日本経済新聞では、シャープのデット・エクイティ・スワップに対して「シャープ支援、大筋合意 主力2行が2000億円出資」と報道しており、ポジティブな形で債務超過の解消を報道しました。

この時のシャープの株価を確認してみると、寄り付きは前日を上回る株価でスタートしたものの、大きな陰線を付けており、前日対比で大幅な下落で終値を迎えています。

その後も株価の動きは思わしくなく、結局この日をピークとして中期的には株価は下がってしましました。

株式の希薄化によるデメリットを嫌気されたということなのかもしれません。

ランド

ランドのDES

マンションなどの開発事業を手がける不動産事業者のランド(8918)は、2015年1月26日にデット・エクイティ・スワップを発表しています。

第三者割当による新株式発行(現物出資(デット・エクイティ・スワップ)及び金銭出資)に関するお知らせ(PDF)

ランドは、ボロ株(低位株)として以前から低い株価が続いている銘柄です。当時の株価も25円前後という状態でした。

ランドがDESを発表してからも、先ほどのシャープと同様に、短期的に下落の方向へと株価は動いています。

しかし、シャープと違うのは、ランドの株価はその後持ち直し、中期的には株価はほぼ変わらずという結果となっています。

デット・エクイティ・スワップは短期的な材料になるものの、中期的にはそれほど大きなインパクトは与えないのかもしれません。

JVCケンウッド

JVCケンウッドのDES

JVCケンウッド(6632)は、傘下企業である日本ビクターが発行した200億円の私募社債のうち、120億円のの償還を繰り延べ、債権者に新株予約権を割り当てるデット・エクイティ・スワップを実施しました。

当社子会社第7回無担保社債の条件変更(償還期限の延長等)に関する社債権者集会の開催および条件変更に関連する新株予約権発行登録のお知らせ(PDF)

この件が報道された2011年7月15日は、長い下ヒゲを付けていますが、終値は前日比でプラスとなっています。

その後短期的には、JVCケンウッドの株価は上昇傾向にありましたが、その後中期的には株価は下落しています。

管理人はこう思う

3社のDESと株価の動きを見てみましたが、結論から言うとデット・エクイティ・スワップ自体が株価に及ぼす影響はそこまで大きくないと思われます。

しかし、「デット・エクイティ・スワップを発表する = 何らかの財務的な問題が生じており、苦渋の選択としてDESを選択せざるをえなかった」と考えることができます。

よって、結局は「その後の業績の悪化などにより株価は売り込まれることが多い」と判断するのが妥当ではないでしょうか。

DESによって少なからず株式価値は希薄化しますので、株主にとっては「逃げる」という選択が合理的な判断であるように思います。

DESとDDSの違い

ハイブリッド証券の説明

デット・エクイティ・スワップ(DES)に近い手法で、DDS(デット・デット・スワップ)という再生手法も存在します。

デット・エクイティ・スワップが「債務の株式化」であるのに対し、デット・デット・スワップは「債務の(劣後)債務化」となります。

通常の債権を「劣後債」に振り返る手法です。

「劣後債」は債権であることに変わりはないのですが、返済順位が通常の債権よりも後回しになり、貸付金利が上がります。

また、劣後債(ハイブリッド債券の一種)は特定の条件を満たせば、発行額の50%を「資本」と考えても良いと格付会社が判断しています。

債権者が金融機関の場合、中小企業には主にDDSの方が適用されます。DESは金融機関が株式を保有する形になるので、主に大企業に適用されます。中小企業で行われるDESは、経営者本人が自身の会社に対する債権を保有している場合に、財務体質の改善を図ることを目的に実施することが多いです。

出典:J-Net21(中小機構)

DDSはあまり有名ではありませんが、主に中小企業の再生手法として採用されることが多いようですね。

劣後債(ハイブリッド証券)を活用した資金調達については、「ソフトバンクも発行したハイブリッド債(ハイブリッド証券)のリスクとメリット・デメリット」という記事で詳しく解説しています。

最近、ソフトバンクなどの大手企業がこぞって実施している背景があるため、理解しておいて損はありません。

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PCFR(株価キャッシュフロー倍率)の目安と計算方法、割安株の見つけ方

PCFR(株価キャッシュフロー倍率)

株価の割高・割安を測るには数多くの手法が存在します。PCFR(ぴーしーえふあーる)もその中の1つです。

PCFRは別名「株価キャッシュフロー倍率」と呼ばれ、1株あたりのキャッシュフローに対して現在の株価がどれくらいの水準にあるかで計算します。(PCFR自体は、Price Cash Flow Ratioの略です)

一般的に目安とされている平均値よりもPCFRが高ければ「割高」、低ければ「割安」と判断されます。

株価の割安・割高を知る方法として最も有名なのは「PER(株価収益率)」と「PBR(株価純資産倍率)」です。今回は、PCFRはこれらの指標と何が違うのかについても合わせて解説したいと思います。

PCFRの計算方法

PCFRの計算方法

PCFRの計算方法は「PCFR = 株価 ÷ 1株あたりの営業キャッシュフロー」です。

この数式の内容を言葉で表現すると、「何年分の営業キャッシュフローで投資元本(株価相当額)が回収できるか?」ということになります。

1株あたりの営業キャッシュフロー」の計算方法については、いくつかの考え方があります。

▶一般的な方法
営業キャッシュフロー ÷ 発行済み株式数

▶簡便法
(当期純利益 + 減価償却費) ÷ 発行済み株式数

※あまり知名度は高くありませんが「営業キャッシュフロー ÷ 発行済み株式数 = つまり1株あたり営業キャッシュフロー」のことを「CFPS」(Cash Flow Per Share)と呼びます。

営業キャッシュフローの値は、会社四季報や企業の決算短信または有価証券報告書の「キャッシュフロー計算書」に記載されています。

発行済み株式数は、会社四季報やYahoo!ファイナンスで入手できるデータです。

また、あくまでも簡便法となりますが、(当期純利益 + 減価償却費) ÷ 発行済み株式数という方法も使えます。(野村證券やSMBC日興証券、大和投資信託の用語集ではこちらの方法で解説していました)

どちらの方法を使っても大きく外れることはないと思うので、やりやすい方法を使ってください。

いちばん簡単なPCFRの計算式

PCFRの計算式は「株価 ÷ 1株あたりの営業キャッシュフロー」ですが、もっと簡単な方法があるので紹介します。(個人的にはこの方法がいちばんおすすめです

それは、「PCFR = 時価総額 ÷ 営業キャッシュフロー」として計算する方法です。

営業キャッシュフローを1株あたりに直すのは面倒な作業です。

ですので、営業キャッシュフローはそのままにして、株価の代わりに時価総額(株価 × 発行済み株式数)を使って計算しても、計算結果は同じになります。

営業キャッシュフローは、「会社四季報(証券口座を解説するとネットでも見れる)」や企業の公式サイトから入手できる「決算短信・有価証券報告書」などに記載されていますので、その数値をそのまま使います。

時価総額は、証券会社やYahoo!ファイナンスなどで配信されていますので、その数値を使います。

この方法であれば、自分自身で「1株あたり」の計算をしなくて良いのでおすすめです。

証券口座を開設していれば、「会社四季報で営業キャッシュフロー」を、銘柄情報などで「現在の時価総額」をすぐに確認できますので、手元に計算機があれば、PCFRを瞬時に計算できます。

PCFRの目安

分析

一般的にPER(株価収益率)の目安となる数値は15倍と言われています。

ただし、相場によって平均値は異なり、日経平均株価が好調な状態だと、東証一部全銘柄の平均PERは20倍近くまで上昇することもあります。

PERが「株価 ÷ 1株あたり純利益」であるのに対し、PCFRは減価償却費を考慮しない「株価 ÷ 1株あたり営業キャッシュフロー」ですので、PCFRの平均値はPERの平均値よりも低くなると予想できます

つまり、仮にPERの目安を15倍とし、それ以上を割高、それ以下を割安と定義するのであれば、PCFRの目安となる基準は5倍~15倍の間に収まるように思います。(あくまでもざっくりとした予想です)

もちろん、PERにもPCFRにも明確な基準値はありませんので、あくまでも同業他社との比較で割高・割安を判断すべきであると考えます。

PCFRの目安について色々と調べてみたのですが、とある個人投資家の方が独自に調査を行ってくださっていました。

この方の調査によると、過去20年(1993年-2013年)の東証一部全銘柄の平均PCFRの推移から、目安となるPCFRは9倍であり、過去20年の平均PCFRは6倍~12倍の間に収まっていました。

とても参考になるデータを共有していただき、ありがたい限りです。

PER・PBRとの違い

比較

株価の割高・割安度を測る指標としては、

  • PCFR(株価キャッシュフロー倍率)
  • PER(株価収益率)
  • PBR(株価純資産倍率)

などがあります。

このうち、PBRは「株価 ÷ 1株あたり純資産」で計算できる指標です。

PBRは「解散価値」と呼ばれており、PBRが1倍を下回っている状態なら、会社を解散してその財産を株主に返還しても、理論上はお釣りがくると言われています。

投資家によっては、PBR1倍割れの銘柄を「1円を1円以下で買える」などと表現する方もいます。

PBRについての詳しい解説は「PBR(株価純資産倍率)のことがスッキリわかるたった1つの考え方」でおこなっています。興味のある方はチェックしてみてください。

一方で、PERとPCFRはどちらも利益・キャッシュフローに基いて計算しているため、類似性の高い指標となります。

先ほど、PCFRの簡便法として「キャッシュフロー = 純利益 + 減価償却費」を紹介しました。

PER = 株価 ÷ 1株あたり純利益

PCFR = 株価 ÷ 1株あたりキャッシュフロー

※キャッシュフローとは、簡便法では「純利益 + 減価償却費」で計算できる数値

上記の計算式からわかるとおり、PERとPCFRの違いを理解するためのキーワードは「減価償却費」の存在です。

「減価償却費」という費用を含めて計算したものが「PER」であり、減価償却費という費用を無視して考えたのが「PCFR」です。

減価償却費とは?

減価償却とは?

では、減価償却費とは一体何なのか。

一般的に、企業は事業拡大や競争力を保つために「設備投資」を行います。例えば、自動車を作るために「新しい製造ライン」を作ったり「自動車製造工場」を建設したりするわけです。

この「設備投資」の金額はとても大きなものになるため、設備投資を通常の費用と同じように扱うと、利益の推移に連続性がなくなってしまうという問題が生じます。

わかりやすく言うと、減価償却がない世界では利益の推移がこういう感じになってしまいます。

2018年 2019年 2020年
(工場建設)
2021年 2022年
100 125 -3,000 130 150

減価償却がない場合

毎年100万円ぐらいの利益しか出していない会社が、いきなり3,000万円の赤字になってしまったら、投資家や銀行はどのように評価してよいかわかりません。

そこで、設備投資に関しては「設備の耐用年数」に応じて経費を分割して計上するというルールが設けられています。これが減価償却の考え方です。

つまり、工場の建設費用が3,000万円で、耐用年数が30年だった場合、毎年100万円ずつを減価償却費として30年にわたって経費計上します。

これが減価償却費を導入した場合の利益の推移です。

年数 2018年 2019年 2020年
(工場建設)
2021年 2022年
利益 100 125 100 130 150
減価償却費 0 0 -100 -100 -100
純利益 100 125 0 30 50

減価償却がある場合

減価償却費を導入することで、巨額の設備投資を行っても、純利益の連続性が損なわれずに済みます

しかし、会計上の経費を30年間に分割したからといって、工場建設を依頼した建設会社への支払いを30年の分割払いにしてもらうわけにはいきません。

実際は、工場建設を建設した年に全額、建設会社への支払いをおこなっています。

つまり、減価償却費を導入すると上記の表では2020年以降、30年間にわたって100万円の経費が計上され続けますが、実際には2020年に工場建設の費用は全額支払い終えているため、お金の流出はありません。

このように、減価償却費を含めた利益が「純利益」となっており、減価償却費を無視した現金収支が「キャッシュフロー」となります。

設備投資をたくさんするような会社は、その分「減価償却費」の負担が重くなり、純利益はほとんど増えません。(製造業や不動産業がこれにあたります)

しかし、PCFRであれば、実際に手元に残る現金利益(キャッシュフロー)で株価の割高・割安を評価できるメリットがあります。

減価償却についてもっと徹底的に知りたいという方は「EBITDAとは?計算方法や株式投資での活用法、知られざるデメリット」という記事をご覧ください。

PERを投資手法に上手く取り入れる方法は「PER(株価収益率)のやさしい説明、3分でわかる投資の基礎」にて解説しています。

PCFRを使ってスクリーニングする方法

分析

PCFRの指標を使って、スクリーニングできる証券会社が2つあるので紹介します。(スクリーニングとは、条件に見合う銘柄を検索する機能です)

楽天証券

楽天証券のスーパースクリーナー

楽天証券は、強力なスクリーニング機能「スーパースクリーナー」を提供しています。

この機能は、PC版・iSpeed版(モバイルアプリ)の2つがあり、どちらもPCFRを検索条件に入れて「PCFR20倍以下」などの銘柄を発掘できます。

その他、過去の売上高成長率やPER、時価総額など数多くの指標で絞込ができます。

楽天証券のスーパースクリーナーであれば「PER15倍以下、PCFR20倍以下、時価総額100億以上」といった条件の組み合わせが可能です。また、お気に入りの検索条件を保存しておき、次回以降の銘柄探索に活かすこともできます。

私もよく使っているサービスで、おそらくスクリーニング機能の中では楽天証券のものが最も強力なのではないかと思っています。

※スーパースクリーナーの利用には、楽天証券への口座開設が必要です。

楽天証券 公式サイト

マネックス証券

マネックス証券のスクリーニング

楽天証券の方がより高機能なスクリーニングを提供していますが、マネックス証券のスクリーニングはより見やすくシンプルでわかりやすいので、初心者の方にもおすすめです。

マネックス証券では「PCFR」ではなく「株価キャッシュフロー倍率」と表現されています。

最大で5つまで条件を追加でき、それぞれの条件に数値を入力して銘柄の絞込を行います。

上記の例では「PCFRが倍以下」、「アナリストの評価が1以上」、「RSIが売られすぎの状態」の3つの条件を当てはめてみました。

その結果、上記条件に該当する銘柄を2銘柄まで絞り込むことができました。

こちらも、スクリーニング機能は無料で使うことができますが、マネックス証券への口座開設が必要です。

マネックス証券のスクリーニングニングは、楽天証券と比較して見やすい点や動作が軽い点が評価できます。

マネックス証券 公式サイト

PCFRとPERはどちらが重要か

1億人の投資術 管理人の評価

PCFRは一般的に「PERの欠点を補う指標」と言われています。この見解は正しいと思います。

計算式に「1株あたり純利益」を使うPERよりも、「1株あたり営業キャッシュフロー」を使うPCFRの方が、より現実的な現金利益を元に計算している数値だからです。

PCFRであれば、多額の設備投資によって減価償却費の負担が重い企業であっても不利になることなく割安・割高の度合いを比較できます。

また、PCFRが割安の銘柄に絞って投資をした結果、全銘柄に投資をするよりも高いリターンを得ることができたというデータもあります。

▶1952年-1996年の米国株のデータ
1951年12月31日に100万ドルを投資

・全銘柄
→267万ドルに

・大型株に絞って投資
→159万ドルに

・全銘柄のうち(低PCFR上位50銘柄)
→448万ドルに

・大型株(低PCFR上位50銘柄)
→577万ドルに

しかし、PCFRについて2点、私の意見を述べたいと思います。

1つめは、著名投資家のウォーレン・バフェットが言うように、減価償却費を無視した利益を本当にあてにして良いかはわからないということです。

PCFRの計算で使う「営業キャッシュフロー」は、設備投資によって流出した現金を無視して考えています。

しかし、現実的には多額の設備投資が必要な企業は「永続的に設備投資をし続けなければならない」状態にあることが多く、株主利益がほとんど残らないことも少なくありません。

わかりやすく言うと、「営業キャッシュフローが増加していても、それに相当するだけの新規の設備投資(投資キャッシュフロー)が継続してかかっている場合、株主の手元に資金は残らない」ということです。

下記の引用を見ると、その意味が理解できると思います。

〈コカ・コーラ〉は、過去10年間、1株あたり利益20.21ドルのうち、4.01ドルしか資本的支出に振り向けていない。率にして20パーセントである。対照的に〈GM〉は、過去10年間の1株あたり利益が31.64ドルなのにたいし、資本的支出はなんと140.42ドルにのぼった。

〈グッドイヤー〉も、過去10年間の1株あたり利益が3.67ドルなのにたいし、資本的支出は34.88ドルに達した。
〈GM〉の資本的支出は純利益の444パーセント、〈グッドイヤー〉に至っては、じつに950パーセント。
これだけの超過資金を両社はどこから調達してきたのだろうか?
答えは、借金と、大量の社債発行だ。

出典:史上最強の投資家 バフェットの財務諸表を読む力

資本的支出(つまり設備投資)が多い企業というのは、総じて「手元の現金が常に足りていない状態」になりがちです。

足りないお金は、銀行からの借入や社債発行などによって調達してきますが、これらの資金には当然「利息」がかかります。

わかりやすく言うと、多額の設備投資が必要な会社の場合、

継続的な設備投資が必要で手元に現金が残らない(営業キャッシュフローが増加しても、その分を新規の投資キャッシュフローでまかなうため、実際に手元現金は増えていない)

設備投資の結果、利益が増えても、銀行や社債購入をした「債権者」が優先的に利益を奪っていく

結果的に、投資家に回ってくる利益はごくわずか

という構造に陥りやすいということです。

つまり、短期的ならともかく、継続的に多額の設備投資が必要な企業に対して、その設備投資費用(減価償却費)を無視して、営業キャッシュフローだけを見ても良いのかは疑問だということです。

個人的には、「株価キャッシュフロー倍率」を測るのであれば、営業キャッシュフローではなくフリーキャッシュフロー(営業キャッシュフロー + 投資キャッシュフロー)を使った方が良いのかなと感じます。

2つめの理由は、PCFRよりもPERの方が知名度が高いという単純な理由です。

PCFRはたしかに合理的な考え方に基づく指標です。しかし、あまりに知名度が低い。。。

一方で、PERは多くの投資家に知れ渡っている指標であり、ファンダメンタルズを気にする投資家からデイトレーダーまで、多くの人が「PER」について知っています。

多くの人が気にしている指標だからこそ価値がある」という意味で、実践ではPERを気にして投資判断を下すことの方が私は多いです。

この2つの理由については、あくまでも管理人の意見にすぎませんが、参考になれば幸いです。

また、今回の記事では紹介しませんでしたが、もう一つ「PSR(株価売上高倍率)」という指標があります。

この指標は、赤字のまま上場したベンチャー企業や、当面は赤字が続くが将来高い成長が見込めるベンチャー企業の割高・割安を測ることができます

PERやPBR、PCFRでは測れない企業の評価に使えるため、覚えておいて損のない指標です。PSRについては、下記の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

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DCF法の世界一わかりやすい解説、割引率の決め方やエクセルでの計算方法

分析

DCF法は、企業や資産の価値を計算する方法として、不動産や株式投資、M&Aの現場で幅広く使われている手法です。

著名投資家のウォーレン・バフェットが使っている企業価値の算定方法としても知られています。

株式投資を行っている個人投資家の中にも、一度か2度は「DCF法」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。

しかし、DCF法の計算方法はやや複雑です。ファイナンスの解説書などを見ても、初心者や素人は理解するのは簡単なことではないと思います。

私自身、ファイナンスのプロではありません。しかし、独学で勉強していくうちにDCF法は「肝となる部分」だけを押さえておけば、個人投資家やファイナンスのプロではない人でも簡単に利用できることに気づきました。

この記事を読むことで、専門的な知識を持っていない一般の個人投資家でも、DCF法の計算方法が理解できるようになります。

DCF法がわかると、不動産の価値評価、企業価値評価、債券の理論価値をはじめ、キャッシュフローを生み出すあらゆる資産の価値を計算できます

また、企業の理論価値(理論的な時価総額)が算定できると「理論株価」がわかります。(DCF法で算出した株式価値 ÷ 発行済株式数 = 理論株価)

理論株価を現在の株価と比較(または算定した株式価値と現在の時価総額を比較)して、割高か割安かの判断もできるようになります。

今回はあえて難しい部分については言及しませんが、この記事で紹介する方法を身につけることで、一人でも多くの個人投資家がDCF法を使った企業価値の算定ができることを願っています。

DCF法とは

疑問

※上記の式はエクセルで簡単に計算できます

まずは、DCF法の根本的な考え方について説明します。

DCF法(読み方は、ディーシーエフ法)とは、「ディスカウントキャッシュフロー法」の略です。

これを日本語に直すと「割引キャッシュフロー法」となり、DCF法とはその名の通り「キャッシュフローを割り引くことで価値を算定する方法」となります。

初心者の方は「キャッシュフローを割り引く」ということの意味がわからないと思いますが、今はわからなくても大丈夫です。(後ほど詳しく解説します)

このように、DCF法の根底には「資産価値とは、現在価値に割引した(将来その資産が生み出すすべての)キャッシュフローを合計したものである」という考え方があります。

そして、株式投資においては短期的には株価が上がったり下がったりするものの、長期的には「現在価値に割引したキャッシュフローをすべて足した金額 = 理論価値」に落ち着くと言われています。

何年ぐらい待てば、株価は理論価値に落ち着くのかは不確定であり、誰にもわかりません。しかしこの考え方は、ウォーレン・バフェットをはじめ、過去に結果を出し続けてきた多くのファンドマネージャーや投資家が信じている概念でもあります。

DCF法の計算式

DCF法の計算式

DCF法の計算で使う材料は以下のとおりです。

フリーキャッシュフローの予測
一般的に、毎年得られるフリーキャッシュフローを5年先まで予測します。過去の業績などをヒントに自分で決めます。
割引率
いろいろな計算方法がありますが、最終的には自分で決めても良い数値です。
永久成長率
自分で決める数値ですが、たいていは0%か1%(インフレ率相当)に設定します。
現在手持ちの現金と借金
企業価値・株式価値を算定する場合のみ必要です。不動産の評価を行う場合などは使いません

上記を見てもわかるとおり、DCF法とは「予測に予測を重ねた評価法」であり、実は確定的な答えはありません

10人の投資家(プロ含む)がDCF法で企業価値や不動産価値を算定すると、みな違った答えが出るというのがDCF法というものです。

とても曖昧な計算方法ではありますが、これが現在のファイナンスの常識となっているのも事実です。

▼まずはこちらのエクセルシートをダウンロードしてください
▶エクセルシートのダウンロードはこちら

エクセルシートを見ながら、それぞれの項目について順を追って解説します。

フリーキャッシュフローの予測

キャッシュフロー

DCF法では、まず最初に5年程度のフリーキャッシュフローを予測します。

不動産投資の場合は、賃料収入から経費や税金を引いたものを使います。

株式投資の場合は、企業の有価証券報告書などに記載されている「キャッシュフロー計算書」の数値を参考に「営業キャッシュフロー + 投資キャッシュフロー」を計算することで簡易的なフリーキャッシュフローが算出できます

当面のキャッシュフローが安定的に見込めるようなら、キャッシュフローの数字は「5年間すべて同じ」にしても良いでしょう。

ベンチャー企業であれば、最初の1、2年はキャッシュフローが赤字でも、その後は急激にキャッシュフローが成長するようなイメージを想定できます。

また、成熟した大企業であれば、大きな利益成長もなく、キャッシュフローは安定しているはずです。

いずれも、この会社(この不動産)から今後5年間でどの程度のキャッシュフローが得られるかを予測し、エクセルシートに記入します。

ウォーレン・バフェットの場合

ちなみに、著名投資家のウォーレン・バフェットはDCF法を使う時、キャッシュフローはかなり保守的に見積もっています

なぜなら、景気の悪化などで企業の将来の業績が落ち込むかどうかは誰にもわからないからです。将来の成長率を予測することは極めて難しい(ほぼ不可能)とバフェットは判断しています。

その結果、バフェットは安定したキャッシュフローを生み出す企業のみを投資対象としていますが、その中でもさらに将来のキャッシュフローを保守的に見ることで、企業価値を測っているようです。

割引率の設定

右肩下がり

DCF法を語る上で最も重要なのは割引率の設定にあります

しかし、この割引率こそがDCF法を難しいものにしている原因でもあります。

割引率の算出について語り始めると、「WACC」や「ベータ」といった専門用語について学ばなくてはなりませんが、実は割引率は自分で自由に決めても問題ありません

ウォーレン・バフェットはDCF法を使って企業価値を算定していますが、一方で「ベータ」については「バカバカしい」とすら言っています。

ファイナンスの教科書では、割引率に「WACC(加重平均資本コスト)」を用いることになっています。

しかし、WACCの計算を導入した途端にDCF法は驚くほど面倒になる一方で、WACCほどあてにならないものはないというのが、バフェットの意見です。

逆に言うと、WACCの説明を省くことで、DCF法の計算は驚くほど簡単になります

ファイナンスやM&Aの専門家を目指すならともかく、もしあなたが個人投資家であれば割引率については「割引率を自分で決める方式」で十分だと思いますし、むしろ「他の人が設定しない割引率を、自分の投資判断に基づいて決める」というやり方の方が、良い結果に繋がると私は考えています。

株式投資の本質は「将来のキャッシュフローと不確定な割引率を予測するゲーム」であり、いかに他の人が算出しない計算結果を導き出せるかが最も重要なのです。

ちなみに、不動産投資の場合は、キャップレートを割引率に設定するのが普通です。(キャップレートはネットで検索すると、地域や物件種類ごとでデータが見つかる場合もありますし、NOI利回りなどを参考に自分で決めても問題ありません)

直接還元法に利用するのはキャップレート、DCF法で利用するのは割引率ですが、この2つは、 実際にはほとんど違いはありません。

単年度のキャッシュ・フローを割引くのが、キャップレートで、複数年度のキャッシュ・フローを 割引くのが割引率という言葉の使い方が違うだけです。

将来のリスクをキャッシュ・フローに反映しても、割引率に反映しても大した違いはありませんが、 その際には将来のリスクを反映したキャップレートと割引率を利用します。

参照:キャップレートと割引率

最新のキャップレートは、日本不動産研究所のレポートなどにもまとめられています。

また、国債の場合は金利をそのまま割引率にあてはめます。

ここまでのまとめ

割引率は「リスク(不確実性)」、「期待する利回り」などに言い換えることができます。

リスクが高いと感じるか、低いと感じるかは投資家によって異なりますし、投資家がその投資対象からどれくらいの利回りを得たいと思うか?についても、投資家によって異なります。

結果的に、「割引率は自分で自由に決めていい」のです。

割引率の考え方

グラフ

割引率の考え方を3つのポイントでまとめます。

  • 割引率は「リスク(不確実性)」、「期待する利回り」などに言い換えることができる
  • 割引率を高くするほどDCF法の算定価値が下がり、低くするほど算定価値は上がる
  • つまり、信用できる相手(企業・物件)ほど価値は上がり、信用できない相手ほど価値は下がる

DCF法の数式を構成するものは、大きく、「各年のキャッシュフロー」「割引率」の2つだけです。

つまり、将来のキャッシュフローが大きいほど企業価値は高く、小さいほど企業価値は低い
将来のキャッシュフローの確実性が高いほど企業価値は高く、確実性が低いほど企業価値は低い ということになります

出典:書籍「起業のファイナンス」

上記の3つのポイントを頭に入れつつ、下記の事例で割引率の考え方を定着させていきます。

▶割引率を2分で理解する
以下の4つの提案について考えてみてください。

  • 友人Aが今すぐ100円をくれる
  • 友人Aが10年後に101円をくれる
  • 知らない人が10年後に10万円をくれる
  • 知らない人が100年後に5,000万円をくれる

4つ提案のうち、「自分が選択したい順番」を考えてみると、割引率の考え方が理解できます。

それぞれの提案について見ていきましょう。

提案1:友人Aが今すぐ100円をくれる
信頼できる人物から今すぐ、確実な100円が得られるわけですから、間違いなく魅力的な提案です。

提案2:友人Aが10年後に101円をくれる
いくら友人とはいえ本当に10年後にお金をくれるのかわかりません。

また、もし本当に101円をくれるとしても、10年も待たなければならないのであれば、今すぐ100円がもらえる「提案1」の方がより魅力的だと感じますよね。

提案3:知らない人が10年後に10万円をくれる
10万円という金額は魅力的ですが、そもそも相手は信用のおけない「知らない人」ですから、本当に10年後に10万円をくれるかどうかはわかりません。

しかし、10万円という金額がとても大きいため、「信用はできないけど、もし本当にもらえたら大きいので、友人Aの提案と比べてどちらを選択すべきか迷う」という方もいると思います。

提案4:知らない人が100年後に5,000万円をくれる
この提案は論外ですね。5,000万円という金額はとても魅力的ですが、現金の受取が100年後では、多くの人はすでにこの世を去っているでしょう。

あの世にお金は持っていけませんから、もらえる金額が5,000万円と高額でも、多くの人にとって、この提案の価値は0円に等しいはずです。

この4つの提案からわかることは、「人間は単純に金額の大小だけで価値を判断していない」ということです。

時間(お金を受取るまでの期間)」と「相手に対する信用度(約束が実行される可能性)」によって、価値は変わるということです。

このように、ファイナンスでは

  • 時間が経過するほど価値は下がる
  • 信用できない相手(確実性が低い投資案件)ほど価値は下がる

というルールがあります。

そして、1年ごとにどれくらいの割合で価値が下がっていくかかを示すのが「割引率」となります。

例えば、設立したばかりのベンチャー企業の場合、信用度が低いため、投資リスクが大きいです。当然、投資するならその見返りとなる期待利回りも高くなければなりません。よって割引率は高めに設定されます。

一方で、信用度の高い大企業の場合、投資リスクは小さく、利回りが低くても投資対象として検討できそうです。よって割引率は低めに設定されます。

割引率のめやす

ベンチャーキャピタル

割引率は「自分で勝手に決めていい」数字ですが、いくつかのヒントとなる目安を知っておくと役に立ちます。

この記事では、ファイナンスで学ぶ「WACC」や「ベータ」の話を除外し、「割引率を自分で勝手に決める」という前提で話を進めています。

というのも、単に投資判断を下す上では、割引率は「AとBではどちらのほうがリスクが高いか?」で導けます。

専門的な知識を持たなくても、いくつかの目安を覚えておくことで「概ね正しい割引率の判断ができる」のです。

割引率:50%以上
未上場のベンチャー企業に対してVC(ベンチャーキャピタル)などが期待する利回り(割引率)は50%以上になるとのこと。

これは言い換えると、未上場のベンチャー企業は毎年、倍々ゲームでキャッシュフローを増加させる(もしくは上場時の株式売却益で極めて大きな利益をもたらす)という予測ができなければ、企業価値を評価できないということです。

未上場のスタートアップに対する割引率については、少し古い資料ですが、「我が国ベンチャーキャピタルの投資実態」などが参考になります。

割引率:20%~35%
いくつかの資料を参考にすると、上場前の企業(いわゆるレーターステージのベンチャー企業)で、割引率は20%~35%に設定されます。

割引率:4%~7%程度
一般的に、TOPIX(東証株価指数)の平均的な期待収益率は6%程度になると言われています。

この数値を基準として、M&Aの実務ではDCF法の割引率を4%~7%に設定することが多いです。

上場企業の価値をDCF法で評価するならば、割引率6%を基準として、その銘柄のリスクに応じて調整を加えるというやり方が良いと思います。

割引率:1%~2%程度
長期国債金利に相当する1~2%程度の割引率は、「ほぼリスクがない」と判断できる投資案件に対して当てはめます。

長期国債金利(新発10年国債利利回り)は、リスクフリーレート(無リスク金利)と呼ばれています。

もし、国債の債券価値をDCF法で計算したいなら、割引率には長期国債利回りを当てはめて計算してください。

現在の長期国債の金利は財務省のホームページで確認できます。

ウォーレン・バフェットの場合

では、ウォーレン・バフェットは割引率をどのように決めているのか。

バフェットは投資対象の割引率を「長期国債利回り」に設定して、DCF法による企業価値の算定をおこなっています。

割引率を長期国債利回りに設定するということは、言い換えると「その事業はとてつもなく安定的であり、リスクがないと考えている」ことになります。

つまり、バフェットは将来性が不確定な企業には投資をせず、「将来も事業が永続的に行われるという確固たる自信がある銘柄だけを選ぶ」ということをおこなっているのです。

一方で、事業の永続性は予想できるものの、その企業が生み出すキャッシュフローは景気などによって変動するため、キャッシュフローは保守的に見積もっているというのが、バフェット流です。

永久成長率の設定

ターミナルバリューの計算式

DCF法では通常、6年目以降のキャッシュフローは一定の成長率で増加していくと仮定して計算します。

この際に用いる成長率を「永久成長率」と呼び、通常は0%または1%に設定することが多いと言われています。

永久成長率の目安は、「インフレ率 + 永続的に見込まれる利益成長率」となりますが、実務ではインフレ率のみを考慮することが多いようです。

ベンチャー企業のように、高い利益成長を続ける会社もあろうかとは思いますが、割引率よりも永久成長率の方を高く設定すると、いずれどこかのタイミングで企業価値が日本のGDPを超えてしまうという不都合が生じます。

同じ論理で、永久成長率は経済成長率(GDP)以下に設定しておくのが望ましいとの意見もあります。

よって、6年目以降はインフレ率と同等程度の利益成長が見込まれると考え、永久成長率は1%または0%としておくのが正しいです。

いろいろな方の意見をまとめると、最も多いのが「永久成長率は経済成長率(GDP)と同程度にする」という意見です。

名目GDP(経済成長率+インフレ率)で計算すると、先進国の場合およそ3%前後になると思います。

この値を永久成長率に設定しても良いのですが、永久成長率は1%違うだけでDCF法の計算結果に大きな影響を与えます。

やはり、投資家が事業価値を評価する上では、「保守的に見積もっておいて損はない」ということで、個人的には永久成長率は0%か1%程度(インフレ率と同等程度)にしておくのがよいと思っています。(もしよろしければ皆さんの意見も聞かせてください)

永久成長率については「DCF法による企業価値・株主価値評価の諸問題について(PDF)」という論文が参考になります。

永久成長率を設定した後に、6年目以降に発生するキャッシュフロー(の現在価値)をすべて合計したものを、「ターミナルバリュー(継続価値・残存価値)」と呼びます。

ターミナルバリューは、6年目から将来に渡って発生するキャッシュフローの合計ですので、非常に大きな数値となります。

▶ターミナルバリュー(継続価値・残存価値)の計算方法
TV = FCF(1 + g) ÷ (r – g)

わかりやすく言い換えると下記のようになります。
ターミナルバリュー = 5年目のフリーキャッシュフロー × (1 + 永久成長率) ÷ (割引率 – 永久成長率)

現在手持ちの現金と借金

富裕層

企業価値算定の場合は、企業が現在抱えている「現金」と「借金(有利子負債)」についても見ておきます。

有価証券報告書の貸借対照表を見ると、現在の手持ち現金がいくらなのかわかります。

有利子負債については、借入金や社債など、利子が発生する負債を合計したもので、同じく貸借対照表の「負債の部」に記載されています。

DCF法では、現金と借金は時価評価することになっています。

1.キャッシュフロー、割引率、永久成長率によって「事業価値」を算出

2.現在の手持ち現金を足し「企業価値」を算出

3.現在の有利子負債(借金)をマイナスして「株式価値」を算出

という流れです。

すべてを足し合わせる

相場のサイクル

すべての項目が出揃ったところで、DCF法の「資産価値とは、現在価値に割引したキャッシュフローをすべて足したものである」という考え方に基いてすべての数字を足します。

1年目のキャッシュフローの現在価値 +
2年目のキャッシュフローの現在価値 +
3年目のキャッシュフローの現在価値 +
4年目のキャッシュフローの現在価値 +
5年目のキャッシュフローの現在価値 +
6年目以降に発生するすべてのキャッシュフローの現在価値

によって、「事業価値」が算出できます。

ここで求めた事業価値に対して、現在保有している「現金」を足すことで「企業価値」が算出できます。

さらに企業価値に対して、現在抱えている「有利子負債(借金)」をマイナスすることで「株式価値」が算出できます。

投資家が重視すべきは株式価値であり、この値が現在の時価総額よりも大幅に低いようであれば「買い」ということになります。

今回はDCF法について長々と書きましたがいかがだったでしょうか。
認識不足の部分もあるかもしれませんので、質問やツッコミはコメントにていただけると助かります。

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デットエクイティレシオ(D/Eレシオ)とは?目安と自己資本比率との違い

ビジネス

投資を検討している企業が、どれくらいの負債を抱えているのかは気になるポイントです。

借金過多になっている企業はそれだけ、倒産リスクが高くなることは言うまでもないからです。

企業が借金しすぎなのか、適度なレバレッジを掛けているのかを判断する目安に「デットエクイティレシオ(D/Eレシオ)」があります。

D/Eレシオは業種によっても異なりますが、同業者と比較して借金比率があまりに高い場合は注意が必要です。

簡単に計算できる指標ですので、この機会に自分が投資している企業のD/Eレシオをチェックしてみることをおすすめします。

デットエクイティレシオとは?

ホワイトボードで説明する女性

デット・エクイティ・レシオは、「D/Eレシオ」と呼ばれたり略して「DER」と呼ぶこともあります。

また、日本語では「負債資本倍率」と呼んでおり、負債(デット)と資本(エクイティ)の倍率によって借金しすぎか適度な借入なのかを判断する指標となります。

一般的には「低ければ低いほど財務健全性が高く、高いほど借金過多」と判断できます。

D/Eレシオの目安は一般的に「1倍」と言われており、1倍を超えると借金多め、1倍以下だと健全との意見が多いのですが、これも業種によって大きく違うため、同業と比較するのが一番だと思います。

単位は「倍率」です。D/Eレシオが2倍の場合、自己資本に対して借金が2倍あることを示し、1倍なら自己資本の金額と借金が半々であることを表しています。

D/Eレシオの計算式

計算する女性

計算方法は極めて簡単です。もし忘れたら日本語の「負債資本倍率」という言葉を思い出してください。

デットエクイティレシオの計算式

D/Eレシオ = 有利子負債 / 自己資本

自己資本比率との違い

分析

財務健全性をしめす指標に「自己資本比率」があります。

自己資本比率は50%が目安などとよく言われますが、これも業種によって大きく異なりますよね。

よく、D/Eレシオと自己資本比率の違いは何か?と聞かれますが、両者の違いは「有利子負債かどうか」です。

自己資本比率の計算式は「自己資本 ÷ 総資産」です。

しかし、自己資本以外の部分には「利息のつかない負債、つまり売掛金や未払金、支払期日を迎えていない税金など」があります。

一方で、D/Eレシオは「有利子負債がどれくらいあるか」を確認する指標なので、「銀行借入(長期借入金・短期借入金)や社債」といった負債だけを計算に使います。

▶自己資本比率
利息のつかない負債も含めて計算対象にしている

▶D/Eレシオ
利息のつく負債(有利子負債)だけを計算対象にしている

これが、D/Eレシオと自己資本比率の違いです。

D/Eレシオの計算に「負債全体」を使っているケースもありますが、指標の意味を解釈すると、通常は「有利子負債」のみを計算対象とするのが正しいと思います。

もし、企業がD/Eレシオの数値を発表しているのを見かけたら、負債の対象が「負債全体」なのか「有利子負債のみ」なのかをチェックしてください。

ネットデットエクイティレシオとは?

D/Eレシオと合わせて重視されることが多いのが「ネット・デットエクイティレシオ」です。

ネットD/Eレシオ」と呼ばれることが多いのですが、これは有利子負債から現預金を引いたものを計算対象にしたD/Eレシオのことです。

ネット・デットエクイティレシオの計算式

ネットD/Eレシオ = (有利子負債 - 現預金)/ 自己資本

「有利子負債 - 現預金」のことを「ネット有利子負債」と呼びます。

例えば、借金が10億円あったとしても、現金を10億円持っていたとすれば、その借金は今すぐ一括返済することができますよね。

これが、ネット有利子負債の考え方です。

ネット有利子負債が0またはマイナスの場合、つまり借入金の金額よりも手持ち現金の方が大きいことを、「実質無借金」と呼ぶことが多いです。

事業にレバレッジをかけるために借金はしているものの、今すぐ一括返済できるので実質的には無借金の状態ということです。

ソフトバンクグループ(9984)のように、M&A(企業買収)を積極的に行っている企業はこのような財務になっていることが多いです。

スピードが求められるM&Aや投資案件があった時に、すぐに動けるようにいますぐ使う予定がなくても、借入をして現金を保有し、「いつでも出動できる状態」にしておくのです。

たとえば、ネットD/Eレシオを公開している企業には「じげん(3679)」があります。

下記は、じげんの 平成29年3月期 通期決算説明会資料の1ページです。
じげんのネットD/Eレシオ

少しわかりにくいですが、上記の情報からこのようなことがわかります。

・自己資本比率は50%を下回って推移していることが多い

・D/Eレシオを計算してみると1倍を超えていることが多い(資料には記載されていないので自分で計算)

・ただし、現預金をたくさん保有しているため、ネット有利子負債(有利子負債 – 現金)は極めて低い

・よって「ネットD/Eレシオ」で見ると財務健全性が高い

じげんはそれなりに借金をしているものの、その分現金も相当保有しているので、「ネット」ベースでみるとほとんど無借金の状態だとアピールしています。

D/Eレシオがマイナスって

D/Eレシオがマイナスになることはありません。

無借金であればD/Eレシオが「0」以下にならないことは、「D/Eレシオ = 有利子負債 ÷ 自己資本」で計算をしてみるとわかります。

しかし、上記のじげんの資料が示している通り、ネットD/Eレシオはマイナスになることがあります

これは、ネット有利子負債がマイナスになっている場合に、必然的にネットD/Eレシオもマイナスの計算結果になるからです。

もちろん、マイナスになっているということはそれだけ財務健全性が高いことの証明となります。

東芝のD/Eレシオ

東芝

2017年は、東芝が子会社の破綻によって大損害を被り、倒産してしまうのではないかと報道されていました。

東芝のような総合家電メーカーは基本的に借金ありきのビジネスなのですが、D/Eレシオはどうなっているのか。

東芝のIRページではネットD/Eレシオが開示されているので、すぐに情報を入手できます。
東芝のD/Eレシオ

ネットD/Eレシオで見ると1.0倍~1.5倍となっています。

一方で、通常のD/Eレシオで見ると下記のような数値となります。

2012 2013 2014 2015 2016
1.57 1.70 1.30 1.21 4.41

2015年まではやや減少傾向にありましたが、2016年3月期に自己資本が大きく減ったことからD/Eレシオは4倍まで膨らんでいることがわかります。

中小企業のD/Eレシオの平均

中小企業

興味があったので、中小企業の場合、D/Eレシオの平均がどれくらいなのか調べてみました。

少し古いデータですが、2013年に一般財団法人 商工総合研究所が発表したデータによると、中小企業のD/Eレシオは1.9倍程度であり、年々減少しているとのこと。

▶負債資本倍率の推移
中小企業のD/Eレシオ

出典:商工総合研究所

記事執筆時点(2017年12月)では、マイナス金利の影響などもありますので、中小企業も大企業もD/Eレシオはやや増加していると思われます。

ポイントとしては、やはり大企業に比べて中小企業の方が借金が多い状態にあるということですね。

また、高い時ではD/Eレシオが5倍を超えていることがあるというのも興味深いところです。

大企業は株主の目もありますから、やはりあまりに大きすぎる借金は取締役会や株主総会で通りにくいという事情もあるのでしょう。

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